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夜明けのソラの契承者 悠久漂流帝国  作者: やたか なつき
四章「継承者」
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「ばかなのか、貴公は?」

 アイリスは、開口一番、告げた。

あからさまに怒りを露わにしてはいない。

一方で、如何にも不愉快であるという声色ではあった。

「まずは、非礼をお詫びします」

 罵倒された方が、謝るというのは奇妙な構図ではあるが、ソウマに躊躇いはなかった。

現状においては、罵倒されて然るべきであると自覚していた。

「その様子ですと、ご期待に沿うことはできなかったようですね」

「こんな結果を期待してたまるものか。

これほどまでに惨めな気持ちになったのは久しくないことだ。

慙愧に堪えぬ。

自己への嫌悪で、どうにかなってしまいそうだ」

 アイリスの表情は、ベールに隠され窺い知れない。

だが、ソウマは、そこに凄惨な笑みを想像せざるを得なかった。

「卿は、止めなかったのか?

いや、止められなかったのか?」

 アイリスは、ソウマの隣りで小さくなっているティアスに気づくと、言葉を射る。

「わ、私も、このようなことになるとは」

 ティアスは、慌てて言葉を探すが、声にならない。

ただ、無意識は縋るように、ソウマの袖に指先を伸ばしていた。

「責めないで下さい。諫言は頂きました。その上で私が判断したことです」

「で、あろうな。全て貴公の責任だ」

「どうにかするつもりですよ。そのために来たのですから」

「言ってくれたな。

かびの生えた者共ほど、体裁を気にする。

帝国にも、少なからず、巣食っておる。

ここまでされては、余とて止められぬぞ?」

「止められないように、念を入れたつもりです」

「確信犯ということか。

でなければ、困るがな」

「宇宙の出会いには、戦いが必定なのでしょう」

「余も否定はせぬよ。

そう考えたからこそ、貴公の力を慎ましく測ってきた」

「お心遣い感謝します」

「帝国のためだ。気にせずともよい」

「だからこそでもあります。

気を遣われる方も、気を遣うものです。

手を伸ばされているのに、それを無視し続けるわけにはいかなかった。

こちらも、その気があるということを示さなければ、

互いに焦がれながらも、すれ違ってしまうかもしれない」

「あからさまに過ぎたか。反省せねばな」

「いえ、それはそれで良いのだと思います」

 数瞬の穏やかな沈黙があり、そして、アイリスは告げる。

「貴公は、今や帝国を脅かす侵略者に他ならない」

「全く皮肉な結果です」

「この戦いで犠牲が出れば、地球への敵愾心は拭いがたいものとなろう。

それで、良いのか?」

「覚悟の上です。

解り合うためには、痛みも必要なのでしょう」

「否定はできん。だが、それは、強者の論理だ」

 アイリスの言葉には、哀しみと諦めがあった。

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