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 伍話 銃刀法違反? そんなの喰ったわ

戦闘描写は難しいが肉弾戦はもっと難しい

 レイラさんと零ちゃんの手合せ。

 零ちゃんに手出し無用と言われたけど大丈夫。

 零ちゃんは強い。だから負けない。

 そう私は信じている。だから…


「……………」

「……………」


 レイラさんは薙刀を構えたまま一歩も動きません。

 零ちゃんも刀を右手で柄を、左手で鞘を持ったまま動きません。

 いったいどちらから……


「……………ふっ!」


 零ちゃんから動きました!

 刀を抜刀して、素早く打ち込みます!

 先の先による攻撃!

 だけど……


 キィン!


「うっ……!」

「速いですな白零殿。だが……」


 零ちゃんの一撃が薙刀で防がれます。

 そして……!


「はあ!」

「うお!」


 レイラさんは薙刀を勢いよく動かして刀を弾きます。

 そして、よろけてがら空きになった右胴に横薙ぎを…


「もらった!」

「なにを!」


 しかし零ちゃんは勢いよく右足をあげて、薙刀を下から蹴り上げます。

 すると強く蹴りあがった薙刀の軌道がずれてしまいました。


「なに!?」


 その後、左手の鞘で薙刀を滑らせるように防ぎます。


「はあ!」


 そして、右足を踏み込み、今度は薙刀を弾かれて隙ができたレイラさんのお腹に右肘鉄を打ち込みます。


「!?」


 レイラさんは弾かれた勢いを利用して後ろへ跳んで、なるべ効かないようにしました。


「浅かったか…」

「へえ、白零殿は変わった剣術を使うようだな」


 レイラさんは不思議そうに言います。

 私は剣術に関しては知りませんがそれでも零ちゃんの剣術は異様に見えます。


「まあ、正確に言うとこれは半分剣術じゃないんだけどね」

「何? ではなんだ?」

「うむ、これは『身刀流しんとうりゅう』と言ってな。まあ、剣術と格闘技を掛け合わせた流派なんだが……」


 身刀流しんとうりゅう

 それが零ちゃんの扱う流派。

 刀を体の一部のように扱い、体を刀の一部のように扱う、と言う剣術。

 もともと零ちゃんの実家は剣道場でしたがあまり門下生がいないらしく、「新感覚な剣技が必要だ!」と零ちゃんのお父様が編み出した剣術らしいのです。

 零ちゃん曰く、「あのバカ親父は無茶苦茶な剣技を編み出しやがって…。だって、投げたり逆を掴んだりっておかしいのばっかなんだよ」とか言っていたようです。

 それでも何で身刀流を覚えているかは謎なのですが……


「変な流派でよ。剣術なのか格闘技なのかわからなくてよ……、正直かなりの際物なんだが……」

「ん?」


 零ちゃんは右半身を前に突き出した状態になります。

 刀を持った右手を前に出して、刺突するみたいに構えます。


「それ故に、俺にとっても相手にとっても厄介な流派だ」


 零ちゃんがその構えのまま突撃します。


「突き技か。だが、突進など!」

「違うぜ」


 すると、零ちゃんは刀を持った右手を離しました。


「なに!?」


 そして、刀が足のところまで落ちると右足で刀をレイラさんへ蹴り飛ばしたのです。


「身刀流! 刀足かたあしの段・爪弾つまはじき!」


 そのまま刀はレイラさんの方へ……


「くっ!」


 突然の飛刀にとっさに薙刀で弾きますが……


「隙あり!」

「はっ!?」


 レイラさんが刀を弾いている間に零ちゃんは懐に入り込み、


「はあっ!」


 腹部にに掌底を決めました。


「うお!」


 今度は命中しました。

 その時です。


「両者それまでじゃ!」


 リュンピさんの静止の声が響きました。


「リュンピ様。私は不覚にも…」

「よいよい。また一つお主の精進を高める良い機会じゃ。これを機に精進せい」

「はっ!」

「さて、お主たちの事じゃが……」


 リュンピさんがこちら側を見て言います。


「そなたの実力はわかった。後はそこの女子おなごの実力じゃが……」

「大丈夫だ。千代も相当の実力だから、試さなくてもいい」

「そうかや? ま、そなたが言うのなら構わないが」

「あの、つまり里の外に出ていいのでしょうか」


 リュンピさんは少しだけ考えて、言いました。


「うむ、そなたたちなら問題なかろう。いいぞ、好きなように探しなさい」

「あ、ありがとうございます!」


 零ちゃんが喜びます。


「よかったね。零ちゃん」

「ああ、これで一か月も待たずに帰れるぞ!」


 これで私たちは里の外を出ることが可能になりました。



            2



 あのあと、レイラさんに頼んでもらい俺達の衣服を乾かしてもらった。

 さらに、追加で新品同様に綺麗にしてもらった。

 おお~! ア〇ィダス特注ジャージ! またこうして着られるようになるとは!!


 っと! 喜んでいる中、千代の方も終わったらしくそろそろか、と荷支度をする。

 とはいっても、ほとんどが川に流されてしまったのか、お互い残っているのは武器と小物くらいだ…


 さてと、準備を終えた俺達はリュンピさんにどこに行けばいいのか聞いた。


「ふうむ。どこかいいところかと言えば……風精族シルフィの里が一番だな」

風精族シルフィの里?」

「うむ、あそこが一番早く“月の口”が開くところじゃ。その上、妾たち水妖族オンディーヌと同盟を組んでいるからのぅ。手紙を書いたから、そこの族長に送れば大丈夫じゃ」


 なるほど、同盟か。……ん?


「ちょっと待てぇ!」

「ん? いきなりどうしたのじゃ」

「あ、すまん。ちょっと待ってくれ。今、同盟と言ったか?」

「うむ。そう言ったが?」

「だったらわざわざ腕試ししなくてもいいんじゃないか?」


 水妖族オンディーヌと同盟なら危険度はないんじゃ…


「ふふふ。甘いのう。それだから心配したのじゃ」

「?」


 それってどういう……


「あの…」

「どうした?」

「ここから風精族シルフィの里までどれくらいの距離があるのですか?」

「ふむ、ここからなら……」


 まさか…


「うむ、歩いて二日じゃ」

「二日!?」

「まあ、休息を含めておおよそじゃがな」


 つまり、休眠休憩で八時間は抜くとはいえ

 三十二時間はかかる距離。つまり……


「だいたい百五十キロメートル。つまり、だいたい東京から静岡くらいだね」

「千代……そうはっきり言わないでくれ……」


 そんなに遠いの…という事は、


「つまり、風精族シルフィの里に向かう途中で誰かに見つかったら……」

「そうじゃ。種族によっては連れて行かれ、奴隷にされるじゃろう。」

「けど、それぞれの種族が領土を持っていて、他の種族がいないんじゃ……」

「たしかにそうじゃ。じゃが、監視の目を潜り抜けて別の種族が不法で他種族の領地に潜入することがあるからのぅ」


 そういう事か……


「ちなみにその人間を奴隷にする種族とはなんなのだ?」

「ふむ。代表的なのは火蛇族サラマンドラじゃな。彼らはことごとく人間を嫌っとるからのう」


 そうか、その火蛇族サラマンドラが危ないんだな

 

「あと、最近は獣人族コボルトも怪しいし、地人族ノームは嫌ってはいないが、極力接しようとはしないのじゃ」


 大丈夫かよこの世界


「しかし、本当に行ってしまうのかや?」

「ああ、ここでお世話になるよりは自分で探した方がいいし」

「うふふ。べつにここでお世話になってもいいんだけどなぁ」

「へ?」

「よく見たら君は、なかなか綺麗な貌をしとるのぅ。まるで女子おなごのようじゃ。ここに残ったらお楽しみをしてもいいんだがのぉ」

「ぜ、全力で遠慮する!」


 いやいや、それは勘弁してくれ。


「ふふ、残念じゃ。あんなことやこんなことをしてもいいんだがのぉ」


 女は苦手なんだってば。

 しかも、特に苦手なタイプだ。


「零ちゃん。あんなことやこんなことって?」

「千代。訊かないでくれ……」

「?」


 純粋な疑問なんだろう。

 本当にご勘弁だ。


「じゃあ、リュンピさん」

「ん? なんぞや?」

「あの、この世界での種族の情勢はどうなっているのですか?」

「おや? 興味があるのかや?」

「はい。それは知らないといけないと思いますので」

「では説明しよう」


 リュンピさんによると



  水妖族オンディーヌ

   ↓

  同盟→警戒→火蛇族サラマンドラ ↖中立

   ↑     ↕対立  地人族ノーム←警戒←屍霊族アンデット

  風精族シルフィ    獣人族コボルト ↙中立

         ↕対立

        鳥人族ホークマン    星霊族ゾディアック→?



 と言った情勢である

 また、この世界はこの大きなほぼ円形の大陸一つしかなく、領土はほぼ五等分のように分かれており…


 挿絵(By みてみん)


「零ちゃん、いくらなんでも雑にしすぎじゃあ…」

「千代、文句は書いた人に言え。俺じゃないから。それにシンプルでいいだろ」

「それはそうだけど……」


     中央=屍霊族アンデット  戦わず、結界を張っているが、唯一破れる地人族ノームに警戒する。

上の外れの島=水妖族オンディーヌ  基本平和だが火蛇族サラマンドラからの襲来に警戒する。

     上 =風精族シルフィ  水妖族オンディーヌに同じく。ただし鳥人族ホークマンとは不可侵条約を結んでいる。

     右上=火蛇族サラマンドラ  種族最大の武装国家。まずは隣の領土を攻めている。

     右下=地人族ノーム  両隣とは戦わない代わりに武器防具を作って提供し、道を譲っている。

     左下=獣人族コボルト  こちらは狩猟国家である。鳥人族ホークマンとは狩場の関係で対立。

     左上=鳥人族ホークマン  基本好戦的で獣人族コボルトと争っている。

    ???=星霊族ゾディアック  何処に居るかは解らなく。謎が多い。



 と、まあこんな感じで、領土の配分で情勢が決まったようなものと言っていた。

 ……ってか、


(どこの戦国時代!?)


 と言うより群雄割拠か。


(いやいやいやいやいやいやいやいや!!)


 これで何度目だよいやいや。


 お・か・し・い・だ・ろ! 何でファンタジーが三国志みたいに群雄割拠なんだよ!?

 もうこの作品なにが軸になってんだよ!?


「物騒な世の中ですね…」

「ふふふ、まあ、仲が悪いようなもんじゃよ」


 千代は疑問も抱いていない。


(ってか。これ風精族シルフィ以外に選択肢ないんじゃ……)


 本当に俺達は運が良かったな。


「よくわかりました。リュンピさん、ありがとうございます」

「うむ、船はこの者たちのでお送りするからの」


 船?


「ちょっと待て! それって…」

「ああ、言ってなかったかや? この水妖族オンディーヌの領土は風精族シルフィの領土からちょっと離れた小島でのぅ…」


 なんか狭そうだが、海を含めた領土なのだろう。


「でだ、ここから風精族シルフィの領土までは船でお送りしよう。その後、里までは歩いて行かれい」

「はい。わかりました」


 ……ふう。

 ほんとに大丈夫か? 俺達。

 この先の事を思うと不安が隠せない俺であった。



          3



 さて、この後すぐに行こうとしたのだが、リュンピさんが「焦ることはない。夜も遅い事だし、ここで休憩して朝になってから行くといい」と言ったのでお言葉に甘えさせてもらう事にした。


 食事ではなぜか魚料理が出た。

 共食い……? と、思ったのだが、


「魚が魚を食らうことなどあることじゃろう」


 と、言われた。

 たしかに、サメが小魚を食らう事があるしおかしくはないかと思った。

 魚料理。美味しくいただきました。


 そして、就寝時だ。

 来客用の部屋があり、そこにベッドもあったのだが…


「なんで……」


 叫ばずにはいられなかった。


「なんでダブルベッドなんだよ!?」


 なぜか一つの部屋に大きなベッドがあったのだった。


「え、零ちゃん。だぶるべっどってたしか二人で一緒に寝るんだよね?」

「ああ。なんでこんなベッドに……!?」

「それは妾が設置したからじゃ」


 いつの間にかリュンピさんがいた。

 すぐさま千代を遠ざけて抗議する。


「って、あんたかい! なんでこんなことを……!」

「おや。確かそなたたちは恋人同士じゃなかったかな?」

「ちがうよ! 俺と千代は仕事の同僚であり、相棒だ! 恋人関係じゃない!」

「でもたしか、君たちが牢屋でイチャイチャしていたと、シュンメーが言っていたのじゃが…?」

「誰? シュンメーって誰?」

「牢屋の看守じゃ」


 あの看守か。そういえばずっといたから聞かれていたんだな。


「そこの女子おなごは異性に抵抗なく肌を見せるもんじゃからてっきり恋人同士かと…」

「…まあ、そう誤解するのも無理はないが違うんだ。あいつはちょっと普通とは違う感覚なんだ」

「ほう。というと?」

「あいつは男を知らなさすぎるんだ。父親すらいない、まったく男のいない環境で育ったんだ。そんな千代が俺に向ける感情は信頼であって、愛情ではないんだ」


 どちらかと言うと娘が父親に向ける(兄妹でもいいが)感情のようなものだ。

 LikeはあるかもしれんがLoveではないんだ。


「じゃが、お主の感情はどうなのじゃ?」

「俺はあいつが危なっかしくてならねえ。だからこそ、共にいるんだ」


 あいつの瞳は危険な瞳だ。

 一切の濁りがなく、一点の曇りもない、とても純粋な瞳。

 周り次第でどんなものにもなるほどの恐ろしい純粋さだ。


「ふうん。そういうもんか」

「そういうもんだ。わかったら二つのベッドを……」

「却下じゃ。また明日な」


 と、リュンピさんはすぐさま扉を閉めた。


「……………」


 反論する隙もなく行ってしまった。


「はあ……、仕方がない」

「零ちゃん、いっしょに寝る?」


 千代は期待するように言ったが、


「却下。千代はそのままベッドに寝てろ。俺は壁立て掛け寝で寝るわ」

「そう……残念」


 千代は本当に残念そうに言った。

 ちなみに壁立て掛け寝とは文字通り、背中で壁にもたれるようにして立ちながら寝ることだ。

 用心棒やっていると必要になる寝方だ。


「それじゃお休み。零ちゃん」

「ああ、お休み。千代」


 そう言ってお互い床に就いたのであった。

 明日は大変だ。そう思いながら……

作者は絵心が……

人物像は書けてはいますが微妙に作者のイメージとは……

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