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新米冒険者の教育係  作者: ユトナミ
第四章
70/118

教育係と城塞都市ヴァレスタ

8月は1回しか更新できずすみません。。。

本日2回目の投稿となります。

よろしくお願いいたします。

「次に魔物と戦うときは別の型をお見せしましょう」


「はい! お願いします!」


 フレイムリザードとの戦闘が終わり、私たち三人は再び街道を歩いていた。


 意気込みはしたが所詮はフレイムリザード。複数を相手取るならまだしも一対一であれば苦戦する相手でもなく、難なく撃破することが出来た。


 イザークさんも早々に片付けており、レクトに身体強化の魔法をかけながら指示を出す。さながら先生と生徒だ。つたない戦闘だったが何とかフレイムリザードを撃破し、教えられた通り自分が覚えている回復魔法を使い傷を治す。


 そのあとでイザークさんに二人とも回復魔法をかけてもらい今に至るのだ。


「リタさん、レクトくん。見えてきましたよ」


 イザークさんが指をさす。その方角には巨大な壁に囲まれた大きな街が見えた。あれが目的地であり、件の聖女様がいるかもしれない場所。


「ずいぶん大きな壁だね」


「ええ。今より昔、この周辺は魔物が多く住み着いており幾度となく襲撃に遭ったと記録があります。あれは当時の方々が魔物からの被害を防ぐために作られたものなのです」


 そうだ。今でこそ魔物の数は少なくなっている。だがほんの百年くらい前、それこそ英雄オリジンがいた時代には多くの魔物が大陸中に存在していたのだ。


 人間と魔物の力関係も今とは真逆で、人間が狩られる側だったと当時の記録に残っている。自分たちの領土を広めることだけでは飽き足らず、いつしか魔王を名乗る魔族率いる集団が人里に攻め込み、多くの人間を葬り去った。その戦いに終止符を打ったのがオリジンとその仲間たちである。


「実はあの街の補強を行ったのは、英雄オリジンの一行だと言われているんですよ」


「へぇー。オリジンはこの街に来てたのかも知れないんだ」


「はい。ですので街の名前もそれにちなんで名付けられたのです」


 イザークさんは誇らしげに街の名を口にした。


「城塞都市ヴァレスタ。かつてオリジンとともに旅をした闘士が名付けたのだとか」


「闘士が?」


 少し意外だった。てっきり聖女とか僧侶とか回復師なんかが名付けたのかと思ったけど。大陸の英雄オリジンの仲間にそういった系統の職業が居なかったとは考えにくい。


「私も初めは驚きました。ですが私がまだ入信したての頃、大神官様に聞かせていただいたお話で納得することが出来たのです」


「そのお話っていうのは?」


「僕も聞きたいです! あとイザークさんが入信した時の話も!」


 レクトが食い気味に問いかける。イザークさんは嬉しかったのか静かに笑うと、懐から十字架を取り出した。


「わかりました。ではその続きはヴァレスタに入ってからにしましょう」


 話しているうちにいつの間にか門の手前まで来ていた。門の前には甲冑姿の男性が二名。片方はまだ若く、もう片方は年季の入った老人だ。私たちが門に近づくと若い男性が立ちふさがる。


「失礼します! この先に行くには通行許可証をお見せいただくか通行料をお支払いいただくこととなります!」


「許可証? 通行料?」


 初耳だ。ヴァレスタに入るためにはどちらかが必要らしい。通行許可証は分からんでもないけど、街に入るのにお金がかかるっていうのはいささかどうなんだろう。


「お兄さん。ちなみに通行許可証っていうのはどこで手に入るの?」


「ここから後ろに戻るとリースという街があります。そこの聖教会支部で発行が可能です」


 なるほど。あの街の支部にはそんな役割もあったのか。


「今から戻ると日が暮れちゃうなぁ。ちなみに通行料はいくらなの?」


「一人につき金貨十枚です」


 高っ! 高いよっ!! いや今なら金貨多く持ってるけど、それにしたって高すぎるっ!!!


 街に入る通行料が金貨十枚だなんて聞いたことがない。レクトをがめついと思っていたけどこっちのほうが断然がめついよ!


「リタさん。この金額には意味があるんですよ」


「意味?」


「まず許可証はリースで無料で発行されます。それに許可証は特別な審査をしたのち支部長自らが作成しますので、不審な者が許可証を用いることはありません」


 さらに、特別な審査を経て発行した許可証は本人以外が使おうとすると燃えてしまうのだとか。これによってヴァレスタへの不正な通行を阻止しているらしい。


「無料で発行されるのであれば金貨十枚も払う人はいませんからね」


「え? でも私許可証の存在を知らなかったんだけど」


「まぁ普段リースに来た人には私が教えていますからね」


「ええ!? じゃあなんで」


「おや? なんでとはおかしなことを言いますね」


 イザークさんはそういうと若い門番を通り越し、椅子に座っている年老いた門番に近づいていった。


「お久しぶりです、カドックさん」


 カドックと呼ばれた年老いた門番はうなだれていた頭を上げイザークさんの顔を見る。


「なんだイー坊か。帰ってきたのか?」


「ええ。少し用がありまして。通っても構いませんか?」


 カドックさんは周りを見渡し、若い門番を指さす。


「一応見せてやってくれ。あいつはこの間入った新人でな。まじめなやつなんだが経験が足りん」


「そういうことでしたら、お任せください」


 イザークさんは若い門番に向かって歩き、手に持っていた十字架を見せる。


「聖教会リース支部支部長、イザーク・ルイスです。通行の許可をいただけますか」


「しっ、支部長!? これは大変失礼いたしました! どうぞお通りください!」


「ありがとうございます。カドックさん、用が終わりましたらまた寄らせていただきますね」


「ああ、待ってるよ」


 一連の出来事についていけずポカンとしてしまっている私とレクトを置いて、イザークさんは通路を通っていく。途中立ち止まり私たちが付いてきていないことに気づいたのか、振り返り声を投げた。


「リタさん、レクトくん。行きますよ」


 ハッと我に返り、私たちは急いでイザークさんを追いかけた。

ついに目的地にたどり着きました。

城塞都市ヴァレスタ。大きな壁に囲まれた街の中心には聖教会の第二号店があります。


誤字脱字、ご感想などありましたら是非よろしくお願いいたします。

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