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夜明けのソラの契承者 悠久漂流帝国  作者: やたか なつき
三章「侵略者」
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 赫狼は、射線を躱しながら、電磁投射砲を打ち払う。

これは既に、どうにもならない。

それでも、どうにもならないなりに、できることはある。

より速く、より強く。

ソウマは、意識し、実行する。

打槍は、より速く、より強く、電磁投射砲を打ち払う。

破壊するためではなく、弾き飛ばすための選択である。

 だが、それだけでは、足りない。

赫狼は、減速をかけながら、相対する機動装甲の腕を掴む。

相対速度の差からなる衝撃が機体を襲い、腕の関節が悲鳴を上げるが、想定の内である。

ソウマは、そのまま、引き寄せるように、機体と機体を重ねた。

行き場のない速度を錐揉の中で減衰させ、その前後を入れ替えた状態で安定させる。

結果、赫狼は、機動装甲の盾として、電磁投射砲の間に、割り込む形となる。

極芸であった。

 間もなく、電磁投射砲は、自らが投射せんとした威力により自壊した。

赫狼の背を衝撃が襲うが、損傷を与えるほどではない。

ソウマは、赫狼の腕をほどき、抱きかかえていた機動装甲を自由にする。

反撃を警戒するが、そも、反応がなかった。

搭乗者は、接触の衝撃で意識を失っていた。

 とかく、結果として、赫狼は天狼弓をを含む六機の機動装甲から、一瞬で、火力だけを奪い取ったみせた。

それは、圧倒的な戦力差の証明であった。

「引くぞ」

 既に、クノスは退避に動いていた。

赫狼が、機動装甲に気を取られている状況は、またとない好機である。

「ですが――」

「我々の任務は、情報を持ち帰ることだ。

今を除いて離脱の機会はない。

案ずるな、捕虜として、相応の扱いを受けるだろう」

 捕虜ではなく、客人として、遇されるであろうことは、想像に難くない。

だが、クノスは、敢えて、口には出さなかった。

「了解しました」

 五機の機動装甲は、微小天体の群れの中へと転進する。

同時に、その中に、仕掛けてあった爆破装置に信号を送った。

数秒後、起爆プログラムに順じ、連鎖的な爆発が発生する。

間もなく、飛礫の弾幕と金属製の煙幕による、結界が形成された。

 ソウマは、反応しない。

何もせず、五機の機動装甲の背を見送った。

追撃の意思はない。

そもそも、戦闘の意思など、初めからなかったので、必然の対応である。

さらに言えば、抱えている機動装甲を捨て置いて、追撃するわけにも行かなかった。

「ままならないな」

「どうなさいますか?」

「連れて帰るしかないだろう」

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