教育係とランクSの実力
投下します。
よろしくお願いします。
冒険者ランクS。それは人の限界を超え英雄と呼ばれる領域に達した規格外の存在だ。
本来ならランクAが、冒険者ギルドが定めるランクの上限であり人が到達できる限界である。
その限界を何らかの拍子に突破し、一人で国をも陥落させることのできる絶対的な力を持ち、世界にその実力を認められた存在。
それがランクSの冒険者だ。
「間一髪、間に合ったようね」
そういって白く美しい髪をなびかせ、ヴィーちゃんことシルヴィア・アロンハートは笑顔を私に向けた。
「ヴィーちゃん!? なんでここに?」
確か北の国にクエストで行っているとプレミアから聞いていた。複数体の竜種が出現したのでその鎮圧に向かったという話だったが、当の本人は目の前にいる。
「ゴルドから連絡があったの。リタが危険だって。だからトカゲの群れを殲滅して急いできた」
「ゴルドが? ていうかトカゲって……」
竜種をトカゲ扱いとはさすがランクSだ。私なんてグリンドラゴン一匹でヒーヒー言ってたってのに。
シルヴィアは弾き飛ばしたポロジックを見据える。そしてシルヴィアの周りの空気が一変した。
「リタに手をだして、生きていられると思わないことね」
「ガアアアアアアアアアアアアアッッッ!!!!!!!」
魔剣に完全に取り込まれ暴走したポロジックが再び奇声を上げシルヴィアに襲い掛かる。
「リタさん、あの人一人じゃやられちゃうよっ」
「大丈夫だよユキノちゃん」
不安がるユキノちゃんの横で、私は軽い口調でそう言った。
古龍とまともに戦うことのできる冒険者が、魔剣で暴走したくらいの悪漢に負けるわけがない。それよりも心配なのは、シルヴィアのやる気が異様に高いことだ。
「さぁ顕現なさい、ヘラクレイス」
空間魔法を使い中から取り出したのはシルヴィアの愛用する剣の中でも一番殺傷能力に長けた一振り。
真紅の刀身は本来作ることは敵わないが、最高位精霊と覇を競い合った挙句、その力を認められ精霊の加護を宿し今の姿に至るという。
その剣で切り刻まれた者は斬られたところから炎が湧き出し、炎は消えることなく、そのまま灰になるまで燃やし尽くすというとんでもないものだ。
やる気があるのは結構だが、余波で森全体を焦土としてしまいかねない。
「ヴィーちゃん! 森に被害が出ないようにお願いね!」
「心配ないわリタ。すぐ終わるから」
向かってきたポロジックをシルヴィアは難なくいなし、ヘラクレイスでポロジックの持つ魔剣を勢いよく斬る。
衝撃に耐えきれず、魔剣は粉々に粉砕されその破片を飛び散らせた。
魔剣の影響で暴走していたポロジックは、糸が切れた人形のようにその場に崩れおち動かなくなる。
「ほら、すぐ終わったでしょう?」
周りの冒険者たちがあっけにとられている中、得意げな顔をするシルヴィアに対し、私は被害が大きくならなくてほっとしていた。
「これで残す魔剣はそこの一振りのみね。さぁリタ、それを渡してちょうだい」
シルヴィアが手を伸ばす。どうやらポロジックの持っていた魔剣同様ベガルタも破壊するようだ。
『ちょちょちょ、ちょっと待つがいい!』
「あら、剣がしゃべったわ?」
ベガルタの必死な声にシルヴィアの歩みが止まる。
『我は普通の魔剣にあらず。二度目の生をこの剣の体で過ごすようにと女神にこの地に飛ばされたのだ!』
「女神?」
確かユキノちゃんもそんな話をしていたような。ということはもしかしたらベガルタは来訪者の可能性がある。
私はベガルタを地面に突き刺し、ユキノちゃんとシルヴィアの三人で取り囲んだ。
「その話、ギルドに帰ったら詳しく聞きましょうか皇帝陛下?」
お読みくださりありがとうございます。
誤字脱字、ご感想などお待ちしております。




