慟哭
掲載日:2025/10/31
秋は嫌いです。
それは突然やって来る。
暑過ぎる夏から、突然秋の風が吹いた日。
身体が秋を感じ取った日、身体の奥から滲み出てくる記憶。
胸を押し潰す哀しみ。
息苦しい程の哀しみ。
知らず溢れ出る涙。
それは誰も知らない私の慟哭。
毎年、秋を感じた身体から勝手に滲み出てくる苦しみ。
汗ばみながら登った病院への長い坂。
入院した次の日に知った余命。
駅までの金木犀の香り。
胸の苦しさ。
診断がつかない。
病名も分からない。
治療方法も見つからない。
息が上手く出来ないのに、告げられる、どんどん短くなる命。
たった4週間で、あっという間に逝ってしまって。
間に合わなかった私と小学生の息子。縋って泣いて、まだ温かいのに、そこにいない彼。
一人で逝かせてしまった。
彼は幸せだったのだろうか。
私といて後悔してなかったのだろうか。
息子に気付かれないように風呂場で、押し潰されるように泣いた。
全部全部、溢れてくる。
もう10年近く経つのに、溢れてくる。
奥底からジワジワ溢れて、胸を押し潰す身体の記憶。
秋はキライだ。
澄んだ青い空、金木犀の香り、少し冷んやりする空気、みんな胸が痛くなる。




