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名付け親は誰だ1

 昼頃に着いたが思いのほかの絶景地に好奇心が注がれて、先に奇岩と絶壁が続く東尋坊を見て、裕介は「もっと早く来るべきだった」と可愛がってくれた祖父が連れて行ってくれなかったのに後悔した。

 三国湊へ戻り遅い昼食を摂った。此処は大場さんの海産物が旨いんですよと云うお墨付きで立ち寄った。大場さんの選んだ店は車の止められる駅に近い古風な佇まいの店で、先代も良く利用していたらしい。甘エビにイカの刺身、学生向きに大盛りのご飯と焼き魚のカレイがテーブルに並んだ。此の海産物を見れば如何いかにも港に来た気分が味わえる。東尋坊を初めて見た裕介には、確かに海に向かってそそり立つ棒のような岩に、荒々しい日本海の波が砕けるさまは何とも言えない感動のようだ。それと同時に祖父が余計な気持ちを起こさせない配慮も浮かんだ。

「此処なら坂部が美紗和を誘って連れて来れば、あいつは悦ぶだろうな」

「でも彼女だって東尋坊の評判は聞いているだろう」

 高村には評判と実際に足を運ぶのは無関係らしい。

 今日はおやじからある程度の資金は援助してもらって、カニが出て良かったが、大場さんはあれは冷凍物だと笑っていた。

「それでも先代が予約しておくと出してくれました」

「エッ、解禁は冬ですよね」

「ロシア産ですよ。わざわざロシアの漁船と交渉して持ち帰って来ますから、でも滅多に頼みませんよ。得意先からどうしてもと頼まれたときだけです」

「それだけおじいさんには威厳があったんですね」

「そこだ、大場さん、おやじはどうなんだ」

 祖父が亡くなってまだ一年も経たない今が一番引き継ぎの難しい舵取りを遣らされていると、兄の克之が愚痴を溢していた。お前は来年の試験だけを考えろと兄に言われても、こうして大学も受かった。今度、兄がぼやいたら絶対に当家の風習を替えろと言ってやると息巻くっている。



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