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大野市内2

「こうやっておじいちゃんと大場さんが行った釣り場を見て回ったけれど、よく考えればあたしよりも千里さんの方がおじいちゃんについては詳しいような気がしてきた」 

 美紗和さんが祖父と良く一緒に居たのは小学生までだ。以後は今日に至るまで顔を合わせても込み入った話はしてなかった。それに引き換え千里さんはここ四五年はかなり一緒に買い物や食事に映画にと福井市内を一緒に出歩いていた。

「でも誤解のないように、運転手の大場さんもご一緒でしたから」

 と千里さんはひと言添えた。

「それで、おじいさんは利貞ちゃんについてはひと言も触れなかったんですか」

「それどころか、あたしの子供の方に構ってくれてたのよ」

「そりゃあまだ利貞ちゃんが生まれる前の話ですね、でも生まれてからも変わらなかったんですか」

「どうでしょう、でも男の子と知ってから凄く悦んでましたよ」

「そこなんですか、千里さんは名付け親はおじいさんだと思いますか」

「それが殆ど顔を見せないのよ。赤ちゃんはあの離れに籠もったきりなの。やっとお目見えしたのはおじいちゃんが亡くなる前ぐらい」

「それでも、その鮎釣りは相変わらず大場さんと一緒に行ってたんですか」

「それはもう余り変わらなかった」

 男子誕生の余裕なのか。しかしそこまでして本家の嫡流に四代目を引き継ぐ男子の存続が必要なのか。また先祖に対する単なる高祖父から続く名にどうして拘るのか。

「美紗和さんは単なる孫でしょう。でも千里さんは跡取り後継者を育てるのを見込まれてやって来て、二人に対するおじいさんの気心と接し方、期待度は遥かに大きく違い、その辺りのことを色々と訊かされてないですか?」

 美紗和さんには期待しないものが、千里さんでは大きく期待度が違った。


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