17話
翌日、冒険者ギルドに来た私は、昨日と同じ部屋に通された。
やって来たのは、ギルマスと受付のシシリンさん。
「昨日も言ったが、ギルドカードの更新をしておいた。Aランクに昇格な。ただし、採取専門だから、討伐は気をつけろ。」
「もとより、討伐依頼を受けるつもりはないので。」
返却されたギルドカードを確認すると、色が黒に変わり、ランクがAと書かれてあった。
聞いてみると、カードの色がランクごとで変わるのだとか。
ランクSが白色、Aが黒色、B〜Dは青色、EとFは茶色、とのことだ。
Dランクの時も変わっていたが、あんまり気にしていなかった。
「換金したら、全部で白金貨3枚、金貨6枚になったが、銀行預かりでいいか?」
「はい。」
思っていた以上に、高くついた。
幻獣の素材は、それだけ貴重なのだろう。
今度から出す時は、数をもっと減らして換金した方が良さそうだ。
「早速なんだが…」
「じゃあ、私はこれで。」
嫌な予感がして、急いで立ち上がり、立ち去ろうとした。
「待て待て。帰ろうとするな。」
はっきりと嫌だ、という顔をギルマスに向けた。
ギルマスは、私を見て溜め息を吐いた。
「Aランク案件で、採取の依頼だ。内容は、ティアリリィと五日茸とユニコーンのツノの採取。アラベル王国のスラーダ公爵家の依頼でな。」
アラベル王国と聞いて警戒したが、生家ではないらしい。
スラーダ公爵家。
生家と派閥で対立していたはず。
巡り巡って、報復できるかもしれない。
ティアリリィと五日茸とユニコーンのツノ。
魔力回路損傷の治療薬の材料だったはず。
つまりスラーダ公爵家の縁者に、魔力回路を損傷した者がいるということ。
売れる恩は、売っておいたら何かの役にたつかもしれない。
「わかりました。その依頼、受けます。」
「そうか!受けてくれるか!」
「はい。3日後のこの時間に、採取した物を持ってきます。」
「3日!?そんなのでいいのか?」
「急ぎですよね。大丈夫です。早速行ってきます。」
「お、おう。頼んだ。」
私は冒険者ギルドを出て、宿で荷物を取ってから、再び幻獣の森に入った。
冒険者ギルドを出てから、視線を感じると思ったが、幻獣の森に入ってもその視線が外れなかった。
もしかしたら、この依頼を知った人が、後をつけているのかも。
そうすると狙いは、私が採取した後で横取りすることかな。
もう少し奥に入ってから、視線の主を撒こう。
私は気づかないふりをして、探索したのだった。




