16話
2階のとある部屋に案内された私は、お姉さんがすぐに出ていってしまったので、手持ち無沙汰に待っていた。
10分くらい経っただろうか。
お姉さんとおじさんとお爺さんが、揃って部屋に入ってきた。
「すまんな。あんたが稀少な素材を持って来たってんで、奥で確認させてもらおうと思ってな。下じゃ、誰が聞いてるかわからねぇからな。俺はここのギルマスのカーギスと言う。」
「儂は鑑定士のオガトと言う。」
「私は受付のシシリンよ。よろしく。」
「シアンリーゼです。」
ギルマスが出てきたら、確実にやっちゃいましたか、案件だ。
ま、これからも採取は続けるから、いい機会と思っておこう。
「それで、換金したい素材を出してくれ。」
言われるがまま、先ほど出そうと思っていたものを、テーブルに展げる。
「これは…!?」
「えー…。」
「非常識な…」
なんか失礼な言い方された気がする。
微妙な気持ちになりながら、売ると考えていたものは全て出した。
誰も喋らない。
ギルマとオガトさんは、机を食い入るように見つめ、シシリンさんは頭痛を堪えるように、頭を抑えている。
「これ、全部換金していいんだな?」
「はい。お願いします。」
「じーさん。」
「全部紛れもなく本物じゃ。ついでに高品質。」
「ギルドカードを更新するから出しとけ。」
「更新ですか?」
「何でそこで疑問なんだ?当然だろう。採取専門としてこれだけの物を、高品質で持って来たんだ。最低でもBランクだ。」
「いや、Aランクじゃな。これは、幻獣の羽と鱗じゃよ。」
「マジかよ…。」
いや、だってたくさんもらった物だから。
まだまだ保存袋の中にあるし。
使える人が使った方がいいと思うんだ。
「倒したのか?」
「まさか。出来ませんよ、そんな事。落ちているのを取ってきただけです。」
「それも十分すごいんだがな。これらが取れるってことは幻獣の住処に行けるって事の証明だからな。あそこは強い魔物が、うじゃうじゃいる。5体満足で帰ってきてるだけですげぇんだよ。」
ギルマスは、すごく大きな溜め息を吐いた。
「査定には時間がかかる。明日また来てくれ。シシリンに声をかけるようにな。あと、ここにいる間は、素材の換金はシシリンに頼め。いいな?」
シシリンさんが専属ということか。
素材をとってきたのが、私だと広がらないようにする為かな。
こちらとしても、その方が助かる。
面倒事は、極力避けたいから。
「わかりました。」
「おう、もう行っていいぞ。」
後のことは任せて、私は冒険者ギルドを出た。
出る時に、まだ騒いでいる男性がいたが、いつまでいるのだろうか。
まあ、関係ないか。
明日また冒険者ギルドに行かないといけないから、何処かで宿を取ろう。
私は冒険者ギルドの騒動を背に、街に繰り出すのだった。




