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夜明けのソラの契承者 悠久漂流帝国  作者: やたか なつき
一章「来訪者」
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「ふぅ」

 クノスは、ベッドから起き上がると、身体を伸ばし、深く息を吐いた。

部屋の照明は消えていた。

ただ窓の外から差し込む月灯りが、薄闇の中にクノスの美しい輪郭を彩っている。

 クノスは、ホテルの一室にいた。

数日の間、島への滞在を望んだクノスに応じ、ソウマが提供した場所である。

島内にあるホテルの中でも、特にグレードの高いホテルの最上階。

一般には貸し出されない特別室であり、宿泊するには、それなりの対価と資格が求められる。

クノスが一人で使うには、広すぎる空間だが、一国の大使への扱いとしては、相応であると言えた。

 時刻は午前零時を周ろうとしている。

会談の後、クノスは未来に案内され、島を巡った。

話を聞き、手で触れ、時に味わう。

体験し、体感しながら、街を歩いた。

数時間前は、ただの風景でしかなかった。

それが全く違って視え、クノスは、得心し、反省し、感謝した。

 未来に送られ、ホテルの部屋に入ったのが夕刻。

それから、クノスは眠り、そして、目覚め、現在に至る。

疲れたから横になり、気づけば夜になっていたわけではない。

数時間前、ソウマと言葉を交わす中で検討され、予定に組み込まれた行動である。

「はじめるか」

 クノスは、独りつぶやき、思考の深くに沈む。

検討し、精査し、推敲する。

求める結果と辿るべき過程。

暗闇はクノスの心を研ぎ澄ませる。

暗む。眩む。

光が溢れる地球は、宇宙に生きる者にとって、少し眩しすぎた。

 クノスは、嘲笑し、我に返った。

時間はかからなかった。結論は出ている。

ただ、怯える心を、戒めるための儀式にすぎない。

 クノスは、携帯端末に手を伸ばした。

連絡用にと、ソウマから渡されたものだ。

音声入力を起動し、クノスは告げた。

「これから、時間を頂きたい」

 メッセージには、すぐに既読がつき、間もなく、返信が届いた。

それは、クノスの申し出を了承するものだった。

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