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第2話(the heads)後編

05


 結局、終電で帰り、オレは歩いて家へと向かった。

 雪は積もることなく、降ってはやみ、降ってはやみを繰り返していた。


 携帯の電源を切っていたことを思い出し、ポケットから取り出す。

 電源をいれた途端、メールが何件も入ってきた。

 留守電も入っていた。 


 大きくため息をつく。吐いた息は白く、空気にとけていく。

 意を決して、まず留守電から……。


『ちーっす。新島でーす。ティアスから今朝Tellあったんだけど、その後連絡とれません。何か知ってたら連絡ください。てか、すんません、ホント。迷惑掛けてます』


 ……留守電でこれって言うことは……メールもこれ関係ってコトか?

 思わず、道ばたで座り込んでしまった。


『新島からテッちゃんともティアちゃんとも連絡とれないって連絡来てるよ。どこ消えた?』

『真から早退したって聞いたけど、具合悪い?』


 か……帰りたくねー。

 でも、今日は親父も家にいるはずだし、御浜が家に来る可能性は……。てか、親父がいても、なんか余計なこと聞かれそうだよな。

 どうすっかな。


 ……しょうがない。借りを返してもらうかな、早速。



 息子も家を出ていたせいか、深夜に一緒に帰ってきたオレを、新島の両親は快く受け入れてくれた。

 新島んちって初めて来たけど、……こう言っちゃなんだが、ホントにフツーの家だ。築10年って所だな。この辺じゃ何も珍しくない、猫の額程度のお庭がついてるマイホーム。

 ますますティアスの住んでるマンションっつーのが怪しいな。どこでそんな女と……。


「こんな遅くに突然押し掛けても、何も言わないんだな、お前んとこの親」

「いや、今日はたまたまだ。ちゃんと連絡いれてたし、そのついでにお前を連れてきたことになってるし。いつもうるせえよ?昨日もいなかったから怒られたし。お前んちの方が絶対楽だって」


 新島は自分の部屋にオレを案内すると、床にクッションをおいてそこに座るよう促した。言われるままに座ると、冷えた缶ビールを投げ渡された。


「この雪の降ってる日になあ……」

「文句言うならやらん」

「いや、飲むけど」


 部屋に小さな温冷庫があった。ナマイキな。


「何?ティアスとなんかあった?もしかして。わざわざ家に帰らず、オレんちに泊めろだなんて」

「いや、別に何もない」

「でも、学校抜けて、ティアス拾いに行って、そのまま栄でデートしたんだろ?ティアスに聞いた」

「何、出かけてた用事って、ティアスと会ってたってコト?」


 そう言ったオレを、新島が目をむいて見ていた。


「……ああ、そう言うこと?違うって、彼女と部屋にいたら、ティアスから電話かかってきたから、駅まで迎えに行ったんだ。その時聞いた。留守電も聞いたろ?」

「さっき聞いた」

「何、ご丁寧に電源切ってたわけ?」

「お前こそ、今日は『風邪で休み』って親が連絡いれて……」


 親?ここんちの親は休んだことすら知らなかったみたいだけど……誰が連絡したんだ?


「彼女が連絡いれてくれました」

「そういやお前の女って、一体何者?!」

「……佐伯佳奈子」

「マジっすか!」


 そうだ、昨日確かにいた!ティアスの後ろでキーボード弾いてた!ライブ中に騒がれてた!確かに彼女くらいの女なら、マンションの一つや二つ持ってるだろうし、音楽関係にも顔が利く!昨日のライブも彼女がティアスを引っ張ってきたと考えたら、判らないでもない。

 でも……


「中学生くらいの娘がいるって、雑誌で書いてるの見たことがある……」

「よく知ってるな。ああ、そっか。クラシックの雑誌読むんだっけ、お前」

「いや、そんな普通にしなくても」

「だって、何もおかしくない」


 うちの親父より年上だっつーの!


「いいじゃん、東京タワーみたいで」

「まあ……美人だしな。それで言わなかったわけね、彼女のこと。てか、なんでオレにその話をするわけ?確かに怪しかったけど、黙っとけばいいじゃん」

「別に、このままティアスとお前がつき合い出したら、その内絶対ばれるからさ。先に言っとこうと思って」


 そう言って、彼は一気にビールを飲み干す。


「……なんで黙ってんの?」

「誰と誰がつき合うって?」

「だから、沢田とティアス。わざわざ気のない女のために学校抜けるわけないだろ?しかも、白神と顔あわせたくなくて、わざわざオレんちに逃げ込んだんだろ?泉だと、白神に連絡しそうだし。そんなに気い遣わなくて良いんじゃない?別に白神とティアスだってつき合ってるわけじゃないし。お前と一緒にいる時間の方がよっぽど長いし」


 何それ、オレとティアスって、つき合ってるってコト?


「いや、別に何もないし」

「うん。聞いた。迎えに来てもらって、そのまま一緒に遊びに行っただけだって」

「まあ……成り行き?」

「あ、そう。成り行きね。佐藤さんのレッスン振ってまで」

「いや、今日はレッスンは休みで……」

「なるほど、計画的か。昨日、ティアスが泊まったときになんかあったかな……。アイツも沢田に対してエライ好意的になってたし」

「え、そうなの!?」


 どうしてそうやって、あからさまに引いた目でオレを見るかな!?


「沢田って……なんか、泉の言ってたことって、的を射てるわけね」

「なにが?」

「いや、判んないなら別に良いんだけど。要するに、沢田はあれだろ?白神がティアスのこと狙ってるの知ってるのに、ティアスのこととっちゃおうとしてるから、白神に会わせる顔がない、と。だから、さっきも言ったけど、そんなことは気にする必要は……」

「ないの?なんで?」

「ないだろ。だって、つき合ってるわけじゃねえんだし。確かに、気まずいかもしれんけど、彼女が選んだんだからって話だし。何をそんなに白神のこと怖がってるかな?」


 誰が、誰を怖がってるって?

 誰が、誰をとっちゃおうって?


「オレは別に、ティアスのことなんか、好きとか嫌いとかつき合おうとか考えたこともない。大体、あの女はついこないだ知り合ったばかりだぞ?」

「つき合うまでに時間は掛けるかもしれんけど、好きになるのに時間は関係ないだろう。そうでなくても、お前ら、充分濃いって」

「でも、オレは……」

「はいはい、佐藤さんね。判りやすいよな」


 ……えっと……、新島にもばれてるわけね。てか、オレってそんなに判りやすい?


「オレは……別に御浜のことなんか怖がってないぞ?アイツの何が怖いって言うんだ」

「その態度のどこが怖がってないんだ?」


 おっさんの顔をしながら、新島はため息をついた。

 空き缶を二つ持って部屋を出ていき、しばらくしてから布団を持って帰ってきた。


「布団、しばらく使ってなかったけど、これで良い?」

「……ああ……??」


 さっきの話はこれで終わり?

 結局新島が何を言いたかったか、よく判らなかったぞ?


 オレが御浜を怖がってるだの、オレとティアスがつき合うとかつき合わないとか……。


 新島はオレの存在がいないかのように、フツーにしていた。部屋着に着替えて、布団に入る。オレもそれに倣った。

 もう1時近かった。外は雪が降っている。

 カーテンを閉めたら、音がしないことに違和感が生まれた。


「観覧車の写真、見せてもらった」

「……うん」


 恥ずかしいな、何見せてんだよ、あの女は。

 オレにも送ってもらったけど、一緒に写ったヤツ。


「あんまり、振り回さないでくれよな、ティアスのこと。オレ、保護者だから」


 電気を消しながら、新島は責めるわけでもなくそう言った。


「……振り回されたのはオレだっつーの」

「あ、そ。自覚してるなら良いけど。オレから白神には言わないよ。ティアスにそう言うな、とは言えないけど」


 オレの表情は、新島には見えないはずだった。

 でも、まるで彼にはオレの表情が見えてるみたいだった。


「御浜だけじゃなく……真にも言うな。頼むから」

「なんで?」

「真は、例えそれがどんな状況でも、御浜の味方だ」

「なにそれ。あの、泉が?アイツ、執着とか、真剣味とか、無縁な感じじゃん?」

「そうでもない。極端だから。その代わり、オレも彼女のこと誰にも言わない」

「そうしてくれると助かるよ」


 眠れるはずもなかった。






06


 酷く、心が重かった。

 

 冬休みに入って、愛里は用事でも出来たのか、オレの冬休みが明けるまでレッスンは無しだと伝えてきた。しかもメールで。相変わらずだ。代わりに大量に課題を出されたけど。

 でも、正直、助かった。

 これで、指が動かなくても、つまらなさそうにピアノ弾いてても、オレに何か言ってくる者はいないはずだ。御浜とティアス以外は。


 愛里に言われるよりは、良い。オレの心に深く突き刺さったりはしないから。


「……沢田、お前、ちゃんと寝た?」

「多少……」


 起き抜けに布団の上で、眉間にしわ寄せながらメールチェックしてたオレを、怪訝そうな顔で見ていた。


「大丈夫かよ……」


 携帯を触っていたら、ティアスからメールが来た。


『昨日はありがとう。楽しかったよ。また一緒に出かけようね(*^_^*)今日はちゃんと学校行ってね』


「沢田……顔、にやけてる……!ホントに大丈夫か?」

「にやけてた?!」

「うん。ただでさえお前、愛想悪いんだから、急ににやけると怖いよ。モテなくなるよ?」

「モテてるか?」

「あんだけ声かけられりゃじゅうぶんだ。お前、顔が恵まれてるんだっての。口も愛想も悪いけど。……何でかな?」


 もうそう言うの、どうでも良いって。中学のときに懲りたから。


「中身お子さまのくせに、何でそんな人生悟りきった爺の顔してんだろね、お前」

「どういう意味だ!」

「良いから、メールに集中すれば?誰から?」

「……いや」


 すいません。布団も片づけずにメール打ってて……。

 しかし、そんなににやけながらメール見てた?失礼な。

 確かに、ちょっと浮かれてるけど……。

 でも、この浮かれてるのと、オレの心が重たいのは別問題なんだよな。


 新島の両親と、談笑しながら朝食をとり、新島と学校に向かった。

 昨日、雪が降ってたとは思えないほど、外はいい天気だった。

 バスから見える景色がいつもと違っていて、妙に気持ちが高ぶっていた。


「ティアスって、今日はなにしてんの?」

「さあ、家でおとなしくしてんじゃない?賢木先生がいなくて怒ってたし」

「……ふーん、そっか……」


 新島がオレのことを不審な目で見てる。


「いや、別に特に何も……!ほんとに」

「別に違うなら違うで良いけどさ。……あ、泉」


 もしかして、真っていつもこのバス?路線違うから知らなかったけど、いつも同じバスだったらしい。


「なんでテッちゃん一緒なの?てか、新島昨日休みだったし、テッちゃん抜けてたし」

「昨日、たまたま会ったから、話聞くついでに家に泊めたんだよ。ちなみにオレはサボり。……泉くん、昨日の古典のノートを……」

「あはは、高いよ。それよりテッちゃん、どこをふらふらしてたんだよ。御浜が心配してたっつーの」


 新島のフリは、最高だったと思います。当たり障りないっつーか。


「あのなあ。御浜はオレの保護者か?お前は御浜の保護者か?」

「うーん……。テッちゃんの保護者かどうかはともかく、御浜の保護者はやっても良いかな?で、なにしてたの?」

「お前だって、時々ふらっといなくなるじゃねえか」

「テッちゃんはそう言うこと無いでしょ?最近言動が怪しいけど。愛里ちゃんはどうしたよ?」

「休み明けまでレッスンなしだって。レッスンない方が課題がきつい……」


 真は苦笑いをすると、オレの横に無理矢理座ろうと入ってきた。

 二人がけの座席に、二人で座ってるっつーの!あげく、この巨体でオレの膝の上にのしかかる。


「御浜がさ、昼くらいからテッちゃんともティアちゃんとも連絡が取れなくなったっつって、心配してたんだよね。テッちゃん、オレのメール見た?」

「いや、夜中に見た。電源きれてるのに気付かなかったし」

「あっそ。御浜にフォローいれた?」

「だから保護者かよ。親父よりうるせえな」


 隣で新島が苦笑いをしていた。

 昨夜、真と御浜の話をしたけれど、理解してもらえた、と思いたい。


 それにしても、オレより新島の行動の方が怪しいんだから、そっちにつっこめばいいのに……興味ないってコトかな?


「良いから、重いから退け。膝に乗るな」

「やだー。オレ、体力無いしー。終業式なんだからさぼればよかった。テッちゃん、今日の午後は……」

「自主練習」

「あっそ。つまんない。良いバイトの話があるんだけど」

「バイト?」


 金はあって困るもんじゃないぞ?


「そ、知り合いの代理店の人が、安く使えるモデルが欲しいって言ってんの。事務所経由すると高いし、動けなくても良いっつってたから。友達でいない?って」

「そういうのかよ……。お前、よくそう言う話持ってくるよね。顔広いっつーか。オレ、勘弁して、そう言うの。無理。御浜は?顔良いし。近所のおばさん達に大人気よ?」

「うーん……ちょっと違うかな、イメージと。まあ、放課後まで考えといて。……新島、女のモデルも頼まれてんだけど……」

「……ティアス自身はともかく……。いや、まあ聞いとくわ」

「?微妙なお返事。まあ、他にも声かけるから良いけど」


 そう言って、真が膝から降りた。もうバスは学校の前に着いていた。


「なあ、昨日の英語のノートって、どうなった?」

「ん?コピーあるよ。何、英語なんか捨てたって言ってたのに」

「いや、やらんとさ……」


 昨日、ティアスが教えてくれるって言ってたのを思いだした。


「あー受験ね。昨日、進路相談表を配られたから、机ん中につっこんどいた。年明けに出せってさ」


 バスを降りながら、オレと新島の顔を交互に指さした。


「テッちゃんは音大でしょ?大変だよな、学校はフォローしてくんないから」

「……いや、判んないけど。そういや、お前がどこ行きたいとかって聞いたこと無かったな」


 コイツこそ、南さんを追って芸大!とか言いそうだけど。

 校門を抜け、校舎へ向かいながら、真は珍しく少し考えていた。


「うーん。市立大の情報科学部とか、良いかなって。大学は行けって言われたんだよ、おじさん達に」


 ……そっか、コイツ、時々忘れそうになるけど、両親いないんだっけ……。

 もしかして、すごく考えてたかな、進路のこと。

 行きたかったとしても、確かに、言いにくいよな。


「新島は?」

「オレ、関東行くよ。どこでも良いから、6大学。理系でね」


 う……みんな考えてる。御浜はそのまま持ち上がりで大学部に行くだろうし……。

 教室着いたら、怖いけど相原とかにも聞いてみよっかな。

 そう言えば、ティアスはどうするんだろう。来年度、普通に芸大受けるって言ってた。何か目的があって、わざわざベルギーから来てるはずだし……。


 オレだけか?オレだけなのか?こんなんなの!?





07


 会えない時間って言うのは、どうしても妄想過多になってしまう。


 毎回そうなんだ。

 愛里は学校が休みになると、どこかへ出て行ってしまう。オレには行き先を告げず、突然。別に、そんな仲じゃないけど、一応……オレの先生なんだから、連絡くらいよこしても罰は当たらないと思う。

 この間は……たしか、秋の3連休のころだったかな。ちょうどその時期に教授がいなかったからと言って、1週間くらいフランスに行っていたらしい。帰ってきたとき、その話をやっと聞けた。

 今回もそうだ。この間、新島の家に泊まったときに来たメール以来、いっさい連絡無し。電話はつながらない。かといって、愛里の実家にそれを聞くのもどうだろう。

 彼女は今ごろどこでどうしているのだろう、なんて、考える。


 無駄な行為と知りつつ、オレはそれを繰り返す。あまりに非生産的だ。


「……この、大量の課題が悪いと、オレは思うんだ」

「何が悪いの?」

「いや、とにかくだ、何もかも」

「要するに、うまく進まないってコトでしょう?ピアノも良いけど、冬休みって宿題とかでないの?テツの高校」

 ピアノの前で、愛里の残していった課題を前にぼやくオレに、何故かうちのリビングでだらだら過ごしつつつっこんできたのはミハマだった。

「あるに決まってんだろ?お前んとこはないのか」

「あるよ。内申書に響くからね。やってるよ、それなりに」


 人んちのピアノの横でソファに座りながらジャンプを読んでるヤツの台詞か、それが?


「オレだって、やってるわい。……それなりに」


 英語以外だけど。


「……何かクリスマスっぽいモノ弾いて」

「何だ、ぽいものって」

「だって、思いつかないし!町中で流れてたって、曲名まで判んないって?!」

「思いつきで言うなよ、もう」


 そう言いながら、練習に飽きていたオレは、棚から楽譜を探す。確か昔、母が使っていた楽譜の中にあった気がする。

 探している最中、呼び鈴が鳴った。


「御浜、出てこい」

「……テツんちじゃん」


 ぼやきながら、彼は玄関に向かった。

 戻ってくるときには真を連れてきていた。


「なんだよ。お前の客じゃねえか」

「よく判ってるじゃない、テッちゃん。ミハマんちに行ったら、ここだって言うから。あ、……何かクリスマスっぽいモノ弾いてよ」


 ピアノを指さし、指定する。どいつもコイツも、思いつくのはそれかい!


「なんだ?誰の携帯が鳴ってる?」


 オレの言葉に、真と御浜が首を振る。……オレか。

 ソファの上の携帯を手に取り、着信相手を見て、思わず御浜の顔を見てしまった。


「どうしたの?」

「いや……、ちょっと……」


 携帯片手に、御浜達から距離をとって、リビングを出る。


「……なんだよ」

『なんだよって、随分よね。どうしてそんなにいつも喧嘩腰なの?』


 ティアスも、愛里と一緒で突然なんだ。

 まるで彼女のように、オレを振り回す。


「いや、喧嘩腰……ではない」

『だとしたら、自分を知らなすぎるわね』


 コイツは……ホントに、ああ言えばこう言う。

 でも、電話に出てしまう自分が悲しい。なんでだろう。


「だから、なんの用だよ?」

『冬休みじゃないの?』

「冬休みだけど?」

『御浜に一緒に出かけないかって誘われたんだけど、一緒にいるの?』


 ……すみません、質問の意図が全く持って判らない。

 思わず、リビングの扉を見つめる。何だか怖くなってきて、少しずつ、リビングから距離をとる。


「一緒にいるけど……。二人で出かければいいじゃねえか」

『御浜が、みんなで出かけようって言ったの』

「ますます持って意味がわからねえ!」

『いるんならいいよ。それだけ』


 電話切りやがった……。御浜も意味わかんねえけど、コイツも意味がわかんねえ。


 ……また呼び鈴鳴ってるし。仕方がないので、今度はオレが出る。

 玄関にいたのは、ティアスと新島だった。


「どっから電話かけたんだよ」

「そこ」


 御浜んちの前の方を指さすティアス。


「へー。そう言えば、沢田んちって初めて来たかも。お坊ちゃんか、お前は。でけえ家だな」

「グランドピアノあんのよ、この家」

「クラシックやるヤツは、大抵金持ってるって言うけどなあ……」


 人んちの玄関で、人んちを値踏みしないでくれ。


「なんで新島まで来てんだよ?クリスマスなら、彼女といればいいじゃん。こんなガキといなくても」

「ガキとはなによ!!失礼ね!!」

「まあ、仕事だし」


 ……そりゃそうか。思わず納得。

 それにしたって、電話の意味が判らん。


「なんで電話なんか……」


 人が質問してんのに、二人揃って勝手に上がってるし。


「まだ入れとも、良いとも言ってませんが」

「まあまあ。呼んだのは、白神だしな」

「何で家なのか……」


 我が物顔か?御浜!?意味が判らん。


「テッちゃん、ただいま。御浜さん、まだいる?……お客さん?ティアス?」


 帰ってきた柚乃が、玄関に上がっていたティアスの姿を見つけて挨拶をする。なんかどんどん人が増えていくな。


「テッちゃんの友達?」

「新島って会ったことなかったっけ?ティアスの保護者だよ」

「間違ってねえけどな」


 柚乃は新島に簡単に挨拶をすると、ティアスと一緒にリビングに向かっていった。その後を、オレと新島はゆっくりついていく。


「お前の妹、予想はしてたけど、むっちゃくちゃ可愛くない?!明らかにお前と同じ顔の遺伝子が入っているのだけが気に入らんけど」

「……兄妹なんだから当たり前だろうが。てか、そんなに似てる?オレら。自分たちじゃ全然わかんねえけど。親父ともそっくりって言われるけど……」

「本人達はそんなもんだって。端から見たら、よく似てるよ。あんなに可愛いのになあ……」

「オレを見るな、オレを」


 しかも嫌そうに!!


「てか、何でオレに電話なんかするんだよ、あの女は。思わず御浜達から逃げちゃったじゃないか」

「たち?」

「いや、真がいるんだよ」

「あっそ。てか、何で逃げてんのか、その方がわかんねえし」

「電話の方がわかんねえって。どうせ来るんなら、電話する必要ないし。オレが呼んだ訳じゃないし」


 新島は不審そうな顔でオレを見つめながら、わざとらしく目を伏せ、大きく溜息をつきやがった。

 失礼なヤツだ。意味が判らん。


「そんなの、考えなくたって判るじゃん。大した理由なんかないし。だって、メールはしてんだろ?」

「……えっと」

「何でそこでエロ本見つかった中学生みたいな態度になるかな……」

「わざわざ隠さないし」

「メールは隠すのに……」

「だって、さっきの明らかにおかしいし」

「おかしくないし、何でこだわんのかの方がオレにはわかんねえや。電話来たなら、『オレに電話がしたかったんだな』って納得して喜んどけば?」


 喜んどけばって言われても……。


「いちいち理由なんか考えてたら、疲れるだけだって」

「いや……気になるだろ?」

「お前、映画とか考えてみるタイプだよな?」

「あんまり見ない」

「あっそ。理由考えるより、これからどうしようかなって考える方が楽しくない?」


 そう言って、新島は笑う。


「……新島って、そうやって彼女とつき合ったんだ」

「そうやって、つき合ってるんだよ」


 彼はオレの言葉を訂正してから、リビングに入っていった。


 どうしてそんなに良いように考えられるのか、不安がないほど安定しているからなのか。

 理由は判らないままだけど、オレは無性に新島の状況がうらやましくなった。


 彼は決して、陽の当たる恋をしているわけではないのに。




08


「あれ?なんか人数多いな……。ま、いっか、多い方が楽しいよね、きっと」


 ソファに座ったままリビングに集まった人数を見渡し、満足そうにそう言ったのは御浜だった。

 隣でシンが、いつもの嘘臭い笑顔を浮かべながら相づちをうつ。

 オレは、話に入る気などもちろんなく、二人を少し離れた場所から見守っていた。


「動くのめんどくさそうだけどねえ。どっか行くつもり?」

「……考えてなかった」

「あ、やっぱり?」


 ……人んちのリビングに多人数集めたかと思ったら、何も考えてなかったのか、こいつら。

 おおかた、ティアスを呼びつける口実って所だな。結局、また新島連れてきちゃってるけど。


「紗良さんも連れてくればよかったのに」

「今日ねえ、バイトなんだって。その後、研究室の人たちと飲み会だって。寂しいよねえ」


 そういや、御浜っていつの間に南さんとか仲良くなってんだろ。何気にすごい。オレだって、ほとんど面識ないのに。


「そういや、秀二さんは?あの人、大抵この家にいるのに」

「そんなにしょっちゅうはいないよ。それに、年末年始は忙しいって言ってたし」


 このメンツの中に秀二がいたら大変だろうよ。あいつ、自分の独壇場以外は、ほとんど喋れないし、若い力にあのおっさんが勝てるとは思えん。


「テッちゃん、なんか目つき悪いねえ」

「いつものことだって。ほら、あの人ああ見えて人見知りだし、人が多いところ苦手だしね」


 うるせえよ!聞こえるように悪口言うなっての!お前らは!


「うわ、睨んだよ!!ひどーい」

「絶対、『うるせえよ!』とか思ってるね、あれ」


 ……お前はオレの心が読めるのか?御浜!


「ティアス、きてくれたんだね、嬉しいよ」


 御浜達にティアスが近付くと、彼は屈託のない笑顔で彼女を受け入れる。その笑顔に、彼女は笑顔で返す。

 まあ、この場面で、あんな可愛らしいこと言っちゃうのが御浜だよな。


「忙しかった?」

「ううん」


 彼女は少しだけ照れていた。まるで、一緒に出かけたあの時のように。

 クリスマスイブに、気に入った女呼びつけて、多人数とはいえ出かけようってのは……御浜にしては、良い傾向かな。こんなコト、あいつには今までなかったし。


 その相手がティアスじゃなければ……。


 いや、別にティアスでも良いじゃん。オレとティアスなんか、何でもないし。新島が変なこと言うから。

 そりゃ、こっそり一緒に出かけてるし、メールもしてる。電話だって、別に初めてじゃない。

 でも、べつに何でもないじゃん、オレ達は。


 彼女は、オレの方をちらっと見ると、微かに微笑む。

 思わず、オレもこっそり笑顔を送ったりする。だけど、その行為に、オレの心臓は高鳴ると同時に、締め付けられる。


 だって、御浜が見てる。


 友達が好きな女とつき合うなんて面倒なこと、オレはしたくない。

 これは別に、御浜を怖がってるって言うのとは違うと思う。

 だから、こないだはうっかり一緒に出かけちゃったりしたけれど、もうしない。


 ……連絡はとり続けてしまうかもしれないけど。


「どこ行くの?」

「名駅とかは?イルミネーション綺麗らしいよ?」

「えー、御浜、こう言うときは、もっと人の少ないところへ!今日なんか、あり得ないくらい人がいるよ?」

「じゃあ、どこ行こうか」

「……要するに、決まってないのね」


 ティアスの突っ込みに、3人で笑い合う。

 なんか、一緒にいるところをあんまり見てなかったからその様子にまだ違和感を感じるけど、いつの間にかそれなりに仲良くなってたんだな。そのわりには、まだ保護者付きか。

 でも、つき合うなら、さっさとつきあえよ。めんどくさい。


「沢田、何でそんな遠巻きに見てんの?」

「……別に」

「眉間に皺寄ってるし」

「ほっとけ、いつものことだ」


 新島はこう言うとき、特に機嫌を悪くするでもなく、苦笑いをする。なんか、妙に落ち着いてて、大人っぽい。

 正直、羨んでるんだろうな、オレは。こんな新島のことを。


「そういや、お前、ホントに良いの?ティアスと一緒にいて」

「なんで?別に、いつものことだし。オレ達、仲良いんだよ、こう見えても」

「いや、何がこう見えてなのか。充分すぎるほど仲良いって。そうじゃなくて、こんな保護者まがいのことして振り回されてて、それで良いのかってこと」

「楽しめばいいんだって。オレは、ティアスのこと気に入ってるし」

「気に入ってる、ねえ」

「いいじゃん、顔は可愛いんだし」

「……他は?」

「まあ、いろいろかな」


 誤魔化したな。


「また、眉間に皺寄ってる。言いたいことがあれば、素直に言った方がいいこともあるよ?人生長いんだし」


 何でかな。やっぱりあいつらの方を見ると、嫌な顔になるな。別に、どうだって良いのに。


「出かけますよー」

「重たい、乗るな!」

「いてえって!、泉!」


 こそこそしてたのが気に入らなかったのか、真がオレと新島の間に割って入り、無理矢理オレ達二人と肩を組んでのしかかってきた。体でかいんだから重いっつーの!


「オレ達、一緒に行く意味あんのか?」


 御浜には聞こえないように、真にそう聞いたのだが、コイツは一切顔色を変えなかった。


「一緒に行かなきゃいけないくらい、初々しい関係なわけよ、そこんとこ判ってる?」

「しらねえよ」


 あからさまに嫌悪感を示してしまい、しまった、何て思った瞬間、地面が軽く揺れる。そんなに大きな揺れではなかったけれど、体が浮くような、妙な感覚が残った。


「最近、こういう小さい地震多いよねえ」

「そうか?」

「ほら、夜中とか……。テッちゃんて、あれだよね、鈍い?」

「お前が神経質なだけじゃねえのか?」


 ……うまく話がそらせたようで、何より。


 ピアノの前では、ティアスと御浜が笑い合ってる。

 それで良いんじゃない?何だか楽しそうだし。


 そう思えるのに、どうしてこんなに鮮明に、彼女と出かけたときのことを思い出しているんだろう。



09


 なんでこのクソ寒いのに、オレ達は動物園にいるんでしょうか?


「テッちゃん……思いっきり不愉快な疑問がありますって顔、しないの!」

「オレのその不愉快な疑問が判ってるなら、答えをくれ、答えを」


 吐く息が白いっつーのに、どうしてこんな所にいるのか。

 騒ぎながら園内を歩く御浜達の後ろから少し離れて、オレと真がゆっくり後を追う。

 園内にある遊園地に向かうエスカレーターに乗った。


「まあ、もう昼過ぎてたしねえ。オレ達、車もないから、足ないしさ」

「近場ですませたってわけか。でも、なにもこのクソ寒いのに、わざわざ動物園?」


 しかもこの動物園、壁もないし、微妙に山の上にあるから、冬は寒いし夏は暑い。


「いや、動物園じゃなくて、あのタワーとか、観覧車とか、ちっさいコースターとか、いろいろあるじゃない、遊べるもの」

「お前だって、普段こんな所来ないだろ?」

「そうでもないよ。ここ安いし、こういうの好きな女の子、いるよ」

「お前が言うと信憑性があるな」

「統計とってますから」


 マフラーに顔を埋めながら嫌味を言ったんだが、当然といった顔で返された。一体何人と「おつきあい」してきてるんだか。


「まあ、金ないし、町中ふらつくか、カラオケかってとこじゃない?」

「ボウリングとかでも良いじゃねえか。室内だし、町外に出るならN市に出てもO市に出ても同じだろ?」

「……先に言ってよ、それ。ボウリングで良いじゃん。大人数で楽しめそうだし。健全そうだし。……でも、テッちゃんちからだと乗り換えとかめんどくさいや」


 そう言いながら、真もまたマフラーに顔を埋め、肩をすくめる。


「女の子ってさ、あんなミニスカートで寒くないのかな?」

「寒いだろうよ。中身、相当着込んでるぞ、柚乃なんか」

「まあ、なに着てても、外見が可愛ければ良いんだけど、あんまり酷いとがっかりするかな」

「酷いって、どれくらい?」

「うーん」


 透視でもする気か?その目つきは。


「テッちゃんてさ、ティアちゃんとどうなの?」

「何が?意味が判らん、その質問の。つーか、その呼び方こそどうなの」

「良いんだよ、オレはこう言うので。なんかさ、こそこそ目配せしあったりして、やらしい感じ」

「してないって、別に」

「新島とはホントになんもないみたいだし」

「だから、新島とも、オレともないって」


 そう言ったじゃねえか。全く、何を探りにきてんだ、コイツは。


「……御浜が、何か言ってるわけ?お前に」

「いや。あんな感じよ、いつも。今日だって、『せっかくだからみんなで出かけようか』なんて可愛いこと言うから、うっかり来ちゃったわけよ」

「可愛い、ねえ?」

「幼いとか、初々しいとか言うけど」

「ああ、そうですか」


 完全に楽しんでやがるな、コイツ。


「観覧車、3人ずつで乗る?」


 いつの間にか観覧車の前に来ていた。少し距離のあるオレ達に御浜が大声で声をかける。

 ……いや、3人ずつって、どんな組で分かれろと!?

 柚乃は御浜と乗りたがるだろうし、御浜はティアスと乗りたがるだろうし……。かといって、そんなバランスの悪い組合せは逆にどうよ?ってかんじだし。ティアスがどうでるか判らんけど、いつものように保護者よろしく新島と一緒に乗るかも知れないし……。


「あー、オレ、テッちゃんと話してるから、4人で乗れば?乗れるでしょ?」

「……男2人で観覧車?気持ち悪!?」

「まあまあ、たまには良いじゃない。女の子となんて、いつでも乗れるでしょう?」

「……いつでも?」


 ティアスがオレ達を指さし、嫌そうな顔をした。

 真は、そんな彼女の言葉を無視して、ほぼ強引にオレを引っ張って、御浜達を追い抜き、観覧車のゴンドラの中に押し込めた。

 御浜達4人は、その様子を呆気にとられたように見ていた。


「……いつでも、は乗れませんけど」

「なに、ティアちゃんと乗りたかった?」

「なんで?」


 こないだ一緒に乗ったし。


「愛里ちゃんとはどうなったの、美人女教師は!?」

「どうもこうもあるか、別に」


 思いださせんなよ、ちくしょう。


「……不機嫌?」


 いつもの笑顔のまま、向かいから顔を覗き込む真が、余計に不愉快だった。


「うるせえな」

「そういや、休み中ってレッスンとかしないの?」

「御浜みたいなこと聞くなよ。愛里がどこかに旅立ってるから、レッスンはなし。自主練習!」

「それで機嫌悪いの?ホントに愛里ちゃんのこと好きだよねえ」


 ……この男は……一体何が言いたい。こんな密室で。

 なんか……蒸すな……。


「なんか、不満そうだね。テッちゃんの顔が赤いのは、とりあえず置いといて」

「うっさい!いちいち言うな!」


 余計恥ずかしいっつーの!


「オレなりに御浜にも柚乃ちゃんにもティアちゃんにも気を遣ったつもりだけど」

「まあ、角は立たないけどよ、あの組合せは。違和感もあんまないし」


 御浜達は4人でゴンドラに乗り込んでいた。上から見下ろした限りでは、御浜の隣に座る新島が苦笑いを浮かべているのが見えた。


「新島が不幸だな」

「仕方ないんじゃない?保護者なんだし」

「そうだな。借りもあるらしいし、きっちり返させとけばいいか」


 なんかくだらない会話ばかりしてる気がするが……しかし色気がねえな。男2人で観覧車って……。


「テッちゃん、そんな嫌そうな顔して人のこと見ないでよ。何でそう常に喧嘩腰?」

「元々こういう顔なの!うっせえな!」

「喧嘩腰じゃない人は、うっせえな、何て怒鳴んねえっつうの。なんだろね、常に心に何かやましいことがあるから喧嘩腰なのかな?」

「……そんなことはないと思うが」

「テッちゃんて、難しいよねえ。なんか子供みたいだからさ」

「誰が子供だ」


 ちくしょう、早く下につかねえかな。


 こないだは、こんなコト思いもしなかった。

 隣に座る彼女と、ホントは何を話して良いか判らなかった。必死だった。でも、あっという間にゴンドラが下について、それが何だか寂しかった。

 あの時の状況に動揺してたオレに対して、あまりに普通に彼女はかわした。だから悔しくて彼女をわざとからかった。オレにだって、それくらいの余裕はあるんだと。


 別に、好きじゃないから、なんだって出来る。

 何だって出来るはずなのに、どうしてこんなに引っかかってるんだろう。


「ティアちゃんのこと、見過ぎだよ」

「別に、あの女を見てるわけじゃねえし」

「そう、だったらいいけどね」


 本当にただ、あの女を見てるだけなら、そんなに簡単なことはないのに。いや、簡単ではないけれど。少なくとも、オレの中では楽になる。御浜のことは気に掛かるけど。

 だって、こんなにも愛里の存在が、痛い。

 彼女はオレに対して、いい顔など見せやしないのに。それどころか、オレを簡単に突き落とすくせに。


 本当は、もう、何年も前から、彼女のことなんか忘れたかったのに。


「何だよもう、黙るなよ。こっちだって、男2人で観覧車は初めてで緊張をだね……」

「うるさい、黙れ」

「ひど!ボケを拾う気すらないのかよ!あんまりまじめな顔しないでくれる?オレがいじめてるみたいじゃん」

「つーか、今のボケ?つまんねえ」

「鬼か!テッちゃん冷たすぎ!てか、顔怖いって」


 彼女に相手にされないから、彼女に裏切られ続けているから、オレがこんなに寂しくて苦しいままだから。

 だから他に逃げ道を探しているのか?


 オレにとってティアスって、もしかして逃げ道なのかな?

 だから、自分でもよく判らないまま、引っかかっているのかな。



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