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美紗和の話6

「じゃあ、この家に不幸があるって言うの」

「第三者から観て、一番不幸なのは典子さんじゃあないでしょうか。典子さんはおじいちゃんに振り回され、そんな彼女を何とかしてやりたいと、おそらく高村も郷里を離れて大学生活の中で、今までにない全く別な友達と接して、次第にそんな思いになったんじゃあないかなあ」

「何とかしてやりたいって」

「恋愛感情じゃなくて、ただ不幸な人を視てられない、その一念だけでしょう」

「あの子はバカが付くほど優しい子なんよね」

「根回しも苦手なようですね」

「でも、着いた翌日からちゃんとシーマを使って観光案内して、余程あなたに何かを期待しているのね」 

「昔の高村を知らないが、こっちの大学へ来てからだいぶ変わったでしょう」

「そうね、先ずあなたを連れて来た事が一番変わった」

「なるほど、それほど非現代的な遺訓に振り回されている実状を高村は気にして俺でも構わないと呼んだのだろう」

 郷里では、高村が全く友達を家に連れて来ないどころか、寄せ付けない理由をトコトン追及して得られた結論は、此の家の実状を誰にも見せたくなかったのだ。

「だから高村の性格を考えれば考えるほど、それしか友人を家に呼びたくない理由が思い付かなかった」

「もっと田舎へ行けば、そんな亡霊のような古い家訓を祭っている処も無きにしもあらずですから、弟は拘りすぎてる」

「此の家の人は全ておじいさんの云うままです。だから伯母さんも典子さんにも、みんな無関心だと想うと、高村は彼女の不幸が気になり俺に真相を求めたんだ」

「典子さんは典子さんでちゃんとやってるわよ、同じ屋根の下で暮らしていた者からすれば随分と飛躍した考えね」

「だから傍目にみればそうでしょうが、高村にすれば又々従兄弟で血縁は薄いが、でも繋がっている」

 かなり無理のある飛躍した考えだと、美紗和さんは決めつけた。坂部は次の日曜は、大場さんと約束した鮎釣りの場でもっと訊くことにした。


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