表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新米冒険者の教育係  作者: ユトナミ
第二章
14/118

教育係と出発前の戯れ

「よし、ちゃんと来たね」


 翌日、私とユキノちゃんはギルドに顔を出していた。

 約束通りキール君も来ている。素直っぽかったからいるとは思っていたけど、いざ姿を見て安心した。


「一応、約束していましたから」


「うんうん、大事だよそういうの。リタさんあの後来てくれるかどうか心配になっちゃって」


「ユ、ユキノちゃん! そういうのは言わなくていいから」


 確かにちょっと強引な誘い方だったから若干の不安はあったけども。


 ともかく、これで今日のパーティメンバーがそろった。

 私は改めてクエストの内容を確認する。


「えー今日のクエストは薬草採取です。クリア条件はこの袋が一杯になるまで」


 私は依頼主から渡された袋をユキノちゃんとキール君にそれぞれ渡した。

 中々大きな袋で、袋一杯にするには多少時間がかかりそうである。


「二人から何か質問はある?」


「はいリタ隊長!」


 ユキノちゃんが元気よく手を上げた。

 彼女もフィールドワークはまだ二回目。わからないことだらけだろう。


「はいユキノ隊員、なんでしょうか」


「バナナはおやつに入りますか!?」


「入りません非常食です」


 そうですかーと少し落ち込み気味なユキノちゃん。

 果たして今の質問に何の意味があったのだろうか。


 はっ! もしかしてキール君の緊張をほぐすためにあえてそんなことを言ったのかも。


 ここでくすりと笑っていれば儲けものなんだけど、反応はいかに?

 わずかな希望を抱き、私は目線をキール君に向けた。


「バナナは非常食……そうですか……」


 あれ、思っていた反応と違う。

 なにアホなことやってるんですかと笑われるものかと思ってたんだけど……。


 もしかしてキール君も落ち込んでる?


「えーっと、時と場合によってはおやつになる……かも?」


 正直おやつになろうがなるまいがどうでもいい。

 即効性の栄養補給物としてしか見ていなかったので、おやつと言われると疑問が出てくる。


 だが二人の今の表情を見るにバナナはおやつで正解のようだ。表情が明るくなっている。


 今の子供にとってバナナはおやつなのか。よし、今度プレミアにも同じ質問をしてみよう。

 子供っぽいし、もしかしたら自信満々におやつって言うかもしれない。


「ほかにはあるかな」


「わたしは特にはありません。キール君は?」


「僕も今のところは大丈夫です」


「わかった。じゃあ行こうか」


 あとは実際に現地で感じてくれればいい。

 私がここで一から説明してもいいけど、ただ聞くのと体験するのとではずいぶん違うからね。


 二人を引き連れ、私は薬草の採取ポイントへ向かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ