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弐肆話 年上の女三人に囲まれちゃあ緊張はするよな。

え、誰の事かって?

そりゃあ……

 私とラネットさんが風精族しるふぃさんの里へ向かう途中、人間のお姉さんと、何故か抱えられている男の子に出会いました。

 もしかしたら“迷い子”ではないのかと思い、ラネットさんが話をしようとしたのですが……


 ……どうしたのでしょうか? 衣服が少し汚れていますが……


 お姉さんはなぜか所々衣服が汚れています。それもまだ真新しくついた様子です。

 そこが少し気になりましたが、とにかく先にラネットさんがお姉さんに話をします。

 しかし……


「は……話!? で、でもロビィは急いでいるから後にしてくれない?」

「え? そう言われても……」


 お姉さんは弱々しい口調で話をしてくれないようでした。

 急いでいるって、何にでしょうか?


「だ、第一君たちは誰……誰なの?」


 お姉さんは不思議そうにこちらを見て、たどたどしくこちらに話しかけていました。

 ラネットさんは一つ確認するようにお姉さんに問いかけます。


「あんたたち、もしかしてここがどこなのか分からないの?」


 ラネットさんがお姉さんにひとつ質問をすると、「え?」と言葉を詰まらせ……


「え、そ、そう……なの……」


 お姉さんはよくわからないといった様子で答えました。

 あ、お姉さんが私の方を見ると……


「その服…………ここってもしかして日本なの?」


 どうやら私の着ている和服を見てここが日本かと思ったのですが……


「いいえ、違います」

「じゃあ……いったい……」


 お姉さんが疑問するのもわかりますが私もお姉さんに疑問を感じます。

 それは……


「あの……その脇に抱えている男の子は誰なのですか?」

「え?」


 私はお姉さんが抱えている男の子のことが少し気になっていました。

 何かあったのでしょうかと思ったのですが……


「う……うう…………」


 あ、男の子が目を覚ますようです。


「あ、あれ……ここって……………………!?」


 男の子は少しの間だけぼんやりしましたがやがて大きく目を見開くと……


「お、おい!?」

「きゃ!?」


 男の子は慌てた様子で無理矢理お姉さんの腕の中から出てきました。

 そして、お姉さんのもとへと詰め寄ります。


「ここはいったいどこなんだ! 何で車の中じゃないんだ! まさか本当にやっちまったのかよ!」

「ちょ……待って……!」

「待てねえよ! こんなことされてあいつ等が無事じゃすまなくなってもいいのかよ!」


 男の子は怒りをあらわにして、お姉さんを問い詰めてきました。

 お姉さんが困っています。

 私はいきなり怒りだした男の子を宥めます。


「待って。いきなりそんなことされても話せないよ」

「うるせぇ! 黙ってろ!」

「ちょっと! いくらなんでもうるさいはないでしょ!」

「今こっちは大事な話をしているんだ! 黙ってて……」


 と、男の子はラネットさんを見ると


「うわあああああああああああああああ!?」

「え?」


 突然驚いて声を上げました。

 どうしたのでしょうか?


「よ、妖精…………!?」

「え? あ……」


 どうも男の子はラネットさんの羽を見て驚いたようです。

 その時掴む手が緩んでいたのでしょか、お姉さんは拘束から解放され……


「!? …………えぇ!?」


 お姉さんもラネットさんを見て驚きました。

 もしかして今気づいたのでしょうか。


「おい! ここってもしかして夢の国とかじゃねーだろうなあ!」

「ちょっと待って! 驚くのは解るけど落ち着いて!」

「ええと……そそそそう…………落ち着いて…………」

「えっと、お姉さんも落ち着いて……」


 なんだかいろいろと大変な事になってしまいました。

 大丈夫でしょうか……



        2



 なんだか騒がしかったですけどやがて落ち着き始めると……


「うぅ……ごめんなさい……見苦しいところを……」

「ま、まあ……色々と気持ちはわかるから……ね」


 落ち着きを取り戻すとお姉さんは申し訳なさそうな表情で謝りました。


「…………」


 男の子も知らない人と話しているのでしょうか、居心地が悪そうです。


「…………居づらい」

「え?」


 何を言ったのかよく聞こえませんでしたが……

 心なしか顔が赤いようですけど……

 熱なのでしょうか?


「まあとにかく……」


 と、ラネットさんが荷物から手帳と筆を取り出して、切り出します。


「とりあえずあんたたち、まずは自己紹介をしましょうか」

「え……!? でも急いで……」

「い・い・か・ら! こちらの状況を知る必要があるでしょう?」

「あ…………はい!」


 お姉さんは緊張した様子で自分の名前を名乗りました。


「ロビィ……ロビィ=クルールと言います……」


 お姉さん……ロビィさんは弱々しい調子で名乗りました。


「ロビィ、ね。わかった」


 ラネットさんは手帳に何かを書きとめました。

 多分先ほどの名前ですね。

 次は男の子が名乗ろうとしたのですが……


「オレは……」

「「?」」


 男の子は名乗らずにどこか迷うような表情でなぜかロビィさんを見ると……


「……な、名前なら……」

「……わかった」

「「?」」


 なにか知られたくない事でもあるのでしょうか?

 気を取り直した様子で男の子が改めて名乗ります。


「オレは……セヴェリーニ。セーヴェって……呼んでくれ」

「わかったわ。セーヴェ君ね」


 再びラネットさんが手帳に何かを書きました。

 そして……


「私はラネット。風精族シルフィっていう、幻界の住人よ」

「幻界?」

「まあ、後で説明するから……」


 と、ラネットさんの紹介が終わったところで次は私が名乗ろうとしたのですが……


「あ、あの……」

「ん? なに」


 名前を言おうとしたら、ロビィさんはどこかそわそわした様子で言いました。


「と、とにかくあなたが人ではないことは分かったし……ここがよくわからないところなのはわかった。……ロビィ……どんな質問にも答えるけど……今、急いでいることがあるの」

「急いでいること? なによ」

「そ、それは……」


 ロビィさんは言うのを躊躇う様子でしたが……


「あのさ……」

「うん?」


 男の子は緊張した様子で私の方に訊いてきました。


「この近くに……誰か強い奴がいないのか?」

「え?」


 ロビィさんとは別にセーヴェさんが質問をしてきました。


「強い人、ですか?」

「ああそうだ。誰でもいい。とにかく強い奴の元へ案内をしてくれないか?」

「?」


 状況がわからず、ラネットさんが首を傾げていますが私はなんとなくわかりました。


 切羽詰った様子で急いでいること。

 早く強い人を紹介してほしい。


 と、いうことは……


「……誰かに追われているのですか?」

「「!」」

「……さ、さすがに分かるよね。それだけヒントを見たら……」


 ラネットさんとセーヴェさんは少し驚きましたけどロビィさんは大して驚きませんでした。

 わざわざ森の中を走っているのもそうですし……


「それも、セーヴェさんの方が狙われているという事ですね」

「……うん、そうだよ。さっきまで追いかけられて…………なんとか撒いてここにいるんだけど……」

「また見つかったら……今度こそ……!」


 セーヴェさんは思い出したように怯え、震えました。

 先ほどまでセーヴェさんが抱えられてましたし、時々周りを警戒していましたし……

 とにかく私は詳しいことを知るためにロビィさんに追求します。


「それで、ロビィさんとセーヴェさんは誰に狙われているのですか?」

「それは…………言えない」

「ごめんなさい。言えません」


 しかしセーヴェさんもロビィさんも同じようなことを言いました。

 それでもやっぱり言いたくはないようです。

 まきこみたくない、その気持ちはわかりますが……


「ちょっと、巻き込みたくないって気持ちはわかるけど、まったく分からないじゃあどうしようもないよ」


 痺れを切らしたラネットさんがロビィさんに詰め寄ります。


「でも……言えないの。言ってはいけない事なの」


 しかしロビィさんもなかなか口を割りません。


「なんでですか?」

「あ、危ない人だから……」


 そう言われても……どう危ないのか漠然としかしませんが……


「人……という事は人間ですね」

「? そ、それは確かに……に、人間? ではあるけど……」


 途中から自信がなさそうでしたが追っているのはどうやら人間のようです。

 確かに……ラネットさんを見て驚いていましたから、風精族しるふぃさんではありませんね。

 何はともあれ……


「でも私、同じ人間のよしみで何か力になれるかもしれません」

「力に……」

「その追いかけている人も私が追い払えるように頑張りますから……」


 私は自分に何かできないのかロビィさんに訊いたのですが……


「……そんなの、お前には関係ないだろ」

「「!」」


 セーヴェさんが苛ついた様子で言いました。

 ロビィさんが慌ててセーヴェ君に注意します。


「ちょ、セーヴェ君! いくらなんでもそれは失礼だよ……!」

「だけど! この姉ちゃんにあんな奴どうにかできるとは思えないし、それどころか余計に怪我させたらどうするんだよ!」

「それは……」


 だめです。どうしても信じてもらえません。

 こちらを見る目がまだ信じている感じではありません。

 不安が拭えないのは解ります。信用を得るのは難しいですから……


「何言ってるのよ! 関係ないわけないでしょ!」

「ラネットさん……」


 すると、横からラネットさんが入り込んでセーヴェさんさんの言う事に異を唱えました。


「一つ確認するけど、あんたらは人間で……あんたらを追っていたのも人間なんだよね」

「そ、そうだよ。それがどうした!」

「……詳しいことは後で説明するけど、ここはね、私たちの種族の領地なのよ。そこで余所から来た人間に血なまぐさいことなんかさせたくないのよ」

「「…………!」」


 ラネットさんの言葉に二人は驚きます。

 ラネットさんは続けます。


「だから、どんな事情であれ、どんな人であれ、今、この近くのどこかで人間が暴れているのなら止めてもらうわ」

「……具体的にどうするんだよ」


 セーヴェさんは不機嫌ですが何かいい方法があるのかラネットさんに訊きました。

 ラネットさんは少し考えると、セーヴェさんにあることを確認しました。


「そうねあんたたち、この世界へ迷った時、初めに街みたいなところがあったでしょ?」

「あ、ああ……あったけど……それが?」

「その街のことは里って呼ぶんだけどね、とりあえず私たちはその里へ向かっているから、そこの騎士団にお願いしていくつか兵を派遣させてもらうわ。風精族シルフィ領内で起こったことならなんとか出てもらえるかも……」


 ラネットさんは安全策を考えます。

 確かに大人数でしっかりとした人たちなら安全に……


「ちょっと待てよ! さすがにそんな時間はねぇよ!」

「「!」」


 ……いきなりどうしたのでしょうか?

 方法は出しましたのにセーヴェさんは大きな声で言いました。


「騎士団とか里とかそう言うのはよくわからないけど、でもそう言うのは時間がかかるもんだろ!?」

「まあ、そりゃあそうだけど……」

「こっちは今すぐに何とかしてほしいんだ! 早くしないと……!」

「でも! 騎士団は強いしそれにここに迷うのが集団ってことはなさそうだから取り押さえるには充分……!」


 ……そういえば、確か……

 ラネットさんとセーヴェさんが横で言い争っている中、私はもうひとつあることがわかりました。

 先ほどから急いでいるし、時間がないという事は……


「ロビィさん」

「な、なに?」


 私はロビィさんにあることを確かめました。


「もしかして、ロビィさんやセーヴェさんがここへ逃げられたのはロビィさんのお仲間さんが、追手を食い止めているからですか?」

「!」

「……そうだよ」


 どうやら本当のようです。

 だとするなら急いでいる理由もわかります。


「正確には、今も仲間が囮となって追手から逃げているの。だから……」

「……そう、時間がないという事ね」

「そうだよ! だからなるべくはやくしないと……!」

「待って」


 セーヴェさんは焦った様子ですがラネットさんは落ち着いて話します。


「でも、あんたが言うにはあんたらを追っているそいつは危険で強いんでしょ」

「ああ、そうだ」

「だったら犠牲者はなるべく出さないためにも、こういうのは……」


 ラネットさんもラネットさんで譲れない様子です。

 でも冷静に、セーヴェさんに言い返そうとしますが……


「あ、あの……」

「ん?」


 ここでロビィさんが控えめながらも何かを言い出しました。

 ラネットさんは一時中断してロビィさんが言おうとしていることを聞くようです。


「なに?」

「里って……もしかして山の頂上にある街の事?」

「ええそうよ。あんたたちが昨夜ここに迷って来たのなら間違いなくその町は通るはずよ」

「……あのぅ……」


 ……なんでしょうか?

 ロビィさん、なんだか口ごもるような様子ですが……


「で、でも確かその街は……」


 ロビィさんが次の言葉を言おうとしたその時です。


 ピリリリリリリリリリリリ!!


「「「!」」」


 突然ロビィさんの懐から高い音が響きました。

 何の音でしょうか?


「あ、ちょっと待って」


 音を聞くとロビィさんは懐に手をいてれ何かを取り出しました。

 それは、無線の通話機でした。

 ロビィさんはそれを手に持って耳に当てました。


「……キッド君……!」

「なに!?」


 無線通話機からの声を聴くと、ロビィさんとセーヴェさんが驚きました。

 もしかして、ロビィさんの仲間でしょうか。


 そこからのロビィさんは表情がよく変わりました。


 初めは驚き、次に不安、その次は驚いて呆けたような表情でした。

 その後は脱力したような感じでしたが次の言葉を聞くと一瞬で驚愕の表情になりました。

 様子からして、先ほどよりもさらに深刻そうです。

 その後は二つか三つ言葉を放つと気を引き締めた表情になって通話を切りました。

 そして……


「……あの、ラネットさん……だったかな?」

「そうだけど、なに?」

「お、お願いがあるの……」


 ロビィさんはラネットさんに頼みごとをするそうです。

 それは……


「セーヴェ君を……安全な所へ連れて行ってくれませんか」

「え?」

「ロビィ……行かなくちゃならないところがあるの」

「……!? お、おい! ちょっと待てよ!」


 今の内容に何かを察したセーヴェさんはロビィさんに突っかかります。


「いきなり通話が入って、急に驚いて……いったいなにがあったんだ!」

「じ、実は……」


 ロビィさんはセーヴェさんと、あと私達にもわかりやすく先ほどの事について話しました。

 私とラネットさんは黙って聞きましたが、話を聞いたセーヴェさんは驚きます。


「そんな……あいつらが……!」

「う、うん……なんとか逃げ切ったんだけど……」


 つまり纏めるとこういう事です。

 先ほどまで囮となって追手から逃げていたロビィさんのお仲間さんが、その追手から逃げ切れたようです。

 話からして絶対に逃げられないはずなのに逃げ切ったことにセーヴェさんも同じように呆けたような驚きでした。

「じゃああの脱出はなんだったんだよ!」とセーヴェさんが怒っていましたがロビィさんの次の言葉を聞くとセーヴェさんの顔が青ざめてしまいました。


「あの運転手が……深手を……!?」

「そう……キッド君は大したことないけど……」


 どうも、ただで逃げ切れたようではありません。

 二人いるらしい仲間の片方が怪我を負ってしまったようです。

 応急処置でひとまずは大丈夫のようですができるだけ早くしっかりとしたところで治療しないといけないようです。

 ですが、追手は未だに諦めずにどこか近くを探っているかもしれないようです。

 そのせいで動くに動けない状態で、もう一度見つかると今度は逃げ切れないようです。

 だから追手より早く見つけて安全な所へ連れて行きたいのですが……


「オレを置いてお前一人で行くって言うのか!」

「だ、だってそうしないと……なんのためにあいつから逃げたのか……」


 ロビィさんが言うにはひとまずセーヴェさんを安全な所に置いてその後ロビィさんが一人でお仲間さんを探しに行くそうです。

 しかし、セーヴェさんはそれに断固拒否だそうです。

 一つはセーヴェさんも探しに行きたいのですがもともと追手の狙いはセーヴェさんですので危険なことをさせては本末転倒のようです。

 そしてもう一つは……


「だからと言ってお前一人で探しに行くのかよ!」


 セーヴェさんはロビィさんが心配のようですので一人で探しに行って追手に見つかったら大変なことになるそうです。


「だから! ロビィたちの仕事はセーヴェ君を安全なままにしておかなくちゃならないの!」

「いくらなんでも一人で探すのは無茶だって言ってんだろ!」


 ロビィさんもセーヴェさんもお互い譲らないようです。

 ロビィさんに至っては先ほどまでの弱気な所が飛んで声を荒げています。

 つまり、ロビィさんはセーヴェを護るために、セーヴェさんはロビィさんに危険な目にあってほしくないということですね。

 そして、早くしないとお仲間さんが……


「……どうするの、クロチヨ」

「そうですね……」


 私もラネットっさんもどうすればいいのか考えました。

 そして、一つあることが思い浮かべました。


「あの……ロビィさん、セーヴェさん」

「!? なに?」

「なんだよ!」

「私に考えがあるのですが……」


 つまりロビィさんがお仲間さんを探しに行っても大丈夫なようにすればいいんですね。

 でしたら……


「セーヴェさんは風精族しるふぃさんの里へ行って、ロビィさんは私と一緒に探しに行くのはどうでしょうか?」

「ええっ!?」

「ちょ、ちょっと待て!」


 私から出した提案にロビィさんは驚き、セーヴェさんは不満があるようでした。


「えっと……駄目でしょうか?」

「駄目に決まってるだろ! 一人から二人に増えようがあいつに見つかるとまずいことに変わりはないだろ!」

「そうでしょうか?」


 あいつ……誰なのかはわかりませんが……

 放っておくわけにはいきません。


「おい! 妖精だって心配だろ! 何とか止めてやれよ!」

「ちょっと、私の事は名前で呼びなさいよ! ……でもまあ……クロチヨ。大丈夫なの?」


 ラネットさんも心配なのでしょうか、不安げな表情でこちらを見ています。

 私は申し訳ない気持ちになりますが変える気はありません。


「私は……この人たちを放っておくわけにはいかないのです」

「……わかったわ。でも、あんたもあいつみたいに……」

「?」

「……怪我とか、しないでよね」

「……うん、わかった」


 釘は刺されましたけど、

 それでもラネットさんは認めてくれました。


「おい! 妖精! お前それでいいのかよ!?」

「だから名前で呼んでよ……そうね。クロチヨ」

「はい」


 私はラネットさんに促され、ひとつ遅れて自己紹介しました。


「申し遅れました。私は三咲さんざき黒千代くろちよと申します。人間で用心棒をやっています」

「なに、用心棒? なんだよそれ」


 セーヴェさんは用心棒を知らないのか、ロビィさんに視線を向けると……


「よ……用心棒ってのはね、に、日本版のボディーガードってことよ」

「ボディーガード?」


 ぼでぃーがーど……その説明は合っているのでしょうか?

 セーヴェさんは怪訝な表情でこちらを見ていました。

 それは……


「……見えねぇ……」

「?」


 なにがでしょうか?


「……まあ、そう思うのも無理はないけどね」

「ラネットさん?」


 何がそう思うのでしょうか?


「でも大丈夫。クロチヨは用心棒で、腕はしっかりとしてるわ。一緒に探しに行くのならそれでいいんじゃないの?」

「……本当なの?」


 ロビィさんはイマイチな様子で私を見ました。

 確かに私もロビィさんを追っているひとが誰なのかわかりませんし、どれほど危険なのか分かりません。

 しかし……


『護る、と言う時は絶対に果たすつもりで言え』


 零ちゃんの教えと……


『黒千代。依頼人を不安にさせるな。胸を張って断言しろ』


 青江さんもそう言ってました。

 だから……


「ロビィさん。セーヴェさん。お二人とも私が護ります。安心してください」


 私は不安げではなく自信を持って断言しました。

 すると…… 


「……わかった」

「……! …………わかったよ!」


 セーヴェさんもロビィさんも渋々でしたが最後には納得してくれました。


「ロビィも……運び屋だし……だから……この子が用心棒でも……」

「?」


 小声で何か言っているようですがうまく聞き取れませんでした。

 私が頭を傾げている横でラネットさんが仕切り直しました。


「じゃあ、一緒に里まで案内するけど……クロチヨ」

「なに?」


 里へ向かう前にラネットさんがこちらへ話しかけました。


「これは風精族シルフィ領内で起きた問題よ。里に着いてこの子を保護したら、できるだけ早く騎士団に出てもらえるよう要請するからね」

「あの……だったら救護班も出してもらえるでしょうか?」

「そうね……怪我人も出るかもしれないし……」


 時間はかかりますけどその方が確実ならそちらも考ええる必要がありますね。

 すると…… 


「あ、あの……」

「ん?」

「なに?」


 と、横からロビィさんが入り込んできました。

 なんでしょうか?


「実は、ひとつ言い忘れたことがあるけど……」

「え? なによ」

「あの……ラネットさんが先ほど言っていた里なのですが……」


 ロビィさんはどこか言いにくい感じでしたけど、しばらくして意を決したような表情でロビィさんは言います。 

 そう言えば先ほども言おうとしていましたけど通話が入って来たんでしたね。

 いったいなんでしょうか。


「実は昨夜…………」


 その時、ロビィさんの口から放たれたのは私もラネットさんも予想できない内容なのでした。

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