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12話


いざ行かん、幻獣の森へ!


と言うことで、私は幻獣の森に足を踏み入れた。


「『私』『レヴォング王国幻獣の森』!」


ポンッ


お馴染みになりつつある、軽い音ともに2冊の本が現れた。

いくら楽しみな森でも、安全の確保は1番大事。

安全じゃなと、観光を楽しめないからね。

でも他人から見たら、本を読みながら幻獣の森を歩く変な人に思われそう。

気をつけよう。


森に入ったけど、思っていたより明るい。

鬱蒼としている、イメージだったのに。

聞いたことのない鳥の声、小動物の気配。

これだけなら、普通の森とあまり変わらない。


1時間ほど、道なき道を奥へ奥へと進む。

地図だと、もうすぐ幻獣の集まる秘密の泉があるはず。

そう考えていると、木々の隙間から眩しい日差しを感じた。

私の膝ほどの高さの草をかき分けながら、そこを目指す。

木々が途切れたそこには、大きな泉が広がっていた。

水面が日差しを乱反射して、キラキラと光る。

美しい緑と青。

そのコントラストに、しばし見惚れる。


そんな私の耳に、何かが草を踏む音がした。

咄嗟にしゃがんで、息を凝らす。

 

そんな私の目に映ったのは、白銀の毛皮を持ち額に青の硝石がついた大きな狼。

幻獣フェンリルだった。

しかも家族連れ。

家族で戯れながら、泉で遊んでいる。

とても幻想的な光景。


私は声が出ないように、両手で口を覆った。

目線はずっとフェンリルに釘付けだ。

時間を忘れて、見つめ続けた。


ふと、大人のフェンリルが、私のいる方向に顔を向けた。

一気に緊張が走る。

手には、いつでも使えるように本を構える。


「そこの、不思議な気配のする…人間?姿を見せるといい。」


「はい!?」


飛び上がらんばかりに驚いた。

と言うか、飛び上がって、その拍子に草むらから出てしまった。


あ、まずい。

と言うか、喋ってる!?


どこに混乱したらいいのかわからず、グルグルと考え込んでしまった。


「怖くないぞ?こっちにおいで。」


「大丈夫よ、危害を加えないわ。」


再びフェンリルから聞こえる、男性と女性の声。

やっぱり喋っている。


どうすることもできず、恐る恐る草むらから出て、近づいた。


「こ、こんにちは。」


無言はどうかと思ったので、話しかけてみた。

フェンリル家族が私に近づき、クンクンと匂いを嗅ぎながら、私の周りをグルグル回る。


「うむ。そなた、神の気配が混ざっているな。だから人間なのに、人間らしくない匂いだ。」


「え?」


神の気配とは、一体どう言うことだろうか。

神にあったことなんてない…はず。

もしかして、転生前に、実は会っていたとか?

でもそんなは一切記憶ない。


「心地いい気配ね。子らも喜んでいるわ。」


さっきから見ないようにしていたが、子フェンリルが私によじ登ろうと、足に前足をかけている。


可愛過ぎて、違う意味でやばい。


私は顔が崩れないように、必死に取り繕ったのだった。




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