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帰郷5

 どんな車かと聞けば、駅に着けば迎えに来ているから解る。最近は滅多に見かけない車だと自慢の祖父が亡くなっても乗っている。そんな車に良く乗ってるよと高村は呆れていた。

「さっきから聞いていると大所帯だなあ。結局何人住んでるんだ」

「ざっと十二人か、お前とこの実家は八人だから少し多いだけだ」

「頭数だけはなあ、しかし住まいは大違いだ。建坪だけで百坪はあるのだろう。敷地を入れると俺の実家の百倍はあるだろう」

「だがなあ、みんなよそ行きの言葉で罵り合っているんだ、だから他の家では狭いながらも愉しい我が家って云うだろう。俺は坂部を知ってからそんなイメージを持ったんだが、間違っているか」

「楽しいかどうか分からんが、物がないからいつも不満たらたらで兄弟げんかばかりしていて生傷が絶えないんだ」

「思っていることを直ぐに声に出せて、その方がサッパリして良いだろう」

「まあなあー、とことんやり合うからわだかまりはないし、兄弟が他の者から虐められると一致団結して仕返してやるからなあ。そこへ行くと高村の処は嫌なことは全て腹に収めてきれい事で済ませているのか」

「まあそんな感じでいつもみんなきれい事しか言わないから何を考えているのか分かったもんじゃない。だから行き違いが多くて、後で大場さんに相談すれば彼なりに俺を納得さしてくれたよ。俺はお前の話を聞いて逃げも隠れも出来ずに、全てが数歩の距離で済んでしまう坂部の家の方が楽だと思った」

 たった一両の電車が長閑な田園風景から山間部を縫うように走り出した。その山間部を抜けると高村の家に近付いた。しかし車窓から見えるのは田圃ばかりで、その中に点々と瓦屋根の家が建っていた。田舎には違いないが藁葺きの家が一軒も見当たらなかった。


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