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第12話  まさかの告白



 外に出ると、さぁーっと夏の風が吹き髪を揺らす。まだ19時前だから空はうっすらと明るく、東の空に向かってブルーのグラデーション。その空に、1つ2つ星が瞬く。

 7月も終わりに近づいたけど、先週来た台風の影響で夜でもわりと涼しい風が吹いている。

 店を飛び出した勢いのまま走り、少し行ったところで立ち止まる。

 はぁー、はぁーと膝に手をついて、肩であらい呼吸をする。

 さっき――奈緒はなんて言った?

 頭を必死に動かして、さっきの事を思い出そうとするけど、ピリッ――と頭と胸が痛んでその場にしゃがみ込んだ。



 タッ、タッ、タッ……

 後ろから足音がして、月明かりで出来た人影が私のすぐ後ろで止まる。

 その影が御堂君で、私を追いかけて来たんだって分かったけど、私はしゃがんだまま膝に顔を埋め込む。 


「桜庭……」


 さぁーっと肌に優しい夜風が吹いて、木の葉がさやさやと揺れる。

 私は葉の音と一緒に御堂君の声を聞いていた。


「俺は、桜庭が好きだよ――」


 その言葉に、体がびくっと反応する。

 それでも、顔を膝につけたまま黙っていた。


「中学の時――桜庭のことは仲のいい友達だと思ってた。だから、奈緒に告白された時も、ただ嬉しくて、それだけで付き合いだしたんだ」


 そこで言葉を切った御堂君、沈黙がやけに長く感じられる。


「しばらくして、奈緒に他の女の子と仲良くしないでほしいって言われて、奈緒がそうしてほしくないならそうしようと思った。だけど、桜庭と話さなくなって寂しくて――毎日がつまらなくて。それでやっと、俺は桜庭の事が好きなんだって気づいた。奈緒には正直な気持ちを話して、年が明けた頃には別れた」

「うそ――っ」


 私は思わず顔をあげて御堂君を仰ぎ見る。


「だって……卒業式でも御堂君と奈緒は仲良さそうにしてて」


 卒業式、御堂君と奈緒が笑いあっているのを遠くから眺めている自分がいた。その時の事を思い出して、また胸がツキンと痛む。

 私から3歩離れたところに立った御堂君と、しゃがんだままぐっと顔を上げた私の視線が絡み合う。


「奈緒とは、別れても今まで通り友達として接してほしいって言われたから。すぐに、桜庭には自分の気持ちを言おうと思った。でも、その頃は登校日もほとんどなくて、会えない日が続いてタイミングを逃して――高校が同じだって知った時も、せめて桜庭とは以前のような友達に戻りたいと思ってた」


 うそ――

 私は涙ぐみながら首を横に振って弱々しい抗議の声を上げる。


「そんな……だって廊下ですれ違った時も目も合わせてくれなくて。同じクラスになった時だってなんにも――私、嫌われたのかと思ってた……」

「いつも、話しかけようと思った。けど、なんて声かけたらいいか分からなかった。だから、朝、駅で会った時はチャンスだと思った、桜庭も普通に話してくれたし。でも里見高のやつと一緒にいるのを見て焦った――もしかして付き合ってるのかって。それからずっと気になっててさっき友達だって聞いて、安心したんだ」


 そこまで言って、視線を足元に落としていた御堂君が私を見る。

 瞳の奥に切なさを宿して、真剣な顔で言ったの。


「俺は、君が好きだ」


 そう言った御堂君のきれいな瞳が一瞬、潤む。


「付き合ってほしい」


「わたしは――……」



 そこまで言って、言葉に詰まる。突然の告白に驚いて、頭の回転が鈍る。胸がジリジリ痛んで、顔をしかめる。

 私は、どうしたいんだろう――

 なんて言えばいいのか分からなくて黙りこんでいると。


「答えは今じゃなくていい。俺だって自分の気持ちを伝えるのにこんなに時間がかかったんだ。だから桜庭も、ゆっくり考えてから答えを出してほしい」


 御堂君がそう言ったのとタイミングよく夕貴がやってきて、その場の雰囲気とかお構いなしに私の腕を掴んで無理やり立たせると、右手を勢いよく振り上げて大声で叫んだ。


「さぁー2次会に、いくぞー」


 そう言って、掴んでいる私の腕を強引に引っ張ってたぬき亭の方へとずんずん歩きだす。

 すでにたぬき亭の前には、わらわらと同級生たちが出てきてて、2次会に行くか行かないかを話していた。

 1人2人と、2次会には行かないで帰る子たちが、別れを告げて去っていく。

 そんな中、私はただひたすら御堂君の事を考えていた。

 だから夕貴に手を引かれるまま2次会のカラオケへ行き、気が付いたら、船橋の中野の家の中。とっくに21時を過ぎていたのだから――ビックリ!




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