君となら、国境の彼方へでも
生まれた時から共にあった二人が、
すべてを捨てて逃げる物語です。
主従であり、家族であり、相棒である二人が、
王国の追手から逃れながら、自分たちの未来を掴もうとする。
追われる日々の中で、それでも二人は小さな幸せを見つけていく。
僕が騎士爵となって数か月がすぎたころ、事件は起きた。
僕が自分より早く騎士爵になったことが気に入らなかったのか、兄が僕たちを謀反を企てているとして大義という汚い名のもとに僕たちをころしにかかってきたのだ。
外が騒がしいな。
「ラナ、外の様子は?!」
「王国軍に包囲されています!!」
「なぜだ…だが今はそんなこと考えている場合ではない。逃げるぞラナ、僕の緊急用の鞄と財布をもって!!井戸から地下通路を通り脱出する!!」
勢いよく裏口の扉をあけ、庭を走り、井戸に飛び込む。
「ラナ、大丈夫か?」
「はい、シオン様。」
井戸がからつながっている隠し通路を休憩する間もなく走り続け、出口の扉を開ける。
だがそこにはもうすでに軍が先回りしていた
「シオン様…」
「ああ、ちょっとやばいな。戦えるか、ラナ」
「謀反人のレオニダス・カイエン・シオン騎士爵とセトラート・クイン・ララテナを発見。捕らえろ!!」
「光魔法、スパークフラッシュ!!」
「よくやった。ラナ、あの森に逃げるぞ。」
「はい。」
僕たちは後方からせまってくる王国軍に魔法を放って逃げ続ける。
それから三日間、僕たちは休むことなく逃げ続けた。
そして隣の国との国境付近で、やっと撒くことに成功したらしい。
「逃げ切れたようだな、ラナ。」
「そのようですね、シオン様。」
「兵士たちは僕たちのことを謀反人といっていたが…」
「恐らくシオン様のお兄様の計画かと。自分より先に出世されたのが気に食わなかったのでしょう。」
「兄上が…」
よく見るとラナの腹から血が出ていた。
「ラナ、怪我をしているじゃないか。なんで早く言わないんだよ。」
「いえ、大丈夫…で…す…」
僕の膝にラナの頭が倒れる。
「待って、今止血するから!!」
炎魔法で焼くか…いや、回復魔法だ。
「ヒール!!」
「シオン様の膝…温かい。」
こんな状況なのに、触れた髪がやけに柔らかくて、心臓がうるさい。
「ラナ、無理に喋らなくていい。今は休んでくれ」
彼女は安心したように目を閉じた。
その寝顔があまりに無防備で、可愛くて、胸が締めつけられる。
そっと彼女の髪を撫でながら、僕は深く息をついた。
「なんとか、なったみたいだな。」
読んでくださりありがとうございます!
才能があるのに自由がない二人が、
それでも一緒に生きようとする物語を書きたくて始めました。
次回もよろしくお願いします。




