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夜明けのソラの契承者 悠久漂流帝国  作者: やたか なつき
三章「侵略者」
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10

「私を、どうするつもりですか?」

 ティアスは、機先を制した。

それは回りくどいやり取りを拒絶する意思表示でもあった。

「どうするつもりもありません」

 ソウマは察し、素直に要望に応じる。

「すぐにでも、お帰りを願いたいというのが本音です。ただ、帝国が通信に応じてくれずに、こちらとしても困っています」

「機体を返してさえ頂ければ、お手をわずらわせることはありませんが」

「ここにはありません。置いてきました」

「では、どうやって」

「私の機体で運びました。気を失っている間に、乗り換えて頂いたというわけです」

「そうでしたか」

「それに機体があったとしても、お渡しすることはできません。

単騎で長距離を航行できる能力はないようですので、

木星圏の第二艦隊に合流することも難しいでしょう」

「それは――」

 的を射た指摘であり、ティアスは言葉を返せなかった。

「いずれにせよ、危険性がある以上は、応じられません。

先の宣誓に反することになります」

 強制的に送り届けることもできた。

だが、引き渡し後、ティアスの身の安全を保証できないという問題があった。

言い訳のため、全ての罪を押し付けられ、裁かれることもないとは言い切れない。

そのため、帝国の出方を窺うことが最良であるというのが、ソウマの判断である。

「そんなわけで、帝国と連絡が取れるか、何らかの動きがあるまで、こちらに滞在をして頂こうと考えているわけです」

「わかりました」

 ティアスは、選択肢がないことを理解している。

反抗は無意味であり、無意味なことをするほど愚かではない。

「クノスさんのことをご存知でしょうか?」

 特に意図があったわけではない。

ただ、なんとなしに放たれた言葉は、刺さっていた。

どう答えるべきか?

ティアスは、言葉を探す。

一瞬、それも僅かな動揺であったが、ソウマは見逃さなかった。

「はい、尊敬すべき方です」

「そうでしたか、最近、お会いには?」

「いえ? クノス様が何か?」

 嘘である。

だが、そこに不自然さはない。

ティアスもまた、優秀であった。

既に、状況に対応している。

「別れの挨拶もできずにいたので、どうされているのか、気になっておりまして」

「そうですか」

「クノスさんが、地球に滞在していた折には、多くの言葉を交わしました。

議論の中で、衝突することもありましたが、

結果、互いを信頼しあえる良い関係を築くことができました。

ティアスさんとも、同様に、親交を深めることができると私は考えています」

「クノス様とは、どのようなお話を?」

「そうですね。まずは、互いの文化について、話をしたと記憶しています」

 そして、二人は、少しづつ、話をはじめた。

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