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大場の話2

 先ず美津枝さんですが、お父さんは三代目を継げる力量がなく、お母さんの看病に専念し会社の事業は利恒さんに継いで欲しいと直接談判した。二代目の曾祖父利知さんが頑として聞き入れず、お父さんはお母さんを庇う事なくこれに従った。美津枝さんはそれで家を飛び出し、三代目の利寛さんも弱り果てた処へ、奥さんが亡くなり後を追うようにして、利寛さんも亡くなりました。身内だけで密葬した後で社葬になった。美津枝さんは社葬の告示を見て一度戻られましたが、家がもうスッカリ叔父さんの利恒さんが取り仕切っていて、居場所がないと早合点された。それで又失踪しましたが、利恒さんはそれでは亡くなった兄に申し訳ないと、必死に探したのですが見つかりませんでした。

「何でも美津枝さんは、子供が出来て昔住み込みで働いていた処へ駆け込んで、そこの人が利恒さんに連絡して引き取られた話は聞きました」

「そうです、その通りです。その乳飲み子が典子さんです」

 典子さんを利恒さんは、三人の孫同様に一緒に分け隔てなく育てましたが、美津枝さんがどうも気にして、出来るだけ家の手伝いをするように仕向けました。

「それは祖父の利恒さんも認めたんですか」

「本当は認めてませんが黙認ですね。その典子さんも千里さんを見つけ出した辺りから先代は典子さんを嫁がせました」

「何で?」

 多分先代は、昭和の残像を引き摺って、遺訓について時代錯誤も甚だしいと以前から思っていた。何か切っ掛けさえあれば、見切りを付けられる状態でもあった。例えば直系に男子がいない場合、婿養子を取る選択肢もあるが、子供が自由恋愛を望むのであればやぶさかではなかった。ある程度先代の意向を汲んでくれるなら、出来るだけ遺訓に添って計りたい。これが先代、利恒さんの偽ざる本音だ。次々と掛かる鮎に気分も良く、話も弾んで来る。


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