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新米冒険者の教育係  作者: ユトナミ
第五章
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教育係と普通のクエスト

投下します。

「マージにエルギン、ルーペンもいる。すごい、マージとルーペンはランクBに上がったんだ」


 海魔討伐の依頼書に書かれていた受注パーティーとメンバー。一組しか受注がないが、メンバーは全員知っている。オリジンで別れた以来だったけど、元気そうでなによりだ。


「リタさん、もしかして勇猛なる炎の皆さんとはお知合いですか?」


「うん。全員顔見知りの冒険者なんだ。オリジンに居た頃はこの三人とはよくクエストに行ってたんだよ。この二つ名持ちの子は、冒険者研修が終わったその日にグリンドラゴンを討伐してランクBになったんだ」


「ぼ……冒険者になったばかりで竜種を討伐したんですか!?」


 唖然とするレビルさんに私も苦笑しながらうなずく。この反応は当然だ。数多くいる冒険者の中でも、その日にランクBに認定された冒険者は聞いたことがない。今でこそランクSだがあの白の剣聖でさえランクBに行くのには多少時間がかかった。


 もちろん昔と今とでは判断基準も材料も違うし、何よりユキノちゃんをBに認定したのはあのプレミアである。判断基準は将来性を加味してと言えば聞こえはいいが、実際のところ面白半分期待値半分といったところか。


 だけど竜種を倒したのは事実であり、その上いつの間にか竜殺しなんて二つ名まで獲得している。ここまで見据えてランクBにしていたのであれば流石としか言いようがない。遊んでるように見えて意外と見るところは見ているからなあのギルマス。


「勇猛なる炎の皆さんは依頼達成率も高く、ランクBパーティーのなかで今最も勢いのあるパーティーみたいですね」


 資料を確認しながらレビルさんは勇猛なる炎の戦績を教えてくれた。


 とある村付近に出没するリザードベアーの駆除。湿地帯でジャイアントスネーク排除。そしてアストロ火山頂上でのフレイムドラゴン討伐。どれも冒険者として誇れる功績だ。リザードベアーとジャイアントスネークの推奨ランクは確かBだったはず。そしてフレイムドラゴンの推奨ランクはA。


「なるほど。フレイムドラゴンを倒したところで、パーティー名を『オリジンの愉快な仲間たち』から『勇猛なる炎』に変更したみたいですね」


「そのパーティー名よく通ったね!?」


 そんな面白おかしいパーティー名を、リザードベアーとジャイアントスネークを討伐したときはまだ名乗っていたことに驚きを隠せなかった。きっとユキノちゃんとマージが押し切ったんだろう。エルギンとルーペンは何でもっと抵抗しなかったんだ。


「ユキノさんに二つ名がついたのもフレイムドラゴンを倒したときからですね。冒険者になりたてでグリンドラゴンを討伐。その後旅路の中でフレイムドラゴンを撃墜。竜殺しの名にふさわしい功績ですね」


「確かにね。でも推奨ランクAのフレイムドラゴンを倒したのに、ユキノちゃんのランクがBのままなのはなんでなの? 普通昇格してAになるもんじゃない?」


「冒険者のランクがAになるには、魔物討伐のほかにギルドマスターから出される課題があります。ただ現在ギルドマスターの方々は王都に集まっていらっしゃるので……」


「なるほど。ギルマスからの課題は一旦お預けってところか」


 ギルドマスターからの課題を受けられないなら仕方ない。それならほかのクエストに精を出そう。勇猛なる炎はそう舵を切ったわけだ。ランクBパーティーなら資金も順風に巡り始めていてもおかしくない。どこかの都市や街でゆっくりできたはずなのにそうしなかったのは、何かこの貿易都市に目的があるのだろうか。


「じゃあ海魔討伐は勇猛なる炎に任せて大丈夫そうだね」


「全員欄ランクBの凄腕冒険者で、何よりあの竜殺しが来てくれますから! 炎魔法で海魔を蒸発してくれますよ!」


「それは頼もしいね。それじゃ私は海魔討伐が終わるまでは、別のクエストをしてようかな。何かある?」


「そうですね……このクエストはいかがですか?」


 レビルさんが提示したのは納品の依頼だった。


「都市の外れにある森林での薬草採取です。薬の調合に使うみたいなんですけど、材料である薬草を切らしてしまったみたいで」


「了解。じゃあそのクエストで」


 海魔の方はユキノちゃんたちが対応するのであれば特に出番はなさそうだ。ランクDがいてもできることはあまりないだろうし。


 受注を済ませ、私は森林へと向かった。

誤字脱字、ご感想などあればよろしくお願いします。

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