帰郷1
大学もいよいよ夏休みに入った。約束通り二人は一緒に行くことにした。だが高村と坂部の住まいは近いが、誰に出会うか判らない、そこで二人は個別に部屋を出て直接京都駅で待ち合わせた。
烏丸通り正面の中央改札口で高村は待った。荷物は肩から提げているバックひとつの軽い身だ。坂部は大きいめのナップサックを背負っていた。切符は買わなくて良いと云って、実家までの最寄りの切符を手渡してくれた。切符は普通乗車券と特急券の二枚あった。
「幾らだ」
「水臭い俺が誘ったんだ」
そう言うなり先に改札を抜けていくと、慌てて坂部も後を追ってホームに立った。北陸線のホームは一番線で改札を抜けた真正面で、余計な在来線のホームを跨ぐ階段も、地下に降りる通路も行く必要がなくて楽だ。
「どうだそっちの田舎は」
「今頃は大助かりしているだろう」
盆暮れに数日帰って来るのはともかく、ひと月以上も居られると子供達に割り当てた部屋の組み替えが大変らしい。それを聞いて高村は、ならふた月で、秋の中頃まで俺の家に居ろとまで云ってくれた。お陰でお盆休みは実家でなく高村の家で過ごすことになる。お盆は変わった事を遣るのかと聞いても、大したもんじゃない気にするなと言われた。それもそうだ。そんなに変わった行事があるわけでないからのんびり過ごせると思った。
「広い家のようだけど何人住んでるんだ」
え〜と考え出したから。お前、自分の家に何人住んでいるか、考えないと分からないのかと呆れた。どうも人の出入りが激しくて、暫く留守にすると解りにくいようだ。それだけ地元では名の知れた家で、何とも賑やかな家庭だと呆れてしまった。




