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新米冒険者の教育係  作者: ユトナミ
第三章
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プロローグ

三章始まります。

よろしくお願いいたします。

「わたし、おかしいと思うんですよね」


「うん?」


 冒険者始まりの街オリジン。かつて伝説の勇者オリジンが最後に立ち寄り、冒険の基礎を固めた街だ。


 世界中にいる冒険者にとって一度は訪れたい街であり、わざわざ自分のいる街のギルドではなくオリジンで冒険者登録する者もいる。


 当然ながらその関係でオリジンには宿屋が多い。純粋に観光に来る人や、今言ったほかの街から来た冒険者志望の若者を泊めるためだ。


 その数ある宿屋の中でも隠れた名店。【狐の館】と呼ばれる宿屋の一室に私、リタ・フレイバーは居た。


 狐の館にはかれこれ三年居座っている状態で、以前宿の改修作業を手伝ったことで特別にいい部屋を使わせてもらっている。家同然に使っていいと店主のファラさんに言われ、それに甘えさせてもらっていた。


「えーっとユキノちゃん、おかしいって何が?」


 今私がいるのは隣のユキノちゃんが泊っている部屋。


 つい先日まで、私とユキノちゃんは冒険者ギルド【オリジン】ギルドマスターのプレミアの命令によりセカンドという街へ赴いていた。


 そこで少年冒険者のキール君やその姉のロールさん、【赤獅子】と呼ばれるガリウスと出会いセカンドで起こった騒動に巻き込まれる。


 魔剣に転生したベガルタをめぐって、洗脳されたセカンドの元ギルドマスターのポロジックと対峙したけど、久々に会ったランクS冒険者、【白の剣聖】シルヴィアに助けられ事態は収束した。


 セカンドのギルドマスターにはしばらくの間プレミアがオリジンと兼任することとなり、サブギルドマスターにはロールさんが就任することとなる。


 そうしてセカンドでの一山を終え、私とユキノちゃんはオリジンに戻ってきたのだ。


 それが昨日の事である。


 そして今。


 ユキノちゃんに呼ばれ部屋に入り、疑問を投げかけられている。


「あれだけの功績を残しているリタさんのランクがDってことがです」


 ランクD。私の冒険者としてのランクだ。


 冒険者にはランクがあり、上からS下はFまで存在する。


 基本的に低ランクの冒険者は危険度の少ない依頼しか受けられず、それを何度もこなしギルドに認められればランクが上がっていくのだ。


 かくいう私もつい一か月前まではランクE。ランクアップしたばかりだ。


「そっか。ユキノちゃんにはまだランクアップ制度について話したことなかったね」


「ランクアップ制度?」


 私の言葉にユキノちゃんが首をかしげた。


 FからEは他者からのクエストがなくともギルドから出ている救済クエストをこなしていけばランプアップできる。EからDは魔物討伐が条件に入るが、ほかの冒険者とパーティを組むなどすればさほど難しくはない。


 問題はDからCに上がるためのクエストだ。


 これはギルドに指定された魔物を同じランクの冒険者と討伐しなければならない。つまり高ランクの冒険者とパーティを組んでクリアすることが出来ないのだ。


「つまり、わたしといってもリタさんのランクは上がらないんですね……」


 残念そうな声でそう言うユキノちゃんのランクはB。わずか一日でFからBに上がった冒険者は異例だが、それだけの実力と能力を彼女は秘めている。


 ユキノ・コウヅキ。この世界ではない別の世界から来た【来訪者】だ。なんでも不慮の事故で命を落とし、金髪で豊満な胸の女神様に転生させられたという。


 転生時の加護として、どんな病気や怪我もしにくくなる頑丈な体と規格外の魔力を与えられたのだとか。


 その力で竜種であるグリンドラゴンを高位魔法を使って討伐し、プレミアに功績を認められその日のうちにランクFからBとなる。


 本来ならば私なんかといないでもっとほかの冒険者と交流すべき子だ。それを言ったらまた怒られるから言わないけど。


「まあそう残念がらないでユキノちゃん。私は別にランクを上げたいわけじゃないから」


「でもセカンドでの一件で、リタさんに何も功績がないっていうのはおかしくないですか? あのしゃべる剣を使って無茶してまで戦ったっていうのに」


 セカンドでの一件。私がベガルタを使ってポロジックからキール君を守ったことだろうか。あれはああするしかなかったから、仕方なくベガルタの力を使っただけで、別に称えられるほど何かをしたわけじゃない。


 むしろエクスプロージョンを撃ってなおポロジックは生きていて、結果とどめを刺したのはシルヴィアだ。称えられるのはシルヴィアであって私じゃない。


「いいんだよそれで。私はあのときキール君を守れた。それで満足だから」


「リタさんって、周りからお人よしって言われます? いや言われてますよね絶対。たまには自分の事を考えろとか、ゴルドさんとかに言われません?」


 おっと、なぜ知っているのだろう。


「まぁ、たまにね」


「ほらやっぱり。だめですよリタさん、危険を冒したらそれ相応の対価をもらわないと。このままだったらいつかいいように使われちゃいますよ」


「うぅ……耳が痛いです」


 ユキノちゃんのいうことはもっともだ。確かに危険を冒したのであればそれに見合う対価が支払われて当然である。でも今回私は来訪者の調査を受けたのであって、元ギルドマスターの討伐じゃない。さらに言えば討伐すらしていないのだ。


 もちろんサブギルドマスターになったロールさんからはギルドとして、そして個人的に報酬を支払いたいと言われている。だがこれから忙しくなる彼女にそんな面倒な負担を指せるのには気が引けた。


 断っても申し訳なさそうな顔をする彼女に私は、


『キール君から色々教えてもらった。それが今回の報酬でいい』


 と伝え、それで話を打ち切る。


 ロールさんも納得はしていないようだったけど、それで報酬の話は終了した。


「でもランクアップか。あんまり考えたことなかったけど、ちょっと頑張ってみようかな」


「そうですそうです。頑張ってみましょうよリタさん。私もお手伝いしますから」


「いや、ユキノちゃんが手伝っちゃうと私ランクアップできないからね」


 そうでした、とユキノちゃんはペロッと舌を出して自分の頭を小突いた。


 なにそれ、かわいい。


誤字脱字、ご感想などがあればぜひお願いいたします。

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