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新米冒険者の教育係  作者: ユトナミ
第二章
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力の代償

 ギルドマスターがいなくなったその日から、セカンドのギルドは慌ただしくなった。


 当然だろう。なにせ冒険者を纏めるものが居なくなってしまったのだ。


 どっしりと構えていた後ろ盾をなくし、セカンドの多くの人々が街の行く末を案じた。


 表向きはほかの街へ向かったことになっているが実際は違う。僕のお姉ちゃんがギルドで働いているおかげでそういった話も無垢を装いこっそり聞けた。


 ギルドマスターは遠出をしたんじゃない。何かと戦って消息が掴めなくなってしまったのだ。


 何とまでは聞き取れなかったけどおそらくは魔物の類だろう。


 ギルドマスターはセカンドギルド内でも相当の実力者だ。その人が万が一魔物に負けたとなれば、その魔物を倒せるの冒険者はいない。


 ああ、いや違う。一人だけいた。


 ギルドマスターと同じ、赤い鎧に身を包んだセカンドのもう一人の英雄。


 赤獅子ガリウスならきっと、魔物を倒してくれるはずだ。


 だけど。


 もしガリウスも負けてしまったら?


 セカンドを魔物から誰が守れる?


 誰がロールお姉ちゃんを守れる?


『それならお前が守ればいい』


 頭の中でそんな声が響く。


 無理だ。僕にはできない。ギルドマスターやガリウスを倒してしまうような魔物を僕が倒せるわけがない。きっと返り討ちに遭い無様に殺されるだけだ。


『ならば、戦えるだけの力をくれてやろう』


 ふと、目の前に一本の剣が現れる。青白く輝くその剣からは、今まで感じたことのないすさまじい魔力が放出されていた。


『戦う覚悟があれば剣をとれ』


 まるで剣が直接語り掛けているかのようだ。確かにこの剣をとれば、並々ならぬ力が手に入る。だが問題は僕がそれを使いこなせるかだ。


 あまりにも魔力が高い武器を手にしたがために、その魔力に押しつぶされ制御ができず、最後には死んでしまったという話もある。


 身にあった装備をしろと言っていたのはギルドマスターだったか。


 戦う覚悟すなわち、自身の能力以上の武器を扱い死ぬ覚悟はあるのかと。この剣は聞いているのだ。


『フム、どうやら聞き方が悪かったようだ』


 目の前の剣はその輝きを一層増しながらこう言った。


『誰も守ってくれないお前の姉を死なせたくなければ、剣をとれ』


 それは、剣をとるには十分な殺し文句だった。


「ぐっ、うぅぅ……」


 剣をとった瞬間、膨大な魔力が体中に流れ込んできた。身体が軋み眩暈がする。これがキャパオーバーした武器を手にした代償なのだろうか。


 次第に意識が薄れていく。このままではまずい。魔物と戦う前に気を失ってしまう。


『安心するがいい。余に身をゆだね、眠りにつくが良い』


 その言葉を最後に、僕の意識は闇の中に消えた。

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