祖母の話2
いくつかの食材を籠に入れながら千里は、あの家と会社は今は祖母の名義で利忠さんは一人息子で、このままでは祖母が亡くなれば全て利忠さんのものになります。その辺りはおじいさんはハッキリとした物を残していない。義祖父の利恒さんは次男で典子さんは長男利寛さんの孫になります。利恒はあたしの義祖父になるんです。これで解るよう義祖父は典子さんの孫を四代目にして亡くなった。それをどうするかで高村家はこんな俺の意見を聞きたいほど四苦八苦しているのか。
「おばあちゃんと美津枝さんにゆっくり話せる機会はないでしょうかねぇ。どうも高村はそこまでしてくれそうもないくて、頼むとすれば同じ立場のあなたぐらいでしょうか」
同じ立場と聞いて、千里は可笑しくて口を押さえた。
「そうね、離れには行きにくいですから、茶室でお茶を点ててもらいましょう」
「エッ、そんな急に」
と慌てたが向こうは食事会で、裕介の友人としてあなたと会って間近に紹介されて関心があった。
買い物を終えて鉄柵の扉を開け少し曲がる緩やかな勾配の石畳を登った。玄関直ぐ横の応接間前の廊下を通り、そのまま庭沿いに突き当たりまで行き、そこで坂部は二階へ上がり千里さんは奥の離れへ行った。自室の入った坂部は暫く待期すると千里さんが迎えに来た。晴れやかな顔を見て会ってくれると直ぐに判った。
「どっちです」
「祖母です」
広い茶室に入ると遥か向こう、奥の四畳半ほどの空間に祖母が座り、向かい側に用意された座布団に座った。その隣に千里さんが座った。どうやら美津枝さんは今日は大場さんの運転で昼から出掛けていた。
「姪の美津枝は早くから両親を亡くして苦労しましたからね」
と祖母は茶を点て始めた。
「おばあちゃん、そんなことよりおじいちゃんの話が聞きたいそうよ」
「おじいさんなら千里、あんたが詳しいやろう」
「会ってからでなく、もっと前の話」
「どれ具合」
「丁度伯父さんが亡くなって引き継いだ時かしら」
「裕介が話してくれって謂ってた話やなあ」
「それそれ」
あれはもう随分と昔や、なんせ克之が生まれた頃で、まだ美紗和も裕介も居なくて話す機会もなくした。




