6話
朝の日差しを感じ、目を覚ます。
知らない天井、いつもより固くて薄いベット、狭い部屋。
意識が覚醒し切っておらず、ボーッとしながら部屋中を見回す。
そうだった。
父の勘当されて、王都の宿に泊まったんだ。
私は案外図太かったらしい。
ベットが、部屋が変わって寝れない、なんて繊細さは持ち合わせていなかった。
起き上がって伸びをする。
窓を開けて、街を眺める。
まだ早い時間なのに、もうみんな働き出している。
朝の清々しい空気を吸い込み、気合を入れる。
今日の予定は、採取に必要なものを買い揃えることと、替えの服や下着を買うこと。
保存の効くおやつも買っておこう。
宿で朝食をとった私は、早速街に繰り出すのだった。
出たのは良かったが、どこで買えばいいかわからない。
冒険者ギルドなら、いい店を知っているかも。
もしくは、提携している店があるかもしれない。
先に冒険者ギルドに行こう。
朝の冒険者ギルドは、人が多くてごちゃごちゃしていた。
依頼に行く人は、朝から行動するようだ。
確かに遠出するなら、朝から行かないと夜に帰ってこれない。
私は人が捌けるのを待ってから、空いている受付に行くことにした。
「すいません、ちょっと聞きたいんだけど…。」
「あら、何かしら?」
「採取用の道具を揃えたくて…どこで買えばいいのかなって。」
「それなら、地図を書いてあげる。ゴダ爺のとこだと一通り揃うわよ。はい。」
「わあ、ありがと!助かった〜!」
丁寧に、冒険者ギルドからの道を書いてくれている。
とても読みやすい。
これなら迷子にならずに済みそうだ。
冒険者ギルドを出て右に真っ直ぐ。
左手側の花屋を左に曲がる。
突き当たりを右に曲がる。
「あ、あった。」
槌のマーク。
ここだ。
木の扉を開けると、ギーと音を立てて開いた。
「ん?どうした嬢ちゃん。」
「冒険者ギルドからの紹介できたの。採取道具一式欲しいと思って。」
「ちょっと待ってな。」
そう言い置くと、お爺さんは奥に引っ込んだ。
手持ち無沙汰になったので、飾ってある商品を冷やかす。
「待たせたな。採取用のナイフ、解体用のナイフ、スコップ、手袋、ミニツルハシ、20kgの保存袋、護身用の短剣、方位磁針、ロープ、救援光、痺れ玉。嬢ちゃんはなんも持ってなさそうだから、必要そうなの見繕っておいた。全部で…小金貨2枚と銀貨3枚な。」
「はい。ありがとう。」
「おうよ。保存袋は重量軽減と時間遅延がかかってる。頑張んな、嬢ちゃん。」
重量軽減と時間遅延の魔法が、かかっているのは助かる。
お爺さんが親切な人でよかった。
私じゃ、何が必要かわからないから。
さすが冒険者ギルドの紹介。
次は日持ちするおかしを買いに行こう。
私は機嫌よく、お菓子屋さんを目指すのだった。
ーーー
現在の所持金 5.150.000G
金貨5枚、小金貨1枚、銀貨5枚
ーーー




