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美紗和の話3

 坂部は理解に苦しんだ。

「それって変人って事」

 美紗和さんはそれを聞いて、噴き出しそうに笑った。どうやらその逆で、こんな真面目な人を弟が探し出したと、千里さんと話し込んだら、そう云う結論になった。

 此処はどう反応して良いものか、坂部は難儀している。そもそも千里さんはおじいさんのお眼鏡に適って此の家に嫁いだ。勿論長男との相性も悪くなかったとは謂え、これだけの屋敷に来られたのは祖父のお陰だ。だが亡くなってまだ半年そこらで、もうすっかり祖父への恩義も薄れて、スッカリ主婦の座に納まってる。

「千里さんをおじいさんが最初に見付けたデパートへ行ってみましたが、佐知さんの方がしっかり者だと思いましたが、美紗和さんはどうなんですか」

「あたしも同感だけど……」

 もし後継者問題を真剣に考えなければ、おじいちゃんは佐知さんを選んだ。あの時点ではまだ完全に諦め切れてない。そこで混沌とした家庭を見られるのは、千里さんだとおじいちゃんの目には映った。

「でも益々複雑になって、おじいちゃんは相当頭を痛めたでしょう。そこで千里さんが女の子を産んだ後に典子さんの妊娠を知って、しかも男の子と判った段階でアッサリと生まれる前に、名前を利貞にしたらと美津枝さんに相談したと思うのよ」

 おじいちゃんにすれば、亡きお兄さんとの約束を守る意味合いで美津枝に伝えた。

「典子さんを無視して」

「そう、千里さんが女の子を産んだ時から典子さんは自由にならなくなったみたい」

「でもまだまだ千里さんには子供が出来るのに、その結論は早過ぎませんか」

「おじいちゃんも体力には気を付けても、歳には勝てないからあせっていたと思う」

「でもまだ七十そこそこでしょう」

「でもうちの家系は長寿じゃあないのよ」

 益々もって祖父の利恒さんの死が複雑に混沌として来た。


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