13話
現在私の膝の上には、子フェンリルが気持ち良さそうに寝ている。
……尊い。
それはおいといて……置いとけないけど、置いといて!
私は泉のそばに座って、フェンリルたちと話をしている。
「え?普通は言葉がわからないんですか?」
「うむ。そなたが特別だ。」
「たまにいるのよ。特別神に目をかけられた人間が。」
「神の目が止まる人間は、総じて美しい魂を持っている。」
「我らのような幻獣と、心を通わせることができるのだ。」
「私以外にもいるんですね。」
私のような人間。
もしかしたら、転生者かもしれない。
もし転生者がいるなら、会ってみたいな。
「300年ほど前の話だがな。」
……んん?
「さんびゃくねん……」
「そんなに頻繁に現れるものではないわ。だって、神のお気に入り。言わば、神の愛し子だもの。」
「この世界の神は気難しい。愛し子は滅多に現れないのだ。前回が300年前。その前は…800年ほど前だったか?」
流石に人間は死んでいるよね。
会いたかったけど、仕方ない。
とても残念だけど。
「どうして、気に入られたんでしょう?そんな立派な人間ではないのに…。」
「それは、神のみぞ知る、と言うやつだな。」
「できれば他の幻獣たちにも会ってやってね。みんな喜ぶわ。」
「私としても、会えるのが楽しみです。」
「幻獣は皆白系統の色をしている。見ればわかるだろう。神獣以外に白を持つものはいないからな。」
なんで神の愛し子なのかわからないけど、幻獣と仲良くなれるならラッキーだ。
これからの出会いが、楽しみになってきた。
幻獣は一眼でも見られたら、と思っていたけど、会うのを目的にしてもいいかもしれない。
「でも、私たちの言葉がわかるのは、神の愛し子の共通ではないわ。わからない子もいたもの。」
「そうなんですか?」
「確かに、そうだったな。300年前の子は、話すことはできたが、800年前の子は話せなかった。」
違いはなんだろうか?
異世界ものなら、言語理解のスキルだったよね。
この世界にはスキルという概念はない。
違いがあるとすれば、職業?
職業『作家』。
前世の作家の仕事ってどんなのがあった?
物語を作る、漫画を小説にする、映画作家…翻訳作家?
翻訳、つまり外国語を母国語に書き換える。
……幻獣語を、翻訳した、と言うこと?
職業『作家』、どれだけやばい職業なの!?
つまりは、この世界の言語は全てわかって話すkとができるのでは!?
職業『作家』は、実はとんでもない職業だったのではないかと疑う、今日この頃。
 




