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夜明けのソラの契承者 悠久漂流帝国  作者: やたか なつき
一章「来訪者」
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「ここからは帝国の審判者として御相手する。

地球の盾となり、抗ってみせよ」

 機械の巨人に乗り込むと、クノスは高らかに宣戦を布告した。

人の数倍はあろうかという巨躯から、放たれる言葉はそれだけで威力があった。

だが、ソウマに動揺はない。

託された斧槍を携え、巨人の青い瞳を見据える姿は、堂々たるものだった。

「手合わせの前に一つお伝えしておきましょう」

「蛇足ではないか?」

「仮に私がここで倒れたとして、次の者が現れることはありません。

私が倒れた時点で、地球は帝国のものとなると考えてよいでしょう」

「こちらには都合のいい話だが――」

 クノスに迷いはない。

だが、惑いはする。

言葉を無視して打ち込まなかったのは、指針となる情報は多いに越したことはないという判断からだ。

「疑って然るべきでしょう。そもそも、貴方は全てを疑っていた」

「言うまでもない。だからこそ、ここにいる」

「地球を管理する第二の文明の存在。それを証明するものは何もない。全て私の妄言かもしれません」

「そうだな。だが、一方で、否定しがたい事象がある。貴公は私の存在に気づき、名を呼んだ。そして、今、私を圧倒してみせた」

「地球人類にもできるかもしれません」

「面白いことを言う」

 クノスの返答にソウマは苦く笑う。

「私は、貴公らの存在を確信してはいない。だが、貴公を無視できるほど愚かでもない。

だから、言葉を交わしている。

問おう。この惑星の行く末を、貴公だけで決められるというのか?」

「肯定します。そも現在の地球管理体制は、我々の意向ではなく、私の意向によるものです。

我々は地球に興味がないのでしょう。

だからこそ、地球人であった私に全権が移譲されたのです。

私が機能を停止すれば、我々は地球の管理を放棄するでしょう」

「解っているのか? それらは話すべきではない情報ではないのか?」

「何れにせよ、私が倒れれば終わりですから、問題にはなりません。それに――」

「それに?」

「私が倒れることはありません」

「言ってくれる」

「貴方の力を得るには、全てをお話する必要があると考えました」

「手の内で踊らされていたということか――」

「いえ、互いの思惑が一致したが故の現在です。貴方が賢明でなければ、こうはなっていない」

「私は帝国の未来を案じただけだ」

 帝国の選択は正しかった。だが、その結果、正しい未来が訪れるとは限らない。

だからこそ、クノスは、異なる可能性を模索した。

「私は、クノスの期待に応えることを約束します」

 名を呼ばれ、クノスは、小さく口元を緩めた。

それが微笑みであったかどうかは、クノスにもわからない。

「ならば――」

 巨人がゆらりと揺れ、姿勢を変える。

その威を示すように、はじまりを告げるように、構えた。

「証明してみせろ!」

 クノスは、言葉と共に初撃を放った。

その叫びは祈りにも似ていた。

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