15 謎の少年
紅葉達は、西のはずれにある【コバリの森】の奥に来ていた。
「本当に、こんなところに、敵の情報があるの?」
「ええ、アナン様が言っていたので、おそらく、あるとは思いますよ」
「黒瀬のその笑みが怖い…」
森の奥へと進んでいく。
「この奥ですね…。ワクワクしますね」
「黒瀬のそのワクワクが怖いのよ…。あなたのワクワクは本当に怖いわ」
「そうですか?そんなことはないでしょう…」
クスリと黒瀬は笑う。
紅葉達は、その笑みに恐怖を感じた。
「聖のあの笑みは、悪いことを企んでる顔だろ…」
「絶対にね…」
森の奥に行くと、大きな広場に着いた。
葉と葉の間からの光が、エメラルド色に輝き、中央にある祠を照らしている。
「ここは?」
「おそらく、森の中心部にあたるようなところでしょう…」
「なんか、、、神秘的なところ…。きれい…」
紅葉達が、辺りを見渡していた。
すると、いきなり矢のようなものが、紅葉達へと飛んできた。
「…っ!!」
「いやー。おしいことしたよー?チミ達、誰?なんで、こんなところに来たの?まさか、僕たちの邪魔をしに来たの?」
紅葉達は、男の声のする方を見た。
黄色い目をした少年が、紅葉達を見ていた。
「お前は、誰だ?」
「言ってもいいけど、、、。聞いたところで…。チミ達…死ぬんだから…」
少年は、そう言うと紅葉達に突っ込んできた。
ロザは、その少年に一発撃った。が、すぐに少年はヒラリと交わす。
「っ!!ちっ、動きが早い…。あんな、至近距離で、交わすなんて!」
「遅いんだよ!!」
その少年は、隠し持っていたナイフで、ロザを攻撃した。
―――キーン!!
ロザの前に黒瀬がいた。
「あなた様に、いろいろと聞きたいことがありますゆえ。
わたくしとお手合わせしませんか?」
「はっ?あーー、、、分かった。分かったよ!?
チミだよねー?確か…。姉さんが言ってた人かなぁ…?
最近、影でコソコソと、僕達のことを、嗅ぎまわってるっていう黒い変な服、着てる奴っていうのは…」
「まぁ、わたくしのことを知って下さっていたのですか?それは、光栄に思いますね」
黒瀬は、ニッコリと笑う。
その隙に、ロザは安全なところに避難した。
「ロザ、大丈夫か?」
「ああ…。聖がガードに入ってなかったら、今頃、刺し殺されていただろうなぁ…」
「ほんと、黒瀬様さまだな(汗)」
「てか、さっきの話はどういうこと?黒瀬!あなた、説明をしなさい」
「ああ、、、すみません。お嬢様。そして皆様…。その話は、後で致しますね」
「なーに、よそ見してんのーー?」
その少年の攻撃をヒラリ、ヒラリと交わす黒瀬。
黒瀬の顔は、不気味に笑っている。
「今の黒瀬…。ちょっといつもより、違うくないか?」
「ん?」
「ほぼ、本気で潰しにかかってるよ。黒瀬は…」
黒瀬と少年の戦いを離れたところで、見ていた紅葉達は、いつもと違う黒瀬の殺気を感じた。
「2人の殺気が凄すぎて…。私達、入って一緒に戦える自信がない」
「そもそも、あの少年は、いったい何者なんだ?あの黒瀬と互角に戦っているんだぞ?」
「ただ者ではないことは確かなこと…」
(それに、黒瀬もあの少年のこと知っていた。少年も黒瀬のことを知っていた…。これって…)
紅葉達は、疑問に思いつつも、黒瀬の戦いを見ていた。
黒瀬は、少年の攻撃をヒラリ、ヒラリと交わしていく。
「チミ、逃げるばかりじゃないか…。もっと、僕を楽しませてよー?」
ニヤリと少年は笑う。
「ちゃんと、楽しませているのですが…。では、そろそろ本気を出しましょうか」
黒瀬は、ニコッと笑い、ただ者でもないよう気を出した。
少年は、それに少し顔が曇る。
(さっきので、本気ではなかったのか?)
「では、これから頼みましょう」
黒瀬は、ニヤリと笑い、少年に攻撃を仕掛けた。
攻撃を受けた少年は、後ろに弾き飛ばされた。
「…っ!!」
(さっきより、力が増している…?)
「まだまだ、わたくしを、楽しませてくださいね」
黒瀬の顔は、ニッコリとしているが、目は怖かった。
離れている紅葉達にも、黒瀬の顔を見てわかる。
「やばいな…。あいつ…」
「いつも、怒らせてはいけないと思っていたが…」
「これまでのオーラが凄いですわ…。わたしく…もう、黒瀬様との喧嘩は、これをおきに辞めますわ」
「それが正解よ…?クロナ…」
「黒瀬に勝てる者はいないよ」
「そうでございますね。聖様は、本当にお強いお方です!」
そう紅葉達は、感心して黒瀬と少年の戦いを見ていた。
少年は、だいぶ疲れが出てきているのだろう。
息を切らしている。
「はぁ…。はぁ…。あ…あれ?おかしいなぁ…」
「もう降参してくださいますか?これ以上していたら…。わたくし、本当にあなたを…殺しに
かかりますよ?」
「ぼ…僕を嘗めないでほしいなぁ…」
少年は、仲間に言われていたことを思い出していた。
◇◇◇
ある暗い空間の中で、【レギランス】という組織が動き始めていた。
「また、あの男か…。私達の事を調べているのは…」
「あの男は、何者なんだろうか?」
「誰か調べに行くか?では、暇を持て余しているパラディスに、行ってもらったらいいんじゃないかなぁ?」
「僕を呼んだ――?呼んだよね?」
「暇しているんでしょう?
この男の目的を探ってきなさい!!」
「僕を暇だと決めつけて、押し付けるのはどうか思うけどーー?」
「さっさと行け!」
パラディスは、皆の方を見ると、皆の目がパラディスを睨みつけていた。
「わ、分かったよ。あいつをボコしてくればいいんでしょう?行ってくるよ」
(見た感じ弱そうな男じゃん。僕は負けないし…。今に見てろ!)
パラディスは、そう思い、黒瀬達の事を探っていた。
◇◇◇
「くそっ!!僕は、負けるわけにはいかないんだーー!」
パラディスが攻撃を仕掛けようとしたとき、パラディスは倒れそうになった。
パラディスが目を開けると、ルトが抱えていた。
「もう、その辺でいいだろ?パラディス」
「る、ルト…。どうして、チミが来ているの?」
「他の奴らに、様子を見に行け!と、言われただけだ。さぁ、帰るぞ」
「いやっ、まだだ…。僕は、、、まだやれる…。っ!」
そうパラディスは言ったが、気を失った。
「言わんこっちゃあない。この礼は、いずれ、またする。それまで、首を洗って待っていろ!」
そう言うと、パラディスを抱えたルトは消えていった。
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