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新米冒険者の教育係  作者: ユトナミ
第四章
69/118

教育係と聖職者の戦い方

久々の更新となります。


よろしくお願いいたします。

 正直なところ、私は聖教会の人たちのことをよくわかっていなかった。


 周りにそういった人がいなかったのもあるし、何より聖教会という回復系統の魔法を主とするイメージがある組織に冒険者みたいな荒々しい技術があるというのも想像できないだろう。


 確かに聖教会は内部に冒険者ギルドを有しているが、その所属している冒険者たちも支援系統の魔法職だったはずだ。そんななか本家本元の聖教会所属の聖職者に、果たして魔物と一対一の戦闘が出来るのだろうか。


 もしかしたら私に支援魔法をかけながら戦うつもりだったのかもしれない。


 思えばイザークさんは武器らしい武器も、魔法職としての杖やローブといった装備も身に着けておらず、聖魔法の効果を上げてくれるという十字架のペンダントしか身に着けていなかった。


 漆黒の神父服に特に効果はなく、ただ単に聖職者の正装だと道中語る。それはつまり、身を守るものがペンダントのみだということだ。


 そしてフレイムリザードを前にイザークさんが告げたのは、武器の未所持と攻撃魔法の未取得。つまり自衛の手段がないということだった。


 不安が頭をよぎった直後、何かの衝突音が響き、私は後ろを振り返る。


 見ると、イザークさんが右手を前に突き出し、その先でフレイムリザードが形を保てずに魔力となって霧散した。魔石が地面に転がる。


「へ?」


 私が呆けている間に、もう一体のフレイムリザードに裏拳を当てその体を霧散させる。


 一気に二体もの同胞が倒され囲っていたフレイムリザードたちが私たちから距離をとる。その隙にイザークさんはレクトに何かを伝えているようだ。


「いいですかレクトくん。正しく身体を鍛えれば、その身体は剣にも盾にもなります。もちろん身体強化の魔法も大切ですが、最終的にはどれだけ鍛錬をしたかになります」


 そう続けるイザークさん目掛けて一体のフレイムリザードが飛び掛かる。鋭く鋭利な爪は心臓を貫くべく左胸へ向けられた。


 イザークさんは特に慌てることなくその攻撃を左腕で受ける。爪が突き刺さり貫通するかと思いきや、服が切れただけで身体には全く刺さっていない。


 予想外のことに驚くフレイムリザードを逃がすまいとイザークさんは右手で拳を叩き込む。また一体魔力となって霧散した。


「このように、低級の魔物の攻撃なら難なく耐えられるようになります。ですがいちいち受けていると服がボロボロになってしまいますので、普段は攻撃が来る前に終わらせるのが良いでしょう。それと」


 イザークさんはフレイムリザードの爪が当たった左腕に右手をかざす。


「主よ、傷を癒したまえ。ヒール」


 柔らかい光が右手から放射され、少しだけ赤くなっていた左腕の部分が元の色に戻った。


「戦闘が終わった後は必ず身体にヒールをかけること。次の戦闘時どこか痛みがあってはいけませんからね」


 なんてことだろう。どうやら今までの戦闘はレクトに聖職者としての戦い方を教えるためのいわばデモンストレーションだったようだ。


 確かに丁寧で分かりやすく理解もできる。言葉で説明するだけでなくそれを実際に目の前で披露してくれたのだ。レクトにとっても刺激になったに違いない。自分が目指しているものが何なのかわかっただけでも収穫だろう。


 それに私が持っていた聖教会の人間に対する印象も大きく変わった。


 回復が得意な後方支援向きの集団だって? 今のイザークさんの戦い方を見てそう思うものはいないだろう。なんの型かはわからなかったけどあれは間違いなく戦士系統、武術に特化した職の動きだ。


 聖教会に所属するすべての聖職者があんな動きをすることが出来れば、この国のパワーバランスは一気に変貌することだろう。


 だが現状そうなっていないのは、例えば今のは本当にイザークさん個人の鍛錬の結果だからなのかも知れない。他の聖職者が同じように動けるのかはまだ未知数だ。冒険者にだってランクが存在する。それを確かめるためにも、この先の街へ行く必要がある。


「リタさん。そちらのフレイムリザードを少し分けていただいても? レクトくんにも戦闘を体験してもらおうかと思いまして」


「了解。じゃあそっちはよろしく!」


 フレイムリザードは残り三体。一人一体と考えればとても楽だ。ただ、いち冒険者としては若干複雑だけど。


 首を振って邪念をとっぱらい、目の前の魔物に集中する。


 ダガーを握り直し、私はフレイムリザードに向かっていた。

いかがでしたでしょうか。

誤字脱字、ご感想などあればぜひよろしくお願いいたします。

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