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ファン会報より抜粋


 ファンクラブ会員の皆様、ご機嫌麗しゅう。レジェンズ新人、人間の山田でございます。

 今回、初の会報記事作成とあいなりまして、気合いを入れてトップ5の皆さんを集めてみました。

 会談形式にしようと思い無理を言って時間を取っていただいたのですが、今さらながら1人ずつにすれば良かったと後悔しております。

 円形のテーブルに自分、パパン先輩、リッちゃん先輩、ドリー先輩、タッちゃん先輩、スケルン先輩(以下、山、魚、ト、草、牛、骨と表記)の順に座っているんですが、どうしてか圧迫面接のような息苦しさを感じずにはいられません。

 席順に関しましては、自分の独断です。現在の空気を変えるためにも、早速ですが質問に入りたいと思います。


山:えー、質問その1。皆さんの休日の過ごし方は?…っあ、回答は時計回りにお願いします。

魚:僕は本を読んで過ごす事が多いかな。今はスター新一作品を読み直しているところ。

ト:俺様は特に決まってねぇな。しいて言やぁ、適当に外ブラついてる事が多いか。

骨:ハッ。何だそりゃ、暇ぁもてあました中坊かっつーの。

ト:…んだと?……もっぺん言ってみろ、骨野郎。


 テーブルを挟んで睨み合う骨とトカゲ。山田は命が惜しいので仲裁には入れません。


草:はいはい、ソコ。初っ端からケンカしないのっ。ボクはよくホームセンターに行ってるよ。

牛:……休みは大抵、知り合い訪ねて終わりだな。

骨:オレはコンビニ巡りしてるわ。話題のモンスター肉まん、普通に美味かったぜーぇ。

ト:くっだらねぇ。人の事どうこう言えたギリかよ。

骨:あぁ?…っテメェ、コンビニ商品の入れ替わりの激しさナメてんのか?

牛:止めろ。リザード、スケル。


 牛に諌められて、トカゲはチッと舌打ちをし骨は鼻をフンと鳴らして同時に顔を逸らす。

 営業中の彼らのケンカを誰も止めないのは、すでに名物になっているからでしょうか。まぁ、それを楽しみにされているお客様も少なからずいらっしゃいますしね。


山:気を取り直して質問その2。ずばり好きな女性のタイプは?

骨:って、おまっ。そういう質問は最後の方にとっとけよっ。

山:えっ。

ト:ったく。んな事も分からねぇくせして上位陣集めるたぁ、大した度胸だな山田ぁ?

山:ひぃーっ!

魚:まぁまぁ…。彼、初めてですし。そこまで完璧を求めなくてもいいんじゃないでしょうか?

草:えー、甘ぁい。砂糖菓子より甘いよ、パパン。教育は最初が肝心だよー?

魚:そう言うことなら、僕が後でこういった場合のセオリーをちゃんと教えておきますから。

山:ぱっ、パパン先輩ぃーーっ!


 一同、ため息。


魚:じゃあ、質問の答えだけど…実は良く分からないんだよね。とりあえず、優しい子…かな?

ト:面倒臭くねー女。

草:うーんとねぇ、スターチスの花みたいな子?

山:スター…何とかって、どんな花なんですか。

草:あはっ。ボク、自分で調べもせずにすぐ人に聞いちゃう男ってきらーい。

山:スミマセンでした。…タッちゃん先輩お願いします。

牛:……特にないな。

骨:オレもねーなぁ。敢えて言うなら、オレを好きでいてくれる子はみんなタイプだぜっ。(親指立ててドヤ顔)

山:えーっと、はい、ありがとうございました。


 沈黙。ペラリと質問の紙をめくる音だけが部屋に響く。


山:続いて質問その3。趣味と特技を教えて下さい。

魚:趣味は読書、特技は泳ぐ事。…うーん、あんまり面白くなくてごめんね。

山:とんでもない。普通に答えていただいて結構ですから。じゃあ次、リッちゃん先輩。

ト:趣味っつーか、トラ転がすのは嫌いじゃねぇ。特技ー…あー…思いつかねぇな。ケンカか?

魚:トラ…を転がす…?

牛:リアルビンテージのボンネビル(改)トライトン・レーサーだ。

草:要はバイクに乗るのが好きって事だね。ボクは美容ー。特技は利き植物用栄養剤だよっ。

牛:趣味は仏像彫り。特技は射撃。

骨:趣味、女の子をはべらす事!特技、女の子をはべらす事!生きがい、女の子をはべらす事!

草:スケルン、一貫してるねー。じゃあさ、もし世の中から女の子がいなくなったらどうするのー?

骨:死ぬ。

草:うわぁ、真顔だ。

魚:いくらなんでも、そんな簡単に死なないで下さいスケルン先輩…。

ト:さすがタッちゃん先輩!常人には出来ない特技を平気で持っているッ!そこにシビれる!あこがれるゥ!今度、ぜひ教えて下さいっ!

牛:…この国にいる限り必要のない技能だ、リザード。

ト:分かりました、タッちゃん先輩!止めておきます!


 山田、一連の流れに唖然。…誰か、ツッコミプリーズ。


山:えっ…えー、では、次の質問っ。学生時代の思い出を何でもいいので1つ教えて下さい。

魚:学生時代かぁ…。あの頃はまだ故郷の海にいたんだよね。みんな元気かなぁ。……。

山:……パパン先輩が物思いに耽ってしまったようなので、先にリッちゃん先輩お願いします。

ト:つってもなぁ…、番だ何だと小せぇシマぁ奪い合ってケンカしてた覚えしかねぇ。

草:リッちゃんたらバイオレンスぅ。ボクは、高校で生徒会長をしてたんだよー。生徒(というか、ボク)がより良い学生生活を送れるように(理事長他教師陣を脅して)古めかしい校則を新しくしたり、(主に目障りな人種を排除するという形の)校内美化を徹底したり。

山:そ…、そうですか。(何だか合間合間に聞こえてはいけない心の声が聞こえたような…)

牛:飛び級でさっさと終わらせちまったし、思い出という程のものは無いな…。

山:飛び級って…一体、どこの国にいたんですかタッちゃん先輩……。

骨:オレは高校時代、バレンタインチョコを3ケタは貰ってたぜーっ。HAHAHA!羨ましいだろ、山田っ。妬んでもいーぜ!

山:…遠慮しておきます。

骨:なんだよ、つまんねーなぁ。若さが足んねーよ、若さが。もっとノってこーぜっ。


 山田の肩に腕を乗せる骨。それを外しながら質問用紙に目を通す山田。


山:はいはい。まだまだ行きますよー。質問その5、初恋はいつですか?

魚:えっと、お恥ずかしながら…まだです。

ト:んなの、いちいち覚えてねーよ。

草:またまたリッちゃんたら照れちゃってー。ま、いいけど。ボクは幼稚園の時かな?

牛:アレをそう呼んで許されるのなら、十代半ばだな…。

骨:産まれた瞬間からオレは世界中の女に恋をしていた。(組んだ手に顎を置いてキメ顔)

山:はいっ、次いきましょう、次っ。


山:質問その6。自分以外の4人に対する初対面での印象をお願いします。

草:うわぁ、中々エゲツない質問来たねぇ。

骨:いや。そりゃあ、単にドリー先輩が腹ぐ……ナンデモナイデス。

魚:じゃあ、皆さん。僕に対する印象を教えて下さい。

ト:楽勝で勝てる。

草:気弱そう。ホストとしてやっていけるのか心配。

牛:オタマジャクシだな。

骨:うはーっ。マジもんのマーマンだ、ウロコやっべぇー。って感じか?

山:…大概ひどいですね。ところであのー、タッちゃん先輩のオタマジャクシって何ですか。

魚:あぁ、子供の頃の僕の事だと思う。彼とは結構長い付き合いだから。


ト:次は俺様だな。

魚:えっと、ごめんなさいっ。ちょっと怖そうだと思いました。

草:御し易し。

牛:気骨のありそうな男だと思ったな。

骨:なんだコイツ、気に入らねぇ。ムカつく。

ト:……くっく、奇遇だなぁ骨野郎。俺様もお前と全く同じ感想だ。

骨:オレとテメェが未来永劫相容れない存在だってぇのは宿命レベルで信じられるぜぇー、クソ爬虫類よぉ。

草:ちょっとぉー。次、ボクの番なんだから変な空気出さないでよー。

骨:ひぃっ、スンマセンっしたぁー!

ト:あー。すみません、ドリー先輩。気を付けます。


草:はいっ、じゃあボクの印象お願いしまーすっ。

魚:最初は、どうしてホストクラブに子供が?とビックリしました。

ト:タッちゃん先輩の先輩。偉い。

牛:底知れねぇ。

骨:ナンテカワイインダロウナート思イマシタ。

草:なんで片言?


牛:次は俺か…。

魚:物心ついた頃にはもう知り合いだったから、初対面の印象というのは無いです。とても優しい人だと思います。

ト:タッちゃん先輩を見て、自分がいかにガキだったか思い知ったぜ。

草:どんな経験をしてきたのか知らないけど…。とりあえず、一目でこの男は敵に回すべきじゃないと分かったねぇ。

骨:この世にゃあ一生適わねぇ人間ってのがいるもんだと心から理解したわ。いやー、懐かしい。


 何か思うところがあるのか、それぞれ感慨深げにうんうんと頷いている。


骨:おっ、最後はオレだな。

魚:ふふ。楽しい人だなと思いましたよ。今も思っていますけど。

ト:最初はこんなヒョロい奴、簡単に潰せると思ったんだがな…。だからこそ、余計に気に入らねぇ。

草:いやぁー、活きの良いのが入ってきたなぁーって感じっ?…ふふふ。

牛:一本、芯が通ってる。

骨:何か寒気がっ!?…くっ、いつものテンションを思い出せオレっ。ビー・ホット。ビー・ホット。


山:えー…っと、質問その7。生きる上でのモットーや座右の銘などありましたら教えて下さい。

魚:何だろう。人に優しく……とか。

ト:先手必勝だな。

骨:はんっ、なぁにが必勝。んなこたぁ、オレに勝ってから言いやがれっつーの。

ト:何か言ったか、骨野郎。


 ダンっとテーブルを叩いたトカゲと頬杖をついた骨がまたもや睨み合う。


魚:あの。先輩方…お互いにお互いを煽るのは、もうその辺で止めた方が……。

草:あーあー、パパンにまで言わせちゃって。…でも命拾いしたねぇ。仏の顔も3度まで、ボクの忠告も3度までっ。あ、座右の銘は備えあれば憂いなしかなっ。

山:3度を超えたらどうなるのか知りたいような知りたくないような…。

牛:俺の場合は……人事を尽くして天命を待つ、ってトコか。

骨:今さら言うまでもねぇが、オレは生涯ハーレムをモットーに生きてるぜーぇ。

山:スケルン先輩は本当に今さらですね。


山:では、質問その8。好きな食べ物は?

草:うわぁ。それこそ最初の方の質問でしょ、コレ。

魚:まぁまぁ、ドリー先輩。…僕はシーザーサラダとか好きだよ。

ト:カラアゲ。

草:リッちゃん、いつも食べてるよねぇ。ボク、チョコパフェが好きーっ。

骨:本当は?

草:あたりめ。って、何言わせるのスケルンっ。ちょっと山田、今の違うからねっ。

牛:……ミネストローネ。

骨:っしゃ、一矢報いたっ。あっ、オレは煮付け系なら何でもイケるっ。

山:後で絶対やり返されるだろうに、よくやりますね…スケルン先輩。(小声)


山:お。いよいよ、あと2問ですよ。質問その9、子供のころの夢は?

魚:幼稚園くらいの時は考古学博士になりたかったなぁ。

ト:格闘王。最強って立場は男なら誰でも1度は憧れるもんだろ。

草:大統領かなっ。まぁ、何でもいいから1番偉い人っていうのになってみたかったんだよね。

牛:……自由。

骨:モテキング一択っ。まだガキの頃はハーレムって言葉を知らなかったんだよなぁー。

山:まともな子供がいねぇ!……っと、失礼しました。皆さん素晴らしい夢をお持ちだったんですね。うん。はい。


山:では、ラストの質問いきます。ホスト以外でなってみたい職業は?

魚:これは…、中々難しい質問だね。んー…理学療法士?

骨:うわメッチャぽいっつーか、むしろなぜホストを選んだのかと!

ト:っせーな、骨。無駄な詮索してんじゃねぇぞ。……俺様はボディガードだな。(チラチラとタッちゃんを見つつ)

草:職業とは違うかもしれないけど、株の取引きとかやってみたいなー。

山:嫌な予感しかしませんが…。

牛:俺は大型動物の調教師に憧れるな。熊や虎を懐かせて演技を覚えさせるのは楽しそうだ。

草:タッちゃんならあっさり出来そうと思ったのはボクだけ?

魚:あ、僕も思いました。

山:自分も同意です。

ト:タッちゃん先輩に不可能は無い!

骨:新興宗教の信者かっつーの…。オレはホストじゃないなら、大人しくヒモでもしてるわ。

山:うわぁ……。


山:あっ、質問はこれで終了です。最後に、オーナーに向けて何か一言あればどうぞ。

魚:えっと…、こんな良い職場に雇っていただいて本当に感謝してます。

ト:警備員ども雑魚すぎだろ。早いトコ次のヤツ用意しろ。

山:そもそも新しい人が雇われる度にケンカをふっかけるのはどうなんですか、リッちゃん先輩。

魚:まぁまぁ、山田君。リッちゃん先輩の行動はお店を大事に思う心の表れだから…。

草:気持ちは分からなくも無いけど、非常識ではあるねぇ。あっ、オーナー。貯蔵庫の奥に隠してあった高級ワインとっても美味しかったですっ。

山:って、アンタも何やってんですかドリー先輩!?非常識さはドッコイドッコイですよっ!

牛:…まだしばらく世話になる。

骨:イェーイ、オーナー最高ーっ!今後ともぉー、ハッピーうれピーよろピくねーーッ!ッヒュー!


山:……っはい。ということで、以上で会談はお開きとなります。先輩方、本日はお忙しい中ご協力いただきありがとうざいました。お疲れ様でした。



レジェンズ会報…月1ペースで発行中。定期購読がお得。企画や制作は中堅以下のホストがローテーションで行い、文章の編集やページデザイン等はホール担当と厨房担当の有志により行われている。オーナーの最終チェックの後、専属契約している業者により印刷・発送。バックナンバーも購入可能で、トップ5のプロフィールなどが掲載された号は特に売れ行きが良い。


オーナー…誰もが知ってる謎の人。

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