表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/14

人外会話集 タイマン編


◇トカゲと骨(営業中、店内フロア)


「オイ!うっせーぞ、スカル!おちおち話も出来やしねぇじゃねーか!」

「誰がスカルだ、このハ虫類!オレは透ける…じゃねぇ、スケルだ!

 大体、テメェのクソつまんねぇ自慢話なんざ誰も聞いちゃいねーよ!」

「んだと!?脳が足りねぇどころか入ってすらいねぇ、どこもかしこもスッカスカ骨野郎のクセしやがって!

 貴様の無駄話が俺様の話より価値があるとでも思ってんのかよ!」

「人を骨粗鬆症みたいに言うんじゃねぇーッ!オレの骨密度ナメてんのか、コラぁ!」

「あぁ!?意味分かんねぇ事言ってんじゃねぇよ、骨カス!

 そのヒョロイ身体バラバラに分解してやるか?」

「おーぉ、上等だ!やってみろや、オラ!

 テメェの邪魔くせぇ尻尾ぶった切って再生するかどうか実験してやんよ!」


 ひとくちメモ:2人の喧嘩は恒例行事



◇牛と草(営業中、休憩室)


「タッちゃん、またスカウト来たんだ?」

「あぁ、ドリー先輩。まぁ、そうですね。いつもの事ですよ。」

「ははっ、ボクたちにしたらそうだよね。今回はどこから?

 獣人系のファング?それとも筋肉系のビルダーズ?もしかして、角系の一本鬼いっぽんぎかな?」

「いや、そのどれでもない。大地です。」

「あー、茶系のあそこ。最近落ち目なんだよねぇ。

 にしたって、レジェンズから引き抜きしようだなんて冒険もいいところだよ。」

「それだけ必死なんでしょう。」

「…またこっそり援助しようだなんて、止めときなよー?

 君ってば本当にお人好しなんだから。」


 ひとくちメモ:ドリーは情報通



◇骨と魚(開店準備中、ロッカー)


「あ、スケルン先輩。約束の僕の鱗のブレスレット完成しましたよ。」

「おぉ、ついに!

 うわーっ、やっぱヤベェなお前の鱗!マジ嬉しいわ。ありがとなー。」

「いえいえ、この程度お安いご用です。」

「じゃ、これ報酬な。つーか、ホントにこんな安値で良かったん?

 出るトコ出りゃあコレの10倍はつくだろ?」

「大丈夫です。僕としてはむしろ、そっちの事実の方が重かったりするんですよ。

 ただの鱗なのにって。」

「はー。欲がねぇなぁパパンは。どこの聖人君子かっつーの。

 オレにゃあ真似できねー。」


 ひとくちメモ:マーマンの鱗は高値で取引されており、パパンの鱗はその中でも上質の部類に位置する



◇牛とトカゲ(営業終了直後、店内フロア)


「疲れてませんか、タッちゃん先輩!肩お揉みしますか!?」

「…いや、必要ない。」

「分かりました!

 あ、ノド渇いてませんか、タッちゃん先輩!何かお持ちしましょうか!?」

「…今はいい。」

「そうですか!

 じゃあ、小腹は空いてませんか、タッちゃん先輩!何かつまめるもの用意しましょうか!?」

「リザード…。」

「はいっ!何でしょう、タッちゃん先輩!」

「……そういう気遣いは、できれば俺よりも後輩ホストたちへ向けてやれ。

 お前のやり方に口を出す気は無いが、おそらくこのままだと……いや、老婆心だ。スマン。」

「いえ!ありがとうございます、タッちゃん先輩!肝に銘じておきます!」


 ひとくちメモ:リッちゃんは憧れの存在を前にすると興奮のあまりキャラ崩壊を起こす



◇草と魚(営業終了後、ロッカー)


「ボクがこの国に来ようと思った切っ掛けはねー。んーと、水かなぁ。」

「あぁ、それは僕もあります。ここの軟水、良いですよね。」

「そうそう、そうなんだよーっ。種類も豊富だしさぁ。

 そんでもって、たまーに温泉水なんかにも手を出しちゃったりしてぇ。」

「分かります分かります。僕は由布のものがお気に入りですね。」

「そこで別府に行かないあたり分かってるねー。

 でもさ、何だかんだ言って最後は故郷のすっごいハードな硬水が恋しくなっちゃったりしてさ。」

「高い代金払って、わざわざ定期的に取り寄せたりしちゃうんですよね。」

「うわー!あるある、ありすぎる!で、パパンの場合だと海水?」

「ですね。ルートを確保するのに苦労しました。」


 ひとくちメモ:2人は海外出身



◇骨と牛(開店前、店内廊下)


「タッちゃん先輩。チーッス!」

「スケルンか。…早いな。」

「いやぁー、それが聞いて下さいよーっ。

 久々にダチと飲んでたんスけど、途中で腐敗衆ふはいしゅうの奴らとバッタリ会っちゃってぇー。

 プライベートだっつーのに、いつまでも引き抜きがどうこうウッセェもんで、飲み比べで勝ったらって条件出したんスよ。

 したら、勝ったはいいけど結局オールになっちゃって!んで、寝る暇もなく身だしなみだけ整えて即出勤ッスわ!

 ったく、冗談じゃねぇ!時と場合を考えろっつーんスよね!マジ無いわアイツら!」

「そうか。」

「あっ、でも仕事に手ぇ抜かねーッスから!

 ていうか、オレが女の子前にしてテンションダウンとかありえねーっ!」

「…まぁ、無理のない程度にな。」

「了ー解っ。っつっても、ワンオール程度余裕ッスよ!心配あざッス!」


 ひとくちメモ:腐敗衆はアンデッド系ホストクラブ



◇トカゲと魚(営業中、手洗い場)


「………。」

「………。」

「…リッちゃん先輩。」

「あ?」

「この前はありがとうございました。」

「はぁ?んだそりゃ。意味分かんねぇし。」

「僕がお客様から相談を受けていたから、スケルン先輩が隣の席で盛り上がっているのを諌めて下さったんですよね。

 あのままだったら、大事な話を聞き逃してしまうところでした。

 だから…、ありがとうございます。

 リッちゃん先輩にはいつも憎まれ役を買って出ていただいて、とても感謝しているんです。」

「別に、俺様はあの骨野郎が気に食わなかっただけだ。

 勝手に変な解釈してんな、バぁカ。」

「それでも、僕は助かりましたので。」

「…ふんっ。」


 ひとくちメモ:ツンツンデレデレ



◇草と骨(出勤途中、道端)


「ハロー、スケルーン?」

「ゲッ、ドリー先輩!」

「おやぁー?先輩に向かってゲってのは無いんじゃないかなぁー?

 君が先日のオール帰り、酔って電柱を必死に口説いた挙句、情けなくもゲロっちゃった事…。

 皆にバラしちゃってもいーいのーぉ?」

「おわぁーっ!ちょっ、まっ、止めて下さい!謝ります!謝りますから!

 っつーか、毎回毎回そんな情報どっから仕入れて来るんスか!」

「くすくす。ボクは何でも知っている。

 ということで、黙っていて欲しかったら今度リバイブのコース奢ってよー。」

「リバ…、ってあのメチャクチャ高い創作料理屋!?

 勘弁して下さいよ、もーっ!」


 ひとくちメモ:リバイブはあまりの美味しさに死人すら蘇るという伝説を持つ料理人の店



◇牛と魚(帰宅途中、車内)


「すみません、タッちゃん先輩。いつも送ってもらっちゃって。」

「構わんさ。それより、お袋さんは元気か?」

「えぇ、おかげさまで。術後の経過も順調で、年内には退院も出来るだろうってお医者様が。」

「そりゃあ良かった。退院した暁には、何か祝いの品でも贈らせてもらおう。」

「ありがとうございます。………何もかもタッちゃん先輩のおかげです。」

「いや…。お前さんが自分でチャンスを掴んだんだ。俺はその手助けをしたに過ぎねぇさ。」

「でも、僕には無くてはならない手助けでした。この恩は一生かけてでも返させていただきます。」

「…難儀な性格だ。」

「でも、それが僕の良い所なんでしょう?」

「ふ…、違いない。」


 ひとくちメモ:タッちゃんの愛車はランボルギーニカウンタック



◇トカゲと草(営業中、店内廊下)


「リッちゃん。ちょっとそこ通るから、尻尾の向き変えてもらっていいかな?」

「あ。スミマセン、ドリー先輩。」

「そうそう、そういえばね。

 昨日、スケルンにリバイブのコース料理奢ってもらっちゃったんだー。」

「…骨野郎に?ドリー先輩が?」

「うんっ。

 さすが、ナンバー3だけあって彼ってば太っ腹だよねぇー。いやぁ、美味しかったなー。」

「だったら今度、アイツより売れてる俺がもっと良い所に連れて行ってあげますよ。

 空いてる日、教えてください。」

「えっ、ホントっ!?

 やったぁー!やっぱり持つべきものは優秀な後輩だねっ!

 スケルンよりよっぽど頼りになるや!」

「ふっ。まぁ、当然です。」


 ひとくちメモ:×ドリー策士→○リッちゃんギザチョロス



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ