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 漆話 どんな物も護るための使い方はある(……はずだ)

黒千代が取り出したものとは……

 千代、お前は……お前だけはどうか男に汚されないで


 綺麗な花は摘むものじゃなく、そのまま咲くものなのよ…


「お母様。男とはなんなのですか?」


 男……、男と言うのはね……


 野蛮で……


 下劣で……


 醜悪で……


 邪悪で……


 最低で……


 裏切り者で……


 無慈悲で……


 どうしようもなく憎いわ……


「お母様……」


 だからね、千代……。


 男には近づかないで。男に汚されたら、終わりなのよ……


 あなたが女の子でよかった。


 もし、男だったら……


 ……いいえ。これ以上はやめましょう。


「お母様。女は、男には勝てないの?」


 千代。女はね、腕力では残念ながら男には勝てないの。


 そのために女は知恵があるのよ。でもね、私はその知恵でさえ働かず、それで……


 ……だからね、腕力に関係なく、男に勝てるように、


 “これ”の使い方を教えよう……


「お母様。“これ”ってなに?」


 千代。“これ”はね…………



             2



「千代! 使ってはいいが……」

「うん。用心棒は護るのであって殺さないんだね」


 そう言うと千代は和服の袖の中から“あれ”を取り出した。

 それは…


「あぁ? なんだ嬢ちゃんそれは?」


 銃だった。

 オートマチックと呼ばれるハンドガンだった。

 千代は、和服の中にありとあらゆる銃を仕込んでおり、またそれらを扱う事が出来るのだ。

 そもそもなぜ千代が銃を持っていて、さらにそれを扱えるのかを聞いたところ、


「腕力に関係なく男に勝てるために、お母様が教えた」


 だ、そうだ。


 いやいやおかしいだろ!? 勝つためにってそんな恐ろしい武器の扱いを教えるか普通!?

 しかも和服に銃って……

 千代の母親何者!?


 と、いろいろ疑問に思ったことがあったもんだ。

 一回だけ本気で殺そうと発砲したことがあった。

 その時は、顔を叩いて叱ったんだったな。


「千代! 半分は任せる! 殺すんじゃねーぞ!」

「わかった! 零ちゃんも気を付けてね!」

「ああ!」


 俺も背中の刀を抜刀する。

 さて……


「なんだ君たち? 抵抗する気か?」

「だったら痛い目見てもらうけど」

「降伏するなら今のうちだぜ?」


 冗談でもしねーぜ。

 俺達は用心棒だ。自分を護れなくて誰かを護れるかよ!






 パンパンパンッ! と乾いた音が響きます。

 放たれた弾丸は蛇男さんには当たりましたが傷一つつきません。


「どうした嬢ちゃん! よくわかんねーが効かねーぜ!」


 やはり爬虫類なので鱗が硬くて自動小銃おーとまちっくは効きません。

 なら…


「ん?」


 私は自動小銃おーとまちっくを袖の中にしまい別の銃を取り出します。


「これなら……」


 それは大型拳銃まぐなむです。

 私はそれを取り出すと……


 バンッ! バンッ! バンッ!


「ぐあああああああああああ!!」


 蛇男さん達の尾や腕を撃ち抜きました。

 いくら鱗は硬くても大型拳銃まぐなむは効くようです。


「このっ……! 人間の小娘があああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


 ほかの蛇男さん達が突撃します。

 私は大きく前へ跳び、蛇男さんの頭を踏んで飛び越えます。


「なに!?」


 そして、一回転をして振り向きざまに他の蛇男さんの尾を撃ち抜きます。


「ぐああああああ!!」

「ぎゃあああああ!?」


 その後、着地した瞬間に横へ回転しながら他の蛇男さんも撃ち抜きます。

 これで何匹(?)かは無力化しました。

 その時です


 カチッ! カチッ!


「あ……」


 弾切れのようです。


「何だか知らんが今のうちだぁ!」


 残った蛇男さん達が突撃します。

 私は足で砂を蹴り上げて蛇さん達の目に当てます。


「ぎゃあぁ!」


 そして、弾切れの大型拳銃まぐなむを仕舞い、もう一丁の大型拳銃まぐなむを取り出て発砲します。


 バンッ! バンッ! バンッ!


「ぐあっ!」

「ぎゃあ!」


 これであと一匹(?)です

 その一匹とは……


「シャッシャッシャッ!! 随分と変わった武器を使うんだなぁ!!」


 赤い鱗の鎧を着た蛇男さんでした。


「だがなぁ、この鎧に傷をつけるこたぁ不可能だぜ! シャッシャッシャ!」


 確かに赤い蛇男さんは頑丈そうな鎧を身に着けています。


「なら……」


 私は大型拳銃まぐなむを仕舞い、ある銃を出します。


「これで……」


 私が取り出したのは突撃銃あさるとらいふるです。

 しかも大きさが拳銃はんどがんより大きいので、赤い蛇男さんが怯みます。


「なんだ!? 先ほどよりも大きいぞ!?」


 私は銃口を赤い蛇男さんに向けると引き金を引きました。


「ぐあああああああああああ!!!」


 いくら堅い鎧でも連続での射撃には耐えられません。

 その上、装甲板を貫通する徹甲弾を使っています。

 予想道り弾丸は鎧を突き破り、蛇男さんを撃ち抜きました。


「蛇は生命力が強いから大丈夫だよ、ね?」


 自身はありませんが大丈夫でしょう。

 これであとは…


「この、調子に……乗るなああああああぁぁぁぁぁぁ!!」

「ごめんね」


 動けなふりをした蛇男さんを再度撃ち抜きました。


「ぐおぉ……。い、痛てぇ……」

「ごめんね。殺しはしないから」


 もう一度謝りつつ、麻酔銃を取り出して、皆さんに一匹(?)づつ撃ちます。


「ぐあ!」

「なに……を……!?」

「い、意識が……」


 皆さんは落ち着きました。


「千代。終わったか」

「うん。零ちゃんも?」

「ああ。今終わったところだ」


 そちらの方では別の蛇男さん達が倒れ伏していました。


「千代。急ぐぞ! こいつらがいつ復活するかわからないしな」

「わかった!」


 私たちは駆け足で急いで森の中に入っていったのであった。



        3



「はあ…、はあ…、はあ…、ここまでくれば大丈夫だな」

「うん……そうだけど……零ちゃん……」

「はあ…、なんだ……?」

「サンダルはいたまま森の中を走って大丈夫なの?」

「え……?」


 言われてみて足元を見る

 しまった。サンダルのまま用心せずに走ってしまった。

 そのせいで……


「うおぉ……」


 足が大変なことになっていた。

 具体的には擦り傷や切り傷だらけだった。

 恐らく草や木の枝でこうなったんだろう。


 (無我夢中で走り続けたからかな……)


 サンダルは簡単に脱いだり履いたりできるから便利なんだが……

 すると千代はこちらの足に屈みこんで、


「ちょっと待ってね。零ちゃん」


 そう言って千代は袖の中から包帯と消毒液を、って……


「なんでそんなもんがあるの!?」

「零ちゃん。それは用心棒だからよ」


 いや、なんでってのは持っていることじゃなくて服の中にあることだよ。

 銃と言いこれと言い千代の和服の中は謎だ。


「確かこれを……」


 俺の足を手当てし始めた千代。

 千代は俺を手当しながら疑問に思ったことを口にする。


「ねえ、零ちゃん。なんで火蛇族さらまんどらさんがこんなところに居たのかな?」

「え?」

「ここは風精族しるふぃさんの領地だよね? なら何で居たのかなって…」

「そりゃ、リュンピさんが言ってたように不法侵入がいたんじゃないのか?」

「でも、あの大人数だよ?」


 俺は少し考えて、ある可能性を思いつく。


「……悪い予感しかしないな」

「用心棒としての勘?」

「ああ。千代、手当が終わったら急ぐぞ」

「うん。わかった」


 手当を終えた後、俺達は早めに風精族シルフィの里へと向かったのであった。 

作者は銃器にはあまり詳しくはありません。

なので、下手に固有名詞は出しませんので。

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