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天はその真価を発揮し、奸雄は天を尋ねる

《隊長、相手が複数いた場合。必ず同時に倒そうとは考えないでください。最初にするべきは相手がどの程度強いのか、まずは見極めるのが先決です》


(相手は三人、傀儡だから力量差は無い)


《相手が同じ強さですか・・・ならば敵の攻撃を避けることをしてみては如何か?主ならば常日頃から色々と追いかけられておりますからな、体力だけは私でもかないませんよ、ハハハ》


《敵の攻撃の避け方ですか?・・・我々は経験からの勘に似た様なもので動いている部分が多いのですが、ご主人様なら目がいいですから、相手の攻撃をよく見てみてはどうですか?でも、自分がその攻撃よりも早く動けなくては、意味がありませんけどね》


(右は上段からの切り込み。真ん中は突き、左は連携のため一歩下がっている)


《早く動くコツ?・・・なら、簡単。普段からその速度よりも早い速度に慣れればいい。・・・じゃあ半分の力で行くから避けてみるといい。・・・行く!》


《攻撃の対処の仕方じゃと!?・・・ふむ、それにはそれなりの鍛練が必要じゃな。―――そうじゃ、ワシが放った矢を自分の剣で防いでみてはどうじゃ?なに、矢じりがつける前のものじゃったら、お主でも問題なかろう?》


(突きをかわし、上から来た剣の刀身を左の剣で弾き返す)


《避けたくても、相手がいて避けられない攻撃か・・・ならその相手を利用すればいい。―――言うよりお前はやった方がいいだろう。ーーーなに安心しろ、三日程度動けなくなる程度にしておいてやる(チリン)》


(突き出た腕を右腕で回し混むように掴み)


《相手を倒すときに必要な事!?どうしたのよ急に、一刀らしくないわね。まぁいいわ、それはねただ純粋に殺すという作業を自分自身で認めることよ。人間誰でも一瞬のためらいがある。それが隙になるのよ。まぁ、今までのところそれが完全に出来てるのは、私と恋ぐらいよ。あの愛紗でさえ、振り回す直前には躊躇いの色があるのよ。ほんの刹那だけどね》


(後方から降り下ろされている剣に向かい、こいつを・・・)


《相手の腕を掴んだあとは、左で蹴りあげてください。大丈夫です、隊長の脚力なら必ず相手は浮きます。そこから右腕をはなし、目標に向かって回し蹴りです》


「ぶっ飛べ!(殺す!)」


勢いよく飛ばされた人体は剣を弾き飛ばし、後方の人間を巻き込みながら吹き飛んだ。


《ドアホ!相手を倒して終わりやない。乱戦は相手を全部倒すまで気抜いたら死ぬだけや!相手が強ければ強いほどそれも隙になるんや。絶対に気を抜いたらあかんよ》


《戦い方が上手くなってきたな。だが、まだ隙があるぞ。私ならば一矢で討ち取れる。これの意味、北郷ならば分かるだろう?》


「一刀様!後ろです」


「あぁ、分かってるよ」と後ろから来た剣を伏せてかわし、伸びた腕を蹴りつける。


蹴りあげられた腕により空いた鳩尾目掛け両足で踏みつけるように蹴りつけた。


「・・・いらぬ心配だったかな?」と弓を構えた夏侯淵は笑った。


「いや、助かったよ」と笑う北郷の隣に倒れた傀儡の背には一本の弓が突き刺さっていた。


その時だった。


大地を揺らす馬の群れが一斉にこちらに向かってきた。


「春蘭!秋蘭!無事か!?」


「おぉ!夏蘭(からん)冬蘭(とうらん)ではないか。助かったぞ」と笑う夏侯惇とその光景を見た北郷は顔をしかめた。


(また、俺の知らない武将か・・・)


「オラオラ!曹子廉様のお通りだ!」と赤髪のショートヘアの少女と


「曹子孝見参!我が刃にて、悪鬼を滅さん!」と緑髪のロングヘアの女性が白装束の集団に突撃した。


まさしく蹂躙という言葉が相応しい光景は、白装束の傀儡を次々と破壊していった。


「これが我が軍の騎馬隊よ。涼洲にも引けはとらないわ」


「あぁ、これだけの騎馬隊を中原で持っているのは曹操殿だけだろう」


「ーーー華琳よ。次からはそう呼びなさい」


「いいのかい?」


「えぇ。それから客将でいる間、我が軍の軍師を勤めてもらうわ」


「華琳様、いくらなんでもそれは・・・」と夏侯淵が不安そうに尋ねたが


「いいのよ。出来ないことはないでしょ?」と曹操はニヤリと笑った。


「ーーー1つ約束してくれ。客将でいる間に軍師が見つかったら俺はその任を降りる」


「構わないわ」


「ならば、慎んでお受けする」と北郷は合掌した。


「期待してるわよ。じゃあ城に行きましょう」


「華琳様、あの男は・・・」


「もういないわよ。伝令は任せるわ。まぁ追うだけ無駄でしょうけど。でも、この曹孟徳の前に立ちはだかったこと、必ず後悔させてやるわよ!」


「はっ!伝令兵は街の修復をするように伝達。警備隊は街に先程の男か潜伏していないか調査せよ。他は遺体回収の後帰還!作業は手短にせよ」


「「「はっ!」」」


こうして管理者の介入は一時の休息を見せる。


そして城に着いた北郷は、玉座の間で曹操に呼ばれていた。


「話があるとはなんだい華琳?」


「そうね、その前に春蘭、秋蘭、それから廖化も下がりなさい」


「華琳様!?」と華琳の両脇に控えた二人が困惑したが、


「これから聞きたいのは私的な事。公務としてあなたたちに聞かせる訳にはいかないのよ」と聞かされると夏侯淵は成る程と納得した。


「ーーー成る程そういうことか。心音、君も不快だとは思うが外してくれ」


「ーーーわかりましたわ。ただし何かあればすぐにお呼びください」と三人は渋々席をはずした。


「聞きたい事は、左慈のことかな?」


「えぇ、それもあるわ」


「それも?」


「でもあなたに聞きたいのは違う」と曹操は一息をいれた。



「ーーー貴方はなぜ夏侯惇、夏侯淵の真名を知っているのかしら?」

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