15話
ペリュトンとケートスに別れを言い、幻獣の森の探索に戻った。
ペリュトンは相当長生きしているようで、寝物語に語ってくれた話は、とても面白かった。
別れ際、ペリュトンは生え替わりの古いツノを、ケートスは鱗を何枚もくれた。
ゴミにしかならないから、いくらでも持っていっていいとのことだった。
なので、遠慮なくもらった。
もしかしたら、何かに使えるかもしれないから。
青い点が幻獣だとわかれば、地図を見れば簡単に幻獣に会うことができた。
幻獣のいるところは、魔物が来ないので、安全に一晩を過ごせるのだ。
会う幻獣全てが優しいので、泊めて欲しいと言えば、快く許可をくれる。
そして別れ際には、何かしらくれるのだ。
生え替わったものとか、果物とか、花とか、色々。
申し訳なく思うけど、みんな嬉しそうにくれるから、断らずに全てもらうことにしている。
本音を言えば、とても嬉しいので。
当初の予定は、珍しい素材の採取だったが、今は幻獣に会うことが目的になっている。
そのついでに、素材を見つけたら採取している。
幻獣に会っていたら、時間が経つのを忘れてしまう。
今日までで12種類の幻獣に会うことができた。
フェンリル、ペリュトン、ケートス、コカトリス、グリフォン、ヒポクリフ、ユニコーン、ペガサス、スレイプニル、バイコーン、カラドリウス、ココリョナ。
ここまできたら、幻獣の森の幻獣を制覇したくなってきた。
何種類いるかわからないけど。
みんなにも聞いてみたが、いなくなったり、新たに来たりで、何種類いるのかわからないらしい。
そんな幻獣ライフを楽しんでいたら、あっという間に20日が経過していた。
いや本当、幻獣って、可愛いから仕方ないよね!
そろそろ人間の生活に戻ろうと思い、20日振りに、ジダ街に戻ってきた。
門番さんにギョッとされた。
おそらく、なかなか帰ってこないから、死んだと思われていたのだろう。
私は、苦笑いで返した。
20日も潜っていたから、素材がたくさん採れた。
次に行くときのために、換金して、袋の中を空けておきたい。
もちろん、貴重すぎるものは、全部売らないけど。
冒険者ギルドに行くと、相変わらず人でごった返していた。
なんか叫んでいる人がいるけど、関係ないだろう。
その男性を横目に見つつ、素材換金のブースに行った。
ハンハン草、妖精花、クルイ石、ゴマカ草、ハズ草…
「ちょっ…ちょっと待って!」
保存袋から次々とカウンターに出していると、受付のお姉さんから慌てて止められた。
「ちょっと、2階に来てくれるかな…?」
「?わかりました。」
呼び出しをくらい、お姉さんの案内で2階に向かった。
これは異世界転生のテンプレ、「私、何かやっちゃいました」系かな?
私は現実逃避に、そんなことを考えていた。




