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夜明けのソラの契承者 悠久漂流帝国  作者: やたか なつき
二章「調停者」
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「帝国の次の動きは、概ね予想できる」

「それはありがたいですね。聞きましょう」

「帝国には、概して四司代と称される派閥が存在する。

名が示す通り、四つの大派閥だ。

地球文明への対応について、四司代の考えは一致していた。

議論を深めるまでもないことだったからだ。

だが、それは過去の話になる」

「うまく執り成してもらいたいところですが」

「叶わんだろうな。私の報告で状況は一変するだろう。四司代の意見は、まず間違いなく割れる」

「さもありなんといったところですか」

「意見の対立が存在すること自体は歓迎すべきことだ。

異なる意見が共生できない国家に未来などない。

両翼による相互監視が統治の基本であろう。

でなければ、間違えた時に取り返しがつかない」

「胸に響きますね」

「だが、結果として生じる状況は、歓迎できるものではないだろう。

地球人類にとっては迷惑、或いは、災厄でしかない」

「矛先は、こちらに向かうということですか」

 ソウマは、ため息をつくようにつぶやく。

何が起こるか半ば察しはじめていた

「思惑は違えど、四司代が第一に考えることは、帝国の未来だ。

地球では、民を無視した権力闘争が繰り返されているが、帝国においては、ありえない話だ。

故に、内部抗争がはじまることはない」

「なるほど、わからない話ではありません」

 言いたいことがないわけではない。

だが、話の腰を折っても仕方がないので、ソウマは、とりあえず、相槌を打った。

「結論から言えば、地球を舞台に代理戦争がはじまる」

「戦争とは、中々に物騒な言葉ですね」

「戦いは避けられない。四司代の何れかは刺客を送り込んでくるだろう」

「クノスを退けた実績だけでは、評価が足りませんか」

「優れていると信じるのは易しく、劣っていることを認めるのは難しいということだ」

「結論から言えば、何れかの尖兵として戦うのは、私なのでしょうね」

「いや、不正解だな」

 やれやれと告げたソウマに、クノスは凛と言葉を返した。

「迎え撃つのは、ソウマと私だ」

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