薬
企画「ひだまり童話館」のお題「とろとろな話」です。
「こんな感じかな」
俺はスプーンでそれをすくった。
とろとろ~
さぁ、これを飲ませなければ!
俺は弟の部屋の扉を開いた。
「滋、具合はどうだ?」
「……ああ、兄貴、ゴホッゴホッ」
「風邪がひどくなってるな。薬を作ったから、これを飲め」
「な、なんだよ、それ!黒いってありえねえ!」
「薬を混ぜてたら、この色になったんだよ。絶対効果あるぞ」
「そんなもん、誰が飲むか!ゴホッゴホッ」
「このとろみがきっと喉にいいぞ」
さあ、弟は熱で動けない。今だ!
ガシッ
俺は弟を抑えつけると口を開けさせ、液体を流し込む。
「ぐえっ」
「吐くな!」
翌日、弟は部屋から出てきてダイニングに降りてきた。
「お、滋。具合は良くなったようだな」
「……兄貴のおかげでね……だけど俺で実験するのはやめてくれよ!研究室でやってろよ!」
「実際に効果があるかは人で試さないとな」
「人体実験、反対!」
家で作るのも楽しかったな。ただ、あのとろとろした感じはどうやったら出来たのかわからん。それに喉に効いた理由もわからん。また実験だな。弟で。