美紗和の話2
「何でも此処へ着いた当日、隣の書斎を亡くなったおじいさんが調べ物に疲れた時に此処を居間として良く使っていたのは聞いたけど」
「そうよ、此処はおじいちゃんにとっては唯一の安らぎの場でした。そこであなたに何かを期待して裕介は提供したのよ」
「その裕介の奴はどうしてるんだ」
「さっき食事を終えて部屋で寛いでるわよ。それで代わりにあたしが来たんだけど、裕介と代わった方がいい?」
「いやッ、このままで良いよ。今は特に彼奴に報告できる物は何もないし、用が出来るまで向こうも顔を見せないようだ」
「わざとそうしてるのよ。裕介がしゃしゃり出れば家族も身構えて特に離れにいる連ちゅうにはね……」
どうやら高村は高村なり別行動を取っているのか。それもそうだ、此の家の大体の内情が解れば一緒に行動しても意味がない。お互いに違う視点で見るべきだ。
「処で高村はどうしてるんです。最近は毎日一人で出掛けているようだ。それだけ此の町には友達が多いのかなあ」
「そんなに居るわけないでしょう。千里さんの話では女じゃないかと云っているけど」
「あれっ、美紗和さん、此の前高村に彼女が出来たらしいって云ってなかったっけ」
「あれは高校時代の友達が合わせたい人が居るって云った話で、どうも勘違いだと思うのよ、なんぼ高校時代の同級生でも、その日だけ一緒に歩いているところを見かけたからって彼女じゃないわよね」
「じゃあ千里さんも単なる昔の同級生に偶然ばったり会って話し込んでいるところを見て噂してるのか」
「だいたい弟は、高校時代から家には女友達も男友達も連れて来たことが無かったのに、夏休み前に急に大学生の友達が出来て、ひと夏だけ家に泊めても良いだろうと連絡してきた時は、もうどんな友達だろうってみんな噂していた人があなただからみんな吃驚してるわよ」




