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名付け親は誰だ3

「明治維新までの高村家では普通の名前でしたが、明治の廃藩置県で高村家の当主は次の息子に初代藩主である利房としふさの名前を付けました。 此の人が裕介さんの高祖父で改名の始まりです。曾祖父は二代目藩主に当たる利知としとも、その長男になる人が三代目に当たる利寛としひろで、次男には最後の藩主八代目に当たる利恒としつねをつけたんです」

 長男は初代から次男は最後からの順につけていた。

「じゃあ俺の祖父の利恒は八代目と云うことは跡を継いだ三代目の名前が付けられた伯父さんに跡継ぎがなく祖父がなった。それでおやじが七代目の利忠か」

 そうしたのは、その方が相続の仕方が、本家か分家かはっきり判るからだ。

「四代目利貞は長男に息子が出来たときのために残した。これで高祖父や曾祖父が長男の跡継ぎに拘った理由がお分かりだと思いますが」

「じゃあ誰が典子さんの子供に四代目藩主の名前を付けたんだ。まさか本人じゃないと思うが」

「役所に届けたのは典子さんと思いますが、その名前に決めたのはおそらく別の人でしょう」

「高村のお父さんだけが七代目の名前なのは、これまでの話だと跡を継げないからですか」

「多分三代目がそんなに早死にするとは思ってみなかったんでしょう」

「それよりも厄介な問題は、なぜのりちゃんの子供に四代目の藩主の名前を付けたんだ。祖父が亡くなった今となってはどうするんだ」

「高村、典子さんに聞けば良いんじゃないのか、それとも大場さんがご存じなんてあり得ないでしょうねえ。何しろ典子さんはおじいさんが呼び戻したんですから。でも、あれだけの格式のある家で、なんぼ寄宿している伯母さんの娘さんとはいえ、出戻りなら世間体もありますから、それをどうも厳格そうなおじいさんがアッサリ呼び戻したと云うことは、おじいさんが生まれた子供の名付け親って事はないですか」

「それはないだろう、他家へ嫁いで生まれた子供が実家の祖父が勝手に名前を付けられるか」

「典子さんはどんな所へ嫁がれたんだ」

「平凡なサラーマンの家だと聞いている」

「あり得るとすれば、将来養子に高村家に出せばその先はともかく、また歴代藩主の名前を継ぐという高祖父の理念は受け継がれたことになるなあ、でも一昔前ならともかく今の世の中そこまで考えるのは異常じゃあないですか」

 と身内でない大場さんに聞けば、流石にこれには彼も知っているのか知らないのか何も言えないようだ。


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