12 魔族(鬼人)の少女
「もう!黒瀬。あなたはいつもいつも!なんで、ノックして入ってこないのよ!」
「失礼ながらお嬢様。一言よろしいでしょうか?」
「ええ、何よ!」
「昨日、この時間起こすように言われたのは、お嬢様の方ですよ?しかも、自分で起きるからと…。それに、執事たるもの、お嬢様のお部屋に入るときは、ノックは致しません。と、前に言いましたが…」
「言ったけど…。声はかけるでしょうよ?」
朝から賑やかに始まる。
セラティナ達は、そのやりとりを見ながら、コーヒーを飲んだり、朝食を食べていた。
「まーた、始まったよ。」
「朝から元気だな…」
「…。モグモグ…」
「ロザ、よく食べるな(汗)」
すると、少し遅れて、サラが起きてきた。
「おはよう…」
「ああ、おはよう」
皆は、そう言うと、また紅葉達のやりとりを見ていた。
「何?あれ…。朝から喧嘩かしら?止めなくていいの?」
「いつも事だから、ほっとけばいいよ」
「朝は、これで始まるんだから…」
「私は、もう慣れたけどねー」
(慣れなんだ…(汗))
サラは、そう思いながら、朝食を食べた。
「ほら、お嬢様。サラ様が起きましたよ」
「ん?あっ、おはよう。朝からうるさくしてごめんなさいね」
「うん。大丈夫よ。いつもこうなの?」
「そんなことはないのよ」
紅葉は、目をそらして言った。
「今日は、何しましょうかねー」
「ピーロン様は、このアルバイトがありましたよね?」
「あー。忘れていました」
「まだ、行かなくても大丈夫なのですか?」
「そろそろ出ないとですね。では、行ってきます」
ピーロンは、アルバイト先に出かけて行った。
残された紅葉達は、今日もまた、掲示板を見ていた。
「これは、面白そうだな」
「受けてみるか…。少しはお金を稼ぎたいしねー」
ロザとラーガは、ウサーバード、マルウネドラの討伐のクエストを受けに行った。
「あの2人だけで大丈夫なのか?」
「あの2人は問題ないよ」
「息ぴったりですから」
黒瀬はそう言い、ニコリと笑う。
「そういえば、黒瀬。買い物を済ませないといけなかったわ。次のクエストで遠出をするときに、すぐ行けれるように準備をしておきたいのよ。その前のクエストも、回復薬とかがギリギリだったし…」
「そうですね。旅用に、わたくしも揃えておかないとですし。買い物に行きましょう」
「サラも一緒に行こう」
「ええ、いいわよ」
紅葉達は、買い物に町へと出て行った。
―――――町を歩いていると、黒瀬は誰かに見られているような目線を感じた。
(誰かこちらを見ている…。なんでしょう?)
黒瀬そう思いながらも、見て見ぬふりをしていた。
町の建物の間から、魔族の少女が紅葉達を見ていた。
「あの子、わたくしのタイプだわ…。いつか、わたくしの手に…。じゅるり」
よだれを垂らしながら、紅葉達の後を追っていた。
◇ ◇ ◇
紅葉達は、昼食に店に寄った。
「私は、パスタを食べたいわ」
「では、サラ様は何がよろしいですか?」
「あたしも、パスタでいいわ」
「分かりました」
黒瀬は、店員を呼び、注文した。
3人は、昼食を済ませ、また、買い物に行った。
その夕方に、ギルドに帰っていた。
「あっ!紅葉様、聖様、サラ様。お帰りなさいませ」
ピーロンが夕食の準備をしようとしていた。
「ただいま。ピーロン」
「今日は早かったのですね。わたくしもお手伝い致しますね」
「ありがとうございます。今日は、早く作業が終わりましたので、今日みたいに早く帰れたのです」
「そうなのですか」
「私達は、夕食の準備をしましょ。机を拭かなくちゃ」
「では、あたしが持っていこう。布巾はどこにあるの?」
皆で準備をしている所に、ラーガとロザが帰ってきた。
「ただいまー」
「まったく…。全然、手強い相手ではなかった」
「それは、仕方ないよ。簡単クエストなんだから…。まぁ、人助けになるのならいいではないか?」
「まぁ、そうだけど…」
「2人ともお疲れのようなので…。体の疲れが少しだけでも、癒せればと思いまして…」
紅葉達は、夕食を食べ、それぞれの部屋へと戻っていた。
◇ ◇ ◇
「ウフフ…。あの子は、ここに住んでいるのですね」
不気味な笑みを浮かばせながら、紅葉達住む家をじっと見ている者がいた。
――――次の日。
紅葉は、1人で町へと来ていた。
「昨日は、このお店を見てみたかったんだよねー。魔導士の本があればなんだけど…」
と、1人ぶつぶつ言っていると、ある少女が紅葉に話しかけてきた。
「あのー。何かお探しなのですか?」
それは、魔族の少女だった。鬼人の姿をしている。
「いやっ。あのー魔導士の本がないかなぁと思ってきたのですが…。あなたは、ここのお手伝いでもしているのですか?お名前は?」
「そうですね…。ここは、わたくしのお店です。わたくしの名前は【クロナ】と言います。これは、どうでしょう…」
クロナは、魔導士の本を紅葉に、見せて言った。
紅葉が、その本に夢中になっている時、クロナは紅葉に薬で眠らせた。
「フフフ…。やっと、手に入れた。これで、わたくしのもの…」
クロナは、紅葉を店の地下に閉じ込めた。
まだまだ続きます。
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長い事、放置していたので少しずつ頑張って書きます。