祖父の臨終3
「そうね、倒れてからその晩には亡くなったて、余りにも呆気なく過ぎた。特に大事な局面だけに周りからも同情の声も上がっても、病気でも癌でもなく七十そこそこで死ぬなんて、まあ考えられないわね。それは裕介もよく言ってた」
時期が時期だけにみんな不審がった。
「原因が判らなければ落ち着く処は脳梗塞から来る心不全なんて、何処にでもある死亡診断書でしょ」
前兆がなくて急に倒れれば病名なんて後から何とでも付けられる。そう考えればキリがなかった。
「それはいつ頃?」
「倒れたのは夜の八時頃、夕食が終わってお風呂で倒れて、直ぐに救急車で病院へ搬送して夜中の二時頃に亡くなったそうなの」
なんせ容体に変化はなく直ぐに意識が戻るだろう、と医者は明日まで様子を見た。親族は一旦帰ったが、最期まで側に居たのは典子さんと千里さんだけで、急に容体が悪化した。千里さんが直ぐに当直医に診てもらったが、間に合わずに亡くなりました。
「裕介はどうしたんですか」
「弟は夜中まで受験勉強して、おじいちゃんが急に倒れても心配ないとあたしが伝え、あたしも車で病院へおばあちゃんを送って夜中に医者も大丈夫だろうと言って、そのままおばあちゃんと一緒に帰った。その翌朝に死亡を知って慌てて裕介を叩き起こしたの」
「じゃあ彼奴はほとんど夢の中のような出来事か」
あの時はあとから相当に愚痴られたけど、誰もそんな急に亡くなるとは医者も思ってない。最初はあたしの所為だと言ったが、昼頃にはスッカリ落ち着いて納得した。でもあなたを家に連れて来たのは、おじいちゃんの顔を受験勉強の真っ最中で十分見られなかった。本当はどうなのか未だに弟は腑に落ちない。おじいちゃんが何をしょうとしていたのか真意を知りたがった。追求するにもそう謂う家の言い伝え、仕来りだと突っぱねると話が続かない。そこであなたを利用したかったようだ。




