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19/24

18

一度書き上げた18話を間違って一度消してしまい…

登校時間が遅れてしまいました。

挫けそうでしたが書き上げる事が出来ました。

どうしてこうなってしまったのだろうか…

今、子爵家の応接室とは到底思えない顔ぶれが膝をつき合わせている…




オーステル王国には王家を筆頭にその相談役となる二大公爵家がある。

ダンジェルマイア公爵家とエッフェンベルク公爵家だ。

その二家は王家と薄くない血の繋がりがあり、オーステル王国を支えてきた。

軍務のダンジェルマイア公爵、政務のエッフェンベルク公爵と呼ばれている。


その直ぐ下に位置するのが実際に実務を担当する三大侯爵家。

武のバイルシュミット侯爵、魔のチェスクッティ侯爵、財のコルトレツィス侯爵。


その更に下には五大辺境伯が控え、それ以下は三侯爵五辺境伯に属する形となる。

我が家で言えば、お父様の上司であるブルグスミューラー伯爵はコルトレツィス侯爵の腹心なので財の組織の一員であり、エッフェンベルク公爵家の末端と言える。




その末端に限りなく近い場所にいる、まさに今日子爵家になったばかりの弱小新興子爵の屋敷の応接室にオーステル王国の武の頂点と財の腹心という通常在り得ない二人が顔を合わせている。



遡る事、一刻半。

迷子として我が家に受け入れた上位貴族の子リーンが、迎えの執事によりバイルシュミット侯爵家の子である事が発覚し…逃げた。それも、ジークを道連れに私の部屋にだ。他に知る部屋も無かったので仕方のない事なのだが…私の私室に立て籠もってしまったのだ。

私とバイルシュミット侯爵の執事アリョーシャで説得を試みるも、返ってくるのは怒りと悲しみと絶望の言葉ばかりで…終いには、ジークが泣き出した。泣き出したジークを励まそうと話しかけたが「リーンさまといっしょにいる!」と主張されてしまい完全にお手上げ状態となった。

話せば話すほどチラチラと見え隠れするバイルシュミット侯爵家のお家騒動に執事アリョーシャはこれ以上は自分の手に余ると判断したのか私兵を残し我が家から飛び出していった。


我が家からバイルシュミット侯爵家の馬車が飛び出していった直後、二台の馬車がすれ違う様にして我が家の前に止まった。

お父様がどういう訳かブルグスミューラー伯爵を連れて帰ってきたのだ。


飛び出す馬車と屋敷の前まで出ていた私を見たお父様とブルグスミューラー伯爵は、ただ事ではない事を察してくれた。

「ここは一旦挨拶は省略し状況を説明してほしい」と言うブルグスミューラー伯爵の言葉に、屋敷を移動しながら大雑把ではあるが要点を掻い摘んで説明した。

立て籠もり現場である私の私室の前に到着し、バイルシュミット侯爵家の私兵を確認したブルグスミューラー伯爵は、少し目を細めて「これは、私も立ち会わないと不味いかもしれないねぇ」と言った。


このままでは、末端の弱小新興子爵と武を担う侯爵家の話し合いになってしまう。

別件で用事があり我が家まで赴いた伯爵だったが「来てよかった」と言った。全くその通りであった。これからどんな話になるか解らない。財の末端が武の頂点に食われる訳にはいかない。


伯爵の独り言の様な言葉とは別に、お父様はジークを説得していたが成果は得られなかった。むしろリーンに何かを聞いたのかジークの意思はより強固な物になっていた。



「うーん…これは困ったねぇ…」


「はい。どうしてよいものか…」


「ブルグスミューラー伯爵、お父様、申し訳ありませんでした。」


「リーゼが悪い訳ではないよ。たまたま…偶然そうなってしまっただけだ。」


「バイルシュミット侯爵家だけの問題みたいだし、大事にはならないと思うけどねぇ。どこまで話しに入れるか解らないけど、出来る限り最後まで付き合うよぉ。」


「ありがとうございます。とても心強いです。」


「いいの、いいの。クラウゼン卿にはこれから沢山頑張って貰うからねぇ。あぁ、これからバイルシュミット侯爵が来るよね。その前に家名の話し、しておいた方がいいんじゃない?」


貴族名鑑でも見た覚えのない「クラウゼン」の家名に首を傾げている私に伯爵は気が付いたようだ。流石、財の腹心…少し間延びした口調とは違い、洞察力が凄いようだ。少しばかり恰幅の良い、人の良さそうな雰囲気はあるが腹心とまで言われる人だからきっと見た目通りの方ではないのだろう…


「そうでした、ブルグスブミューラー伯爵。お気遣い感謝致します。」


「今日から貴族なんだし、僕は君をかっているからねぇ。そろそろ親しみを込めて呼んでもらっていいと思うんだけどなぁ。どうかな?クラウゼン卿?」


「…はい。それでは、ブルグスブミューラー卿。少しお時間を頂いて、娘に説明をさせて下さい。」


「どうぞどうぞ。」


そう言うと、私に向かってパチリとウィンクを飛ばした。


「リーゼ!いや、リーゼロッテ。『天上の宴』にて陛下よりお言葉を賜った。家名はクラウゼン。そして、貴族に相応しい名前をとご配慮頂き陛下直々に、リーゼはリーゼロッテと、ジークはジークフリートと名を改めよとお言葉を頂いたんだよ。これはとっても名誉な事なんだ。陛下が付けて下さった。私たちはこれからこの名に恥じぬ行いをしていかなければならないよ。」


「私は、リーゼロッテ・クラウゼンとなったのですね。解りました。」


「はははっ!違う違う!そんな素晴らしい物じゃないよぉ。陛下はね、もっと報奨金を上乗せしたかったんだよぉ。だけど財政的にあれ以上出す事ができなくてねぇ。いやはや、申し訳ない。それで苦肉の策と言うか、陛下が自分で名前を付けるとか言い出したんだよぉ。君たちの事は報告があがっているからねぇ。陛下は身内を断罪する苛烈な一面もあるが、本質的には守るべき民を想うお優しいお方だ。気が済まなかったんだろうよぉ。実際、クラウゼン子爵家が齎した功績はあの報奨金じゃ全然足りない程のものだしねぇ。」


「そこまで評価して頂けるとは…光栄です。」


「ふむ、ここでリーゼロッテ嬢が返事をするか…。やはり、クラウゼン卿が言った娘の功績と言うのは本当みたいだねぇ。実に聡明だが…まだまだ迂闊だねぇ。十にも満たないんだし仕方ない事だけどねぇ。君の発想力はとても素晴らしい、でもまだ子供で女の子だ。コルトレツィス侯爵にはしっかり報告しておくよ。財の貴族達が君を守るからねぇ。これからもっと貴族について学ぶんだよぉ?」


「お言葉、胸に刻みました。ありがとうございます、ブルグスブミューラー伯爵。」


お父様の功績でいいと言いながらも、無意識に反応してしまっていた…私の心にはまだ「認められたい」と言う前世の想いが燻っている様だ…私の驕りでこの先、他人からどう見えるかが変わってくるそれは…前世と言う知識に頼った【才女】か【狂人】か…今一度心の帯を結びなおす必要がある。どちらに転んでも私が望んでいる「普通の家族」は遠くなるだろう…普通にならなくちゃ…



「失礼致します。旦那様、バイルシュミット侯爵がいらっしゃいました。」


「そうか、出迎えよう。」


「じゃあ僕もご一緒しようかな。どういう事になるか解らないけど、僕がいる事を侯爵に見せておいたほうがいいからねぇ。」


ニコニコとした表情の伯爵と緊張で強張ったお父様がとても対照的だった。

玄関まで赴くと、伯爵を目にしたバイルシュミット侯爵がほんの僅かに眉を歪めた。先制攻撃は決まった様だ。伯爵の笑顔が深まるのが解った。


「夜分遅くに申し訳ない。挨拶は王宮で済ませたばかりだが…こちらで世話になっているリーンハルトの父、ボーデヴィン・バイルシュミット侯爵だ。この度は、我が家の事に巻き込んでしまい…忸怩たる思いだ。」


「とんでもございません。ザームエル・クラウゼン子爵です。こちらは、所用で我が家を訪ねて来られたブルグスブミューラー伯爵。そして、我が娘のリーゼロッテです。」


「バイルシュミット侯爵、コンラディン・ブルグスブミューラー伯爵です。まさか、クラウゼン卿の屋敷でお会いするとは思ってもおりませんでした。」


「クラウゼン子爵が長女リーゼロッテです。よろしくお願い致します。」


簡単な挨拶を済ませ、まずはとバイルシュミット侯爵を私の私室の前まで案内した。

バイルシュミット侯爵の執事が私兵と何か話しをし、執事が侯爵に耳打ちをした。恐らく、居ない間の報告と思われるが状況は何も変わっていない。


「リーンハルト!お父様だ!話をしよう!開けてくれっ!」


ドアノブがもげてしまいそうな勢いでガチャガチャと回される。流石、武の頂点のバイルシュミット侯爵だ。細身の大人の足程ありそうな腕、服の上からでも解る筋肉質な身体。しかし、先程までの歴戦の騎士といった表情はどこへやら…難しい表情は変わらないもののその目には不安の色が見える。


「リーン!クラウゼン子爵に迷惑が掛かってしまう!ここを開けるんだ!」


「嫌です!!お父様はお母様の味方ではありませんか!僕の事なんていらないはずだ!ならば僕だって自由があっていいじゃないですか!…そうだ!僕は子爵家の子になります!ジークの兄になります!!!」


「なんて事を言うんだ!彼は長男だ!迂闊な事を口にするんじゃない!!」


「そんな事は、わかっています!でも、そういう事じゃないのです!!!お父様なんて嫌いです!!僕はもう、女の子の恰好などしたくないっ!どんなに頑張っても僕はリースヒェンにはなれないんです!!あっちに行ってください!!!」


「リーンハルト!兎に角、出てくるんだ!」


「…」


「リーンハルト!リーンハルト!!」


「…」


「クラウゼン子爵…、弁償はする…このドアを破壊しても良いだろうか…」


「えっ!?いや、構いませんが…大丈夫でしょうか…」


「お父様!!!このドアは、僕とジークが抑えています!壊せば僕たちが怪我をします!!それでも壊すという事は、僕なんか傷ついてもいいと言う事ですね!!!?」


「っ!?そういう事ではない!私はお前が大切だ!ジーク君も傷付けるつもりはない!」


「ならば、放っておいてください!!」


父親相手に一歩も引かないリーンハルト。道端で遭遇した時は虚ろな瞳をしていたのに…きっと抑え込んでいた感情の堤防が崩壊して自制が効かないのだろう…意地になってしまっている。


暫くの間、親子の言い合いは続いたがそれを止めたのは侯爵の執事アリョーシャだった。

執事の耳打ちにバイルシュミット侯爵が息を一つ吐き、こちらに振り返った。


「すまないが、茶を一杯貰ってもいいだろうか。こうなってしまっては説明が必要だ。リーンハルトも頑なになってしまった…少し間を開け互いに頭を冷やしたいと思う。どうだろうか…。」


バイルシュミット侯爵は、少し迷いながらもリーンハルトに聞こえる様に提案をしてきた。お父様もブルグスブミューラー伯爵もそれを承諾し、私を連れて我が家の応接室へと向かった。


廊下とは打って変わり、煌々と暖炉の火が燃え盛りじんわりとした温かさが身に染みる応接室で、カチャカチャと小耳良い茶器の音だけが響く。メイドが真新しいカップに温かいウィーティを注ぎ、それぞれの前に菓子を添えて提供していった。


「これはウィーティと言う珍しいお茶です。独特の香りを楽しんで頂けると思います。菓子は合わせて甘さを控えた物をご用意しました。」


お父様が説明をし、ウィーティを飲み菓子を小さく口にした。

それを見届けて、バイルシュミット侯爵とブルグスブミューラー伯爵がそれぞれウィーティに口を付ける。ブルグスブミューラー伯爵は目を細め、バイルシュミット侯爵は一口飲むと一気に飲み干した。


「紅茶と違って華やかな香りは無いが、香ばしいとても飲みやすいものだな…」


「そうですねぇ、バイルシュミット侯爵。これは初めての味です。興味深い…」


そう言って伯爵はチラリと私を見た。敵わないなぁ…

飲み干されたカップに再度メイドがウィーティを注いだ所で侯爵が人払いを頼んできた。

メイドと我が家の執事ビョエルンが部屋を出たので私も出ようとしたのだが、それはバイルシュミット侯爵に止められた。


「無理を言ってすまないな。夜も遅いので…掻い摘んで今回の…我が侯爵家の話しをしよう。畏まらなくていい。我が家の問題であって、王国が絡む様な事でもない。まして、罪にあたる話でもない。罪があるとすれば私の息子への行いだな…話しを聞き、できればクラウゼン子爵には協力してもらいたい。」


「協力ですか…」


お父様は明らかに困った顔をしてブルグスブミューラー伯爵を見た。


「まぁ、まずお話を聞きましょうクラウゼン卿。ここまで知ってしまってはもう同じです。」


「わかりました。」


「今回の件は、私と…そして妻の罪で、リーンハルトは被害者だ。私はその事にずっと目を背け、賢いリーンハルトに全てを押し付けてしまっていた。時間が解決すると見て見ぬふりをしてきたんだ。リーンハルトがこうなるまで…大丈夫だと思っていたんだ。」


そこで一旦言葉を区切った侯爵は、ウィーティを一口飲んで天井を見つめた。

ほんの僅か、天井を見つめ…私たちに向き直った時には、父の顔になっていた。そこには、武の頂点に相応しい訝しさも険しさも無かった。


「これは知られている話だが、バイルシュミット侯爵家は男家系だ。そして、私の妻の家もそうだった。男ばかりで武の家だ、間違いがあってはならないからねメイドは最小限に、使用人は男を中心に採用していた。妻はね、少なからずそれを不満に思っていた。生まれる子も男児が続き、妻は女児を切望したんだ。そして四回目の出産でその想いは実った。女の子が生まれたんだ。双子だった。双子の出産は大変難しい…妻はそれを乗り越え産んだんだ。それはそれは娘を可愛がった。双子はとても可愛く、そっくりな見た目をしていたよ…ただ一つ、性別が違ったんだ。それが、息子のリーンハルトと娘のリースヒェンだった。」


誰も口をはさめなかった。ただ頷くだけで、侯爵の声を遮る人はいなかった。


「妻は、リースヒェンを可愛がった。リーンハルトが可哀相になるくらい、リースヒェンだけを可愛がった。だから、上の子たちも私もなるべくリーンハルトを可愛がった。リーンハルトは賢い子で、妻の気持ちを汲んでくれた。いつか見てくれると思っていたのかもしれない。4歳の頃、リーンハルトはとても優秀な子になったが、リースヒェンは妻の甘やかしが過ぎたせいでとても我が儘な子に育っていた。しかし、洗礼前だ。洗礼が済めば淑女教育もはじまる。いずれ落ち着くだろうと静観していた。そんなある日、妻がリースヒェンと最低限の共を連れて郊外へ出かけたんだ。リースヒェンが花畑を見たいと言ったのが切っ掛けだった。そして…リースヒェンは帰って来なかった。用水路に落ち流され…捜索も空しく、見つかる事はなかった…。妻は倒れ、嘆き、心を閉ざし部屋から出て来なくなった。声を掛けても奇声を上げる彼女に私は手を焼いた。元々リースヒェンの事があって少し心が離れてしまっていたんだ。私は、また静観した。そして洗礼式が迫った冬の終わりに妻が部屋から出てきたんだ。リースヒェンを連れ…いや、リースヒェンのドレスを着たリーンハルトを連れて…。」


口から小さく「そんな…」という言葉がでた。ハッとして周囲を確認すると、驚愕の表情をしたブルグスブミューラー伯爵とお父様が目に映った。皆、思いは一緒のようだ…


「そこから妻は更に変わってしまった。我が儘が過ぎたリースヒェンを許さなくなった。一度失ったのがそのせいだと思ったからだった。私も流石に止めに入ったが、リーンハルトが「お母様の為に我慢します」と言ったんだ。リーンハルトも、いつかきっとと願っていた。しかし、洗礼式を迎え妻は更に厳しくなった。洗礼式はなんとか妻をごまかしてリーンハルトとして登録をした、教会を騙す様な行いはしていない。だが、そこで妻を誤魔化すのではなく止めておけばよかったと後悔してもしきれない…。妻は、リーンハルトに淑女教育を始めた。歩き方から食事のマナー、語尾を淑女らしくと叱り、笑い方が下品であると罵り、淑女たれと時には手を挙げる事もあった…。そのうちリーンハルトは全く笑わなくなった…。そうなって、私はもうどうしていいのか解らなくなってしまった…。そして今日、『天上の宴』で私と妻が出かけた隙に逃げ出したんだ…。」


バイルシュミット侯爵は、ついに人に話してしまったと言う不安と、胸の内をさらけ出せたという安堵と、なんとも言えない表情をしていた。


「そして先程のリーンハルトを見て決めた。…妻には、申し訳ないが実家にて療養をしてもらう。今の妻は侯爵家には残して置けない。妻愛しと庇ってきたがもう限界だ。私は、リーンハルトを取るっ!」


「そうですねぇ。それが懸命な判断かと愚考致します。」


「バイルシュミット侯爵の判断は、正しいと思います。」


ブルグスブミューラー伯爵とお父様がやっと口を開いた。


「そこで、クラウゼン子爵には協力をして頂きたい。」


「と言いますと…」


「私はリーンハルトに出来る限りの事をしてやりたいと思っている。リーンハルトは、こちらの御長男を大変気に入ったと、現在唯一の友だと思っているだろう。私はその縁を無理に切りたくはない。武と財、侯爵と子爵、垣根はあるがなんとかリーンハルトの為に縁を結んではくれないだろうか!その為ならば、縁談もやぶさかではない!」


「縁談!?誰と誰の縁談ですか!?」


「もちろん、リーゼロッテ嬢と我が侯爵家の…次男か三男…リーンハルトが望むのであればリーンハルトと…年を気にするのであれば私の元の貴族に当たっても良い。どうだろうか、リーンハルトを助けてはくれないか…。」


「バイルシュミット侯爵!ダメです!流石に爵位に差がありすぎます!過ぎた行いは両家の為になりません!何か別の方法で報いるなど…兎に角、今軽々しく御決断なさるのは…」


「ブルグスブミューラー伯爵、私は軽々しく等考えてはおらん!」


あかん、完全に暴走している…どうにかしないと、早々に結婚させられる!

お父様は「リーゼが結婚…リーゼが結婚…」とブツブツトリップしてしまっている。全然当てにならない!!私が口をはさむしかない!!


「バイルシュミット侯爵、私から発言しても宜しいでしょうか?」


「あぁ、構わない。何かなリーゼロッテ嬢。」


「バイルシュミット侯爵は、それ位の想いを持ってリーンハルト様に償いたいとお考えなのですよね?でしたら、そのお力はリーンハルト様とジークフリートの為に使って下さいませ。両家の縁談にはとても問題が多いと考えます。ですが、友情であればそこまでの問題にはなりません。そのお力を持ってリーンハルト様が望む様に助けて欲しいのです。」


「そっ、そうです!我が家は大した迷惑など受けておりませんし、リーンハルト様とジークフリートが望むのであれば友となれるのは光栄な事であって、それに対して対価など要求致しません!」


お父様がついに再起動した。よかった、頑張れお父様っ!


「僕も何も、何も見ていませんよぉ。ここには所用があって来ただけで、バイルシュミット侯爵にはお会いしていない気が致します。」


「…そうか。そうか。私はまたリーンハルトの気持ちを考えていなかったのだな…。」


「バイルシュミット侯爵のお気持ちは痛いほど伝わりました。その想いをそろそろリーンハルト様に向けては如何ですか?」


「…そうだな。解った!少し席を外すっ!すまなかった!」


お父様がベルを鳴らすとメイドがドアを開き、侯爵様を私の私室へと案内していった。

足音がどんどん遠くなり聞こえなくなると伯爵が口を開いた。


「武の頂点に貸し一つ…。いいよぉ~大きいよぉ~本当に今日は来てよかった!」


ブルグスブミューラー伯爵は小さくホッホと笑った。本当喰えない人だ…

誤字脱字、矛盾や感想等 是非宜しくお願い致します。

作者は恋愛物のつもりで書いてます!


9月25日修正:魔の侯爵家の家名を間違えて表記していました。

×魔のフロイデンベルク侯爵 〇魔のチェスクッティ侯爵

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