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九頭竜川3

大学ではあの部屋と講義室を往復する伝書鳩だ。きっと地元で彼奴あいつに心を寄せている相手が居たんだ。それしか今は考えられないが、美紗和さんは否定した。あたしの知る限りそんな浮いた話はこれっぽっちもなかった。だから出来たとすれば、春から行きだした大学の学生か、その近所の住人だろう、と言われても思い当たる節がない。

 どう謂う事だと腕組みする間に河川敷の広場に車を停めた。此処は昔おじいちゃんと釣りに来た場所だ。さっきの話は坂部には非常に気になる話をいとも簡単に切り替えられた。さっきの話は何だったんだ。追求するまもなく、彼女はトランクから釣り道具を取り出すと、そのまま河原に降りて行った。あとを引きずられるように着いて行くと、肝心の高村と女の繋がりは途切れて、もうそれどころではない。

 川岸に来ると、そこで一旦釣り道具を置いて、彼女はおとりの鮎を仕入れに行った。一人取り残された坂部は、広い川面を流れる九頭竜川に身を置いた。桂川の渡月橋から松尾橋辺りのあの部分だけが似ているとふと高村が言ったのを想い出した。

 此の川は上流も下流も、そんなに変わらない流れが続いて、何て穏やかなんだろう。桂川は渡月橋から上流は渓谷になって急流が岩に当たり、激しい波しぶきを上げている。一方の下流では淀川となって海へ流れる。九頭竜川は誰にも邪魔されずに、福井平野を悠々と流れて海に出ると思うと羨ましくなる。

「何をしけた貌をしてるのッ」

 と振り返ると、美紗和さんが持ってる膨らんだビニール袋の中には数匹の鮎が元気よく動き回っている。

「此の連中が何匹仲間を連れてくれるのだろうね」

 どうやら美紗和さんはいつも釣れずに放流している方だ。早速おとりを引っ掛けて上流へ鮎を流した。


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