19話
運は私に、味方してくれたみたいだ。
いやまあ、別の方法がないわけではないけど、グリフォンに協力してもらおう。
無理ならもう一つの方法を試そう。
「グリフォンさん!ちょっと力を貸してくれませんかー?」
「おや、愛し子ではないか。良いぞ。」
グリフォンは快諾してくれると、私の目の前に降りてきた。
「あそこの中腹まで乗せてくれませんか?」
「うむ、わかった。しっかり掴まるのだぞ。」
グリフォンの羽ばたきとともに、後ろに重力がかかる。
2、3回の羽ばたきだけで、中腹に到着した。
私は落ちないように這いつくばり、崖の淵にあるティアリリィを、慎重に摘み取った。
崖から降りる時も、もちろん一人で降りれないので、グリフォンに手伝ってもらった。
これで依頼の素材は全て採取が完了したわけだ。
そのあと、グリフォンの魅力的な誘いにのり、グリフォンの巣で夜を明かした。
さらには親切にも、グリフォンが森の入り口付近まで乗せて行ってもらった。
グリフォンとの空の旅は、短かったけど楽しかった。
普段見れない角度からの景色は、新鮮さを感じたのだった。
ギルマスとの約束の時間通りにギルドに到着すると、シシリンさんの案内で、いつもとは違う部屋に案内された。
いつもより豪華な部屋には、ギルマス、鑑定士のオガトさん、そして貴族服を着た初老の男性、その従者がいた。
「お待たせして、申し訳ありません。」
特に遅れてはいないが、貴族を待たせたことは事実なので、謝罪しておく。
その方が、角が立たないだろう。
「いや、儂が待てずに早く来ただけだ。そこに座りなさい。」
「はい、失礼します。」
「依頼のものを見せてくれ。」
私は保存袋の中から、依頼のものを机の上に置いた。
それをオガトさんが、その場で鑑定士した。
「間違いなく、ティアリリィ、五日茸、ユニコーンのツノです。」
「礼を言おう。報酬はこちらに。」
従者が、ぎっしりと詰まった金袋を、私の目の前に置いた。
「失礼します。」
金袋の中には、キラキラと輝く金貨がぎっしり。
「いただきすぎでは?」
「なに、急いでもらったのだから、当然だ。とっておきなさい。」
「ありがとうございます。」
「これはただの好奇心だが、お嬢さんは貴族の出かね?」
「はい。生家は貴族です。」
「何故冒険者になったのか聞いても?」
「たいした事ではありません。12歳で与えられた職業が家的に良くなくて、勘当されました。」
「そうか…。確かに職業の結果で、勘当すると聞いたことはあるが…。どんな職業も使い方次第だろうに。」
私も完全に同意だ。
現に私は、普通とは違った使い方をしている。
貴族でいるより、よっぽどお金を稼げる。
「何処の家かね?」
「アラベル王国、イランテ侯爵家の末娘でした。」
「イランテ侯爵家か!では、儂の家も知っているのかね?」
「生家と派閥で対立していると聞いたくらいです。」
「そうか…だが、イランテがな…しかし、これだけ稀少な素材を集められるのに、家にとって良くない職業だと?」
「何事も使い方次第、ですから。」
「ははは、確かに。名は?」
「シアンリーゼと申します。」
「そうか、覚えておこう。ではな。」
公爵は素材を丁寧に包むと、機嫌よく帰って行った。




