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黄天は去り、都にて議が開かれる

広宗の戦いは何進率いる連合軍の勝利に終わり、そのまま黄巾の乱終結へと向かった。


反乱首謀者は張角たちではなく、張曼成、波才が主犯とされ歴史に名を残すことになった。


ただ、もちろん張角たちが無関係というわけではなく、一部の者には張角たちが黄巾の頭領だという者もいたが、華琳たちの情報工作により死亡扱いになったため、張角たちはこの世から抹消された。


もちろん死亡という扱いではなく、曹操軍の慰安権、士気向上のためのアイドルとして活躍するのは他の外史でも同じことなので割愛しよう。


もちろん北郷がプロデュースすることはなく、そのポジションには厳政、高昇が付くことになった。


二人に未来の知識がないので務まるのかと疑問に思うが、北郷がこの外史で初めて出会ったとき


「一刀!」と涙を浮かべて抱き付いてきた張角を見て北郷が以前の記憶を持っていることがわかると、張角にある程度のことを話し、以前と同じようにしていれば問題ないことを理解させた。


物語はここでいったん一月の時間が流れる。


もちろんその間も黄巾党の殲滅はあったのだが、地方武官で鎮圧できるほどの被害であったため戦闘に参加することはなかった。


そして現在、帝へ報告を行う必要があったため各諸侯は洛陽へと赴いたのである。


「これが都、洛陽ですか・・・」と心音(廖化)が街を見渡した。


そのどれもが廃れ、廃村のようになっていた。


「十常侍の政策によって都は無残な者よ。もっとも宮殿に近い場所は宦官どもや、街を牛耳る商人の住処だからまったく違う有様なのだけれど」と華琳が説明した。


「まったくこれではどちらが賊かわからないのです」と嘆く音々音だったが


「これがこの国の現状ですよねねさん」と影里(徐庶)に諭されたが


「それでも納得がいかないものなのです」と駄々をこねた。


しばらく歩いていくと、宮殿の近くにまでたどり着いた。


宮殿内に入るには門番の許可が必要であり、曹操は下馬すると合掌し


「陳留の太守曹操、陛下に拝謁を賜りたく参上しました」


「かしこまりました、少々お待ちください」と門番が一人宮殿内に駆けて行った。


しばらくするとその兵は戻ってきて


「お待たせいたしました、こちらへどうぞ。そして御使いと言われる男も連れてくるようにとの仰せです」


「承知したわ。この男がそうよ」と北郷を指すと


「では、お二人は中に、剣はこちらでお預かりいたします」


北郷は連れてきていた心音たちに向かって


「じゃあ行ってくるよ」といい、剣を兵に預けると華琳とともに宮殿へと入って行った。


玉座の間にはすでに各諸侯が鎮座していた。


その中でももっとも上位にいるのが何進であり、続いて十常侍が座っていた。


「あーもういつまで待たせるのよ!」とその主賓ともいえるべき場所に座っている少女が現在の皇帝、霊帝その人であった。


「陛下、もうしばらくのご辛抱を。黄巾党を倒した者たちが揃うまでもう少しお待ちを」


「コウキントウ?もしかしてお菓子の名前!」


「違います陛下。賊の名前です」


「ふーんそうなんだ。私は早くお菓子が食べたいのよ。早く終わらせるようにしなさい」


霊帝の発言に諸侯は内心穏やかではなかったが、曹操がやってきて


「陛下、陳留太守曹操でございます」


「曹操?…いたわねそんなやつ、でなに?」


「陛下に拝謁するに手ぶらではと、陳留の菓子をお持ちいたしました。どうぞお納めください」


「お菓子!曹操、大義よ」と霊帝は目を輝かせた。


もちろんこれは零帝への賄賂みたいなものであるが、すでに全員行っていることなのでむしろ恒例行事のようになってしまっている。


しかし、これでも機嫌が良くならないのはそのもらっているお菓子が


「それに手を付けていいのはこの議が終わってからですぞ」と何進から止められているせいである。


そして曹操はいつもの席に座り、その後方に北郷が控えることになった。


そして最後の諸侯、董卓が到着すると議は開始された。


「皆、此度の勅令ご苦労であった」と何進の号令により皆が頭を垂れた。


「陛下も一言」


「ご苦労様、恩賞は何進から貰いなさい」


「陛下、此度はそれ以外にもございます!」と十常侍の張讓が声をあげた。


「此度の乱に天の御使いなる者が現れたとか、天とはすなわち帝のことでございます。それが一介の者が名乗るなど言語道断!」


「そうなの?何進」


「名乗るのは確かにまずいですが、その者なかなか頭の切れがよく、此度軍師として黄巾党壊滅に追いやった功労者でもあります」


「なら、私の臣だとわかればいいのでしょ。誰がそうなの?」


「私です陛下」と北郷は頭をあげた。


「お前か?率直に聞くけど天の御使いというのは本当?」


「私が直接名乗っているわけではありませんが、巷ではそういう呼ばれ方をしています」


「へぇ、なら私の代わりでも務める?」


「滅相もございません、私も陛下の臣の一人でございます」と北郷は頭を下げた。


すると曹操が頭をあげ


「陛下、曹操お伝えしたい議がございます」


「なに?」


「ここにいる北郷、無位無官の身のため、世間で御使いと称されています。そのため役職に就け陛下の臣である事を天下に示せば天の御使いではなく陛下の臣として広まるのではないでしょうか?」


「なるほど、確かにその通りね。何進、確か軍師にしたとか言っていたわね」


「はい」


「なら、南郷の太守に任ずるわ!」と霊帝は高らかに宣言した。

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