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新米冒険者の教育係  作者: ユトナミ
第三章
51/118

教育係とまた一難

投下します。

「……勝ったの?」


 目の前の焼け跡を見ながらも、カレンは最後まで油断しない。剣を構えなおし辺りを警戒する。だがオークロードの気配はもうどこにも感じられず、何かの焼け焦げた臭いだけが残っていた。


「ああ、どうやらそうらしい」


 息を大きく吐きタイラーは持っていた盾を下ろす。カレンも剣をしまいほっと胸をなでおろした。アランはザッハの頭をガシガシと乱暴になで、そのザッハはドッと疲労が顔に出ている。


「つ、疲れた……」


「ああ、お疲れさんだザッハ! よくやってくれた!」


 アランがねぎらいの言葉をかける。ザッハの支援魔法がなければこの作戦は成り立たなかった。アランとカレンの陽動も互いの連携が取れていてさすがの一言。タイラーのタンクとしての役割も無くてはならないものだった。さすが注目株のパーティである。


 爆発音を聞きつけ何事かと思ったほかの冒険者たちが集まってきた。いずれもオリジンが誇る高ランクの冒険者で、その中にリリルの姿もある。


「リタ、無事!?」


「リリル! よかった、大丈夫みたいだね」」


 リリルの後ろには使い魔であるヒイロもいる。どうやら二人とも無事みたいだ。


「オークロードも所詮はただの豚だったな。全然歯ごたえ無かったぞ」


「その割には私の魔力ギリギリまで使ってたようじゃない。あんたを現界させておくくらいの魔力しか残ってないんだから、ギルドに戻るまで余計な戦闘は避けるわよ」


「お前がポーション忘れたのが悪い」


「だから何度も謝ってるでしょ!」


 相変わらず賑やかな二人だ。その後リリルからの話を聞いて私とアランたちは驚愕する。ヒイロの力はすごいものだけど、まさかオークロードを三体もまとめて葬っていたとは思わなかった。この使い魔規格外すぎる……。


 たださすがに暴れすぎた様で、魔力供給をしているリリルの貯蔵魔力が限界のようだ。ポーションは私も切らしてしまったので渡すことが出来ない。


「とりあえず一旦ギルドに戻ろうか。ポーションだったらミラベルさんが作ってるだろうし」


「そうね。そうするわ」


 アランたちにも声をかけ、いったん全員でギルドに戻るということで話がまとまった。アランたちも疲労困憊でさらにポーションも切らしていたので、タイミング的にはちょうどいいと言ったのはカレン。やっぱりこのパーティのリーダーってカレンなんじゃ……。


「おやおや、ここにいたんですね。探しちゃいましたよ」


 軽快な声。まるで友達に声をかけるように発せられたそれは林の奥から聞こえてきた。がさがさと生い茂った草をかき分け現れたのは紫のローブに身を包んだ男性。杖を持っているので魔導士だろうかと予測を立てられる。


「あなたは?」


 オリジンギルドにこんな冒険者いただろうか。装備も、その得体の知れなさも、新米冒険者にしては逸脱している。もしかしたら冒険者ではなくどこかお抱えの魔導士とかかも知れない。世の中の人間が全員冒険者というわけではないのだ。騎士もいれば門番や商人、それに魔導士もいる。


 その可能性もあったので、ふと目が合った私は彼に問いかけた。


「これは失礼しました。ボクはアベル。リタさん、あなたをお迎えに上がりました」


「私を?」


 そう言い終えた矢先、私の真下に魔法陣が展開される。


「リタ!」


「危ない!」


 リリルとカレンが魔法陣から私を遠ざけようと走ってくるが間にあわず、魔法陣はその効果を発揮する。


「お友達もご一緒ですか。まぁいいでしょう。では、ご案内いたしますね」


 アベルと名乗った男の声が聞こえまばゆい光が私たちを包む。思わず目を閉じてしまうほどの光。攻撃魔法の類ではなさそうだ。アベルが発した案内という単語から、この魔法陣は転移魔法だと予想を立てられる。というより転移魔法を使える魔導士を初めて見た。


 本来であれば長距離の移動はグリフォンの羽を使わないと行うことが出来ない。その常識を覆したのが空間魔法と呼ばれるものだ。極めれば場所の移動や物を空間から出し入れすることも可能になる。ランクSにして『白の剣聖』シルヴィア・アロンハートことヴィーちゃんが剣を空間から取り出していたのがそれだ。


 だが空間魔法は習得が非常に困難であり、プレミアも確か習得はしていない。ましてや場所を移動できるほどの空間魔法の使い手となると、その実力は計り知れない。


「着きましたよ」


 アベルの声に目を開く。そこはどこかの神殿のような場所で、奥には祭壇のようなものがあった。辺りを見回してもそれくらいしかなく、あとは石の壁で覆われているだけ。空間魔法での移動を前提としているのか出入口らしいものは見受けられなかった。


「リタ・フレイバーさん、それとお仲間の二人をお連れしました」


 祭壇には影が一つ見える。アベルの言葉に反応し、その影はゆっくりと祭壇を降りてこちらに向かってきた。鳥の顔をし腕は羽、体は人間の形をしたそれは私たちを見回し、羽を広げ高らかに叫んだ。


 まだクエストとしてボードに張り出される前にプレミアが纏めていた書類の束の中で、私はこの顔を見たことがある。高ランクの冒険者に討伐依頼が出されている魔物の上位互角、魔人。その一角。


「ようこそリタ・フレイバー! そしてその仲間たちよ!」


 幻影のアンドラス。


 ランクA案件の魔神がそこにいた。

誤字脱字、ご感想などあればぜひよろしくお願いいたします。

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