勘違い
「おとこじゃねぇぇぇか!!」
怒髪天をつくかのように鬣を逆立てて真っ赤な眼は明らかな敵意を持ってラスを睨みつけていた。
「ひっ!ご、ごめんなさい!!」
「ごめんなさいじゃねぇよ!!ユニコーンだぞ!?わかる!!??」
「ユ、ユニコーンなのはわかってます」
「ユニコーンの伝説知らねぇのか!?ユニコーンは処女にしか懐かねぇんだよ!!」
あまりのユニコーンの迫力にラスの眼は涙がにじみだしている。
「ララスって言うし!!女みてぇな見た目してっから勘違いしたじゃねぇか!!偽名使ってガーディアン呼び出すとか舐めてんかてめぇ!!!」
「偽名を使う気はなかったんですがちょっと行き違いがありまして・・・」
「訂正しろよ!てめぇの名前間違えられてなんでそのままでいくの!?怒れよ!!自分の名前間違えられてんだぞ!!」
「ぼ、僕の言い方が悪かったのもあるので」
「真面目!!!」
「そ、そんな大きな声出さないでくださいよ・・」
「念話だぼけ!!馬がしゃべるか!?」
ーーードガッ!!!---
しばらく雑言をまくしたてるとユニコーンがその前足で地面を踏み破る。
「おい餓鬼っ!俺は大嫌いなものが三つある。
一つ、男
二つ!なよなよしてて女みたいな男
三つ!!!怒ることもできねぇ意気地なしな男!!」
ゆっくりした足取りでユニコーンは歩みだすとラスの横を通り過ぎ協会の入り口に向かう。
「お前は全部に当てはまってる。お前のガーディアンになるなんてまっぴらごめんだね。」
「まっ!まってよ!!」
ラスの静止も聞かずにユニコーンは教会を出て行ってしまう。協会に残されたラスはゆっくりと頭だけ振り返り呆然としている神父に向かって口を開く。
「ガ、ガーディアンに捨てられちゃいました。」