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朝倉遺跡1

 車は広い駐車場がある一乗谷城朝倉遺跡博物館に止めた。

 駐車場には最近の新しいデザインの車が多く停まっているなかでこの車は際立った。

「こんなセダンの車は何度見てもいいもんですね。特に最近の車にはない、丸みを帯びて穏やかに見えるヘッドライトがいい」

 と坂部は最初に見た印象が気に入ったようだ。

「先代に習って今の社長も愛着があり、買い換える予定がないようです」

 と大場も快く答えた。 

 此のシーマは今更ながら角張ったところがなく、全てに丸みを帯びた車の外形が現代にはない、たおやかさを彷彿させた。

 朝倉遺跡博物館に入ると、先ずは二階建て遺跡博物館の一階で、発掘状況や遺構の展示を見る。此処ではガイダンスに添って廻るから、大場さんは一階の総合案内で待った。

「今思ったが、社長と高村では車の乗り降りが徹底しているなあ」

「あれで世間は子供を甘やかしてないと判るし、第一に祖父は若いときは苦労は買ってでもせいが口癖だったからなあ」

 そうかと二階へ上がる階段の手すりから一階の案内場を見ると、ロビーで大場さんはもう珈琲を飲んでいた。

 二階は朝倉家の歴史、文化と館の一部の原寸展示に、城下町の町並みは縮小して再現していた。

 二人は見学しながらも気になるのは、十代で家出した伯母の話だ。二階に上がると眼は展示物を追っているが、話は祖父に関してばかりになった。

 祖父が家を継いだ経緯は、父の利忠がまだ子供ながらにかなり憶えていた。

 祖父のお兄さん、つまりおやじにすれば伯父に当たる人だが、会社についてはこの人より祖父の方が適任だった。だが曾祖父は頑固として病弱な長男の伯父さんに決めてしまった。伯父はやむを得ず会社の切り盛りをするが、此の辛苦で先ず妻が病死した。これに美津枝さんがかなり反発した。妻の病死と娘の家出で、元から病弱な伯父さんは、福井の病院で養生してそこで亡くなった。



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